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同僚の横領を知りつつ黙っていたらあなたも共犯? 横領の幇助とならないためには!

2019年11月28日
  • 財産事件
  • 横領
  • 幇助
  • 広島
同僚の横領を知りつつ黙っていたらあなたも共犯? 横領の幇助とならないためには!

2019年6月、広島県の30代の男性職員が、異動前の県健康福祉局で会計事務を担当していた三つの任意団体の会費計534万9100円を横領していたとの報道がありました。この男性職員は、「競馬などのギャンブルで資金が必要となり会費に手を付けた」と話しているようです。

このように、横領は身近な犯罪です。特に金銭を扱う仕事をしている場合、目の前にお金があるので、着服したくなる誘惑にかられます。自分は横領なんてしないと思っていても、身近にいる同僚が横領して、それを見逃したような場合も共犯になる可能性があります。

そこで、今回は、横領とはどのような犯罪で、共犯とならないためにはどうしたらよいのかについてベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士が解説します。

1、業務上横領罪の内容

  1. (1)業務上横領罪とは?

    業務上横領罪とは、業務上自己の占有する他人の物を横領する行為です。単純横領罪の加重類型になります。単純横領罪との違いは、業務上占有しているかどうかの違いです。

    業務とは、社会生活の地位に基づき反復継続して行われる事務をいいますが、具体的には職務上委託を受けて金銭その他の財物を管理することです。会社の経理担当者などがそれに該当します。

    「自己の占有する」というのは、自分が事実的あるいは法律的に支配していることをいいます。事実的に支配というのは、実際に所持している場合などです。法律的に支配とは、法律上の名義人である場合などです。

    「他人の物」というのは、他人の財物ということです。横領の多くは現金が対象になりますが、現金に限らず、会社から管理を委託されている商品を着服した場合にも業務上横領罪が成立します。

  2. (2)業務上横領罪と窃盗罪の区別

    業務上横領罪について説明してきましたが、窃盗罪との違いについても触れておこうと思います。窃盗罪は他人の物を盗むことですが、横領罪との違いは、財物を誰が占有していたかです。たとえば、レジ担当者がレジから現金を抜き取る行為は、業務上横領罪ではなく窃盗罪が成立します。レジにある現金は、店長などが占有しているので、「自己の占有する」とは言えないからです。「他人の占有する」現金を取る行為なので窃盗罪になるわけです。

  3. (3)業務上横領罪と背任罪の区別

    次に、背任罪との区別はどうでしょうか。よくニュースなどで、「○○会社の社長が背任の容疑で逮捕されました」というコメントを聞くことがあるかと思いますが、これも業務上横領罪と似た犯罪です。背任罪は、他人のためにその事務を処理する者が、自己もしくは第三者の利益を図りまたは本人に損害を加える目的でその任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えた場合に成立します。

    横領罪と背任罪の違いについてはいろいろな見解があり、非常に難しいところです。具体例でいうと、経営者が会社の現金を領得(りょうとく)した場合には業務上横領罪になりますが、経営者が会社に損害が生じる可能性があるにもかかわらず、不当な内容で契約を結び会社に損害を与えた場合には背任罪になりえます。

2、業務上横領罪ではどのような罪に問われるのか?

業務上横領罪が成立した場合には、10年以下の懲役となります。懲役刑の下限は1ヶ月なので、10年以下の懲役という場合、1ヶ月以上10年以下の懲役ということになります。ちなみに、単純横領罪の場合は5年以下の懲役なので、業務上横領罪は倍の重さということになります。

横領罪の特徴は、罰金刑がないことです。「○年以下の懲役または○万円以下の罰金に処す」と規定されている場合、起訴されたとしても罰金刑になる可能性があります。しかし、横領罪には罰金刑がありませんので、起訴された場合には、無罪にならない限り懲役刑ということになります。

もちろん、初犯であれば執行猶予が付くこともありますが、横領額が大きかったり、反省していなかったりすると、初犯であっても実刑ということは十分にあり得ます。

3、同僚の横領を知っていながら何もしなければ共犯になるのか?

