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相手が過去に行った不倫で慰謝料を請求するときには、時効に要注意!

2018年07月06日
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相手が過去に行った不倫で慰謝料を請求するときには、時効に要注意!

夫や妻が不倫したときには、不倫相手に慰謝料請求できますが、不倫から長い時間が経過してしまったら、不倫の慰謝料請求権が「時効」にかかってしまう可能性があります。
当時は、何となく揉め事になるのが嫌で放置してしまったけれど、後になって「やっぱり請求したい!」と考えたとき、いつまでだったら慰謝料請求できるのでしょうか?

今回は、不倫の慰謝料請求権の時効について、弁護士が解説いたします。

1、不倫の慰謝料請求権の時効は3年

不倫相手に対する慰謝料請求権には、「消滅時効」がありますが、不倫からどのくらい経過したら時効消滅するのでしょうか?

  1. (1)慰謝料請求権は「不法行為にもとづく損害賠償請求権」

    不倫の慰謝料請求権は、民法上の「損害賠償請求権」の1種です。
    不倫は配偶者や不倫相手の「故意過失」にもとづく「違法行為」ですし、配偶者が不倫をすると人は大きな「精神的苦痛」を受けるため、「不法行為」が成立するのです(民法709条)。
    そこで、被害者である配偶者は、不法行為者である不倫相手に対し、不法行為にもとづく損害賠償請求として不倫の慰謝料請求ができます。

  2. (2)慰謝料請求権の消滅時効

    不法行為にもとづく損害賠償請求権には消滅時効があります。
    具体的には「損害及び加害者を知ったときから3年間」とされています(民法724条)。
    つまり、損害が発生した事実と加害者が誰かを知ったときから、3年が経過すると、損害賠償請求できなくなるということです。
    不倫の場合には、以下の2つの事実を知ったときから3年間で、慰謝料請求権が消滅します。

    1. ①夫や妻の不貞行為(不倫)の事実
    2. ②不倫相手の素性


    もしも配偶者が不倫していることが判明したとしても、不倫相手が誰か分からない状態では、慰謝料請求権の時効期間は進行せず、時効消滅しません。

  3. (3)慰謝料請求権の「除斥期間」

    不法行為にもとづく損害賠償請求権には「消滅時効」とは別に、「除斥期間」があります。
    除斥期間とは、所定の期間が経過すると、当然に権利が消滅してしまうことです。
    損害賠償請求権の除斥期間は「不法行為時から20年間」です。
    除斥期間については、被害者が不法行為の事実や加害者を知っているかどうかは問題になりません。
    そのため、夫や妻が不倫していることに気づかなかったり、不倫相手のことを調べてもよくわからなかったりして慰謝料請求できなかった場合でも、不倫から20年が経過したら、慰謝料請求自体ができなくなってしまいます。

    以上より、配偶者が不倫していると知ったら、すぐに不倫相手の素性を調べて慰謝料請求しておくことが大切です。

2、3年経っても不倫の慰謝料請求できるケース

それでは、夫や妻が不倫していることと不倫相手の素性を知ってしまった場合には、3年が経過すると、もはや慰謝料請求する手段はないのでしょうか?

  1. (1)時効援用とは

    実は、このようなケースでも慰謝料請求できる可能性があります。
    時効が完成したときには「援用」が必要になるからです。
    時効の援用とは「時効による利益を受けます」という意思表示です。時効によって直接に利益を得る人が援用を行います。

    時効の効果発生に「援用」を必要とされるのは、時効援用権者の意思を尊重するためです。
    たとえば、時効期間が経過しても、債務を消滅させることなくきちんと債務を支払おうとする人もいます。
    そのようなときにまで、所定の時効期間が経過したからと言って強制的に義務が消滅してしまうと、援用権者の意思に反しますし、権利者にとっても不利益です。

    そこで、時効が完成しても、利益を受ける人による「援用」がない限り、確定的な時効の効果は発生しないことになっているのです。

  2. (2)時効援用の方法

    時効援用をするとき、特に方法に決まりはないので、口頭などでも可能です。ただ、通常は証拠を残すために内容証明郵便等を使って援用通知を送った方がよいでしょう。
    また、裁判を起こしたときに、裁判所に提出する書面内で時効を援用されることもあります。

    以上より、不倫の慰謝料請求の場合にも、不倫相手が慰謝料請求権の消滅時効を援用しなければ、不倫と不倫相手を知ってから3年が経過しても、慰謝料を払わせられる可能性があります。

  3. (3)現実には多くのケースで「援用」されてしまう

    しかし、現実には不倫から3年以上の長期間が経過していたら、不倫相手も「時効が成立するのではないか?」と考えるものです。
    そのようなとき、弁護士などの専門家のところに相談に行ったら、「本件では、時効にかかっていますよ」を言われるので、ほとんどのケースで時効援用をされてしまうでしょう。
    不倫相手から時効の援用をされずに、慰謝料請求権を行使しようとしても、あまり現実的ではありません。