犯罪の直接の実行者は「正犯(せいはん)」と呼ばれますが、犯罪は一人で行うとは限らず、共犯者がいる場合もあります。共犯の類型としては、「共同正犯(きょうどうせいはん)」、「教唆犯(きょうさはん)」、「幇助犯(ほうじょはん)」、というものがあります。

  1. (1)共同正犯

    共同正犯は、複数で犯罪を実行した場合の共犯類型です。3名で強盗を行ったような場合が典型例です。共同正犯は、「正犯」と名前が付いているように、正犯として処罰されます。共同正犯類型がある理由は、共同正犯者の一人が行った犯罪行為についても、他の共同正犯者に責任が及ぶということです。これを「一部実行・全部責任の原則」といいます。

  2. (2)教唆犯

    教唆犯は、犯罪をそそのかして犯罪を実行させた者に対する共犯類型です。たとえば、犯罪を行う意思のなかった者に対して、「会社のお金を管理しているなら、お金を着服してもバレないから、着服しちゃえよ」というように犯罪をそそのかして、犯罪を実行させた場合に、そそのかした者が教唆犯になります。経理担当の同僚をそそのかして業務上横領を実行させた場合には、そそのかした者も教唆犯として処罰される可能性があります。

  3. (3)幇助犯

    幇助犯とは、正犯の犯罪行為を容易にした者に対する共犯類型です。犯罪行為を容易にする行為としては、強盗や窃盗をしやすくするために鍵を開けておくとか、凶器を準備して手渡すなどがあります。

  4. (4)共犯成立の検討

    それでは、同僚が会社のお金を横領したことを知っていながら、何もしなければ共犯になるのでしょうか。

    他人の犯罪行為を認識しながら、それを容易にする行為をすれば幇助犯として処罰の対象になります。また、何もしない不作為も幇助となり得ます。また、見逃した事実を正犯が知らなくても幇助犯は成立します。

    労働者は、雇用契約に基づき職務を執行する義務を負っていますが、その内容として信義則上会社に損害を及ぼすような行為をしてはならないと解されます。そのように考えると、同僚が職場のお金を横領している事実を認識しながら、会社にそのことを報告しないことは、契約上の義務に違反し、同僚の犯罪行為を容易にしたと考えられ、幇助犯として処罰される可能性もあります。

    ただ「犯罪行為を認識していた」ということを立証することは非常に難しいので、同僚が実際に横領行為をしているのに、何も言わずにいた姿が防犯カメラに写っているなど明らかな証拠がある場合でなければ、実際には立件することは難しいでしょう。とはいえ、幇助犯となる可能性がある以上、同僚が横領したことを知った場合には、すみやかに会社に報告すべきです。

4、逮捕された後の流れ

警察に逮捕されると、その後48時間以内に検察庁に送致されます。検察庁に送致後は、24時間以内に勾留請求するか否かが判断されます。勾留請求されると、10日間の勾留となります。さらに必要な場合には10日間の延長が認められます。この期間内に検察官は、取り調べを行い、起訴するかどうかを判断します。

業務上横領罪は、複数回横領をすることが多いので、その場合には再逮捕となる場合があります。再逮捕された場合には、改めて最大23日間の身柄拘束が続きます。

起訴後は、原則として起訴後勾留が始まりますが、保釈請求が認められれば、保釈金を納付して身柄を解放してもらうことができます。

刑事裁判が始まると、①冒頭手続、②証拠調べ手続、③弁論手続、④判決という流れで公判手続が進みます。「冒頭手続」というのは、検察官が起訴状を朗読して、被告人の言い分を聞く手続きです。「証拠調べ手続」というのは、検察官が証拠によって事実関係を主張・立証を行う手続きです。「弁論手続」は、検察官と弁護人からの意見を聞く手続きです。これらを踏まえて、有罪・無罪の「判決」ということになります。

5、まとめ

業務上横領罪は、罰金刑のない非常に重い犯罪です。同僚が横領している事実を知りながらそれを見て見ぬふりする行為は、従業員として会社(被害者)に対する背信行為といえます。また、横領の事実を知った後も同僚が横領を繰り返しているような場合、幇助犯として処罰される可能性もあります。したがって、そのような場合には、すみやかに会社に報告すべきです。

もし、横領をしている同僚が逮捕されたという場合、警察からの任意の事情徴収や横領の事実を放置していた場合には幇助犯として逮捕ということもあり得ますので、心配な場合には、弁護士などに事前に相談しておくことをおすすめします。

弁護士からは、事情聴取での注意事項や逮捕された場合のその後の流れなどについて話を聞くことができます。ベリーベスト法律事務所 広島オフィスでは、刑事弁護の経験豊富な弁護士が在籍していますので、少しでも不安があればまずはお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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