3、不倫慰謝料請求権の時効を止める方法

不倫の事実や不倫相手のことを知ってしまったら、どうしても3年以内に慰謝料請求しないといけないのでしょうか?
たとえば不倫の証拠が揃っていない場合もありますし、子どもが小さいなどの理由で、今は夫とあまり揉め事を起こしたくないので、後で離婚を決意したときに慰謝料請求したいという方もおられるでしょう。
そのような場合、慰謝料請求をしないまま、気がつけば3年近くが経過してしまうケースが多いです。

  1. (1)時効の中断によって時効の完成を止められる

    完全に慰謝料請求権が時効消滅してしまってからでは対応が困難となりますが、時効完成前であれば、時効の進行を止めることができます。
    そのためには「時効の中断」という制度を利用します。
    時効の中断とは、時効の進行を止めて、時効の期間を当初に巻き戻すことです。
    たとえば不倫の事実と不倫相手を知ってから2年が経過していても、その時点で時効を中断させると、そのときからまた3年が経過しないと時効が完成しなくなります。

  2. (2)時効の中断事由

    具体的な時効の中断事由にはどのようなものがあるのでしょうか?いくつかあるので順番に確認しましょう。

    1. ①債務承認

      1つ目の時効中断事由は、債務の承認です。
      債務の承認とは、債務者が「義務がある」と認めることです。
      債務の承認の方法は、口頭でも書面でもかまいません。
      また、「支払います」と言うだけではなく、債務を一部支払った場合にも債務承認となります。つまり、不貞慰謝料請求をしたときに浮気相手が一部の慰謝料支払いに応じた場合には、その時点で損害賠償請求権の時効が中断して、さらに3年が経過しないと時効が成立しなくなるのです。

    2. ②裁判上の請求

      2つ目の時効中断事由は「裁判上の請求」です。
      裁判上の請求とは、訴訟などの裁判手続きによって債務の履行を請求することです。
      慰謝料請求裁判だけではなく、支払督促の申立や、民事調停の申立、即決和解の申立によっても時効を中断させることができます。
      裁判で判決が出た場合には、その債権は「確定判決にもとづく債権」となるので、時効期間が10年に延びます。調停や裁判上の和解が成立した場合も同様です。
      つまり、慰謝料請求権の場合、もともとの時効期間は3年ですが、訴訟や調停などをすると慰謝料請求期間を10年に延ばせるということです。

    3. ③差押・仮差押

      差押や仮差押をしたときにも時効が中断します。
      たとえば、不貞相手に裁判を起こす前に、相手の預貯金などの試算を仮差押したら、その時点で慰謝料請求権の時効を中断させることができます。

  3. (3)時効の進行を一時停止させる方法

    以上の3つの方法は、時効を確定的に中断させる方法ですが、これら以外に「時効の進行を一時停止させる方法」があります。
    それは、催告です。
    内容証明郵便を使って、慰謝料請求の通知書を送ると、その時点で時効の進行を停止して6か月延長することができます。その6か月以内に訴訟や調停の手続きをすると、確定的に時効を中断させることができます。

    一般的に、慰謝料請求訴訟をしようとしても、準備が必要なので急には対応できないケースがあるものです。そのようなとき、内容証明郵便を使ってとりあえず「催告」しておけば、その後半年の間に裁判の準備を進めて訴訟を起こし、権利を守ることができるのです。

    ただし、催告の方法による時効の停止はあくまで一時停止させる効力しかありませんし、効果も1回しか認められません。催告期間中に再度催告をしても、もはや時効延長されないので、一回催告をしたら、必ず6か月以内に訴訟提起する必要があります。

  4. (4)除斥期間は中断しない

    以上からすると、慰謝料請求権の時効の中断を繰り返せば、延々と時効を延長し続けて、いつまでも慰謝料請求できることになりそうです。
    しかし、そのようなことにはなりません。除斥期間には中断制度がないからです。
    時効の中断を繰り返していても、不法行為時である不倫の時点から20年が経過すると、除斥期間によって、必然的に慰謝料請求権が消滅することとなります。

    時効の中断措置はあくまでやむを得ない措置としてとらえるべきであり、不倫の慰謝料請求をするならば、早めに準備をして請求手続をとるのが良いことに間違いはありません。

4、不倫慰謝料を請求する時の5つの条件

不倫慰謝料を請求するときには、以下の通り、満たしておくべき5つの条件があります。

  1. (1)不倫の証拠

    まずは、不倫の証拠が必要です。
    不倫の慰謝料請求をすると、まずは不倫相手と話し合いをすることになりますが、証拠がないと、相手が「不倫していません」と反論してきたときに、それ以上請求できなくなってしまいます。また、慰謝料請求訴訟を起こした場合にも、裁判所は証拠がないと不倫を認めません。

    不倫で慰謝料請求するためには、配偶者と不倫相手が肉体関係をもっていたことを示す明確な証拠が必要です。法律上の「不貞」とは、既婚者が配偶者以外の女性や男性と肉体関係を持ったことを意味するからです。
    不倫相手とのメールや一緒に写っている写真などがあっても、肉体関係を立証できなければ証拠としての価値は低くなります。

  2. (2)不倫時に夫婦関係が破綻していなかったこと

    不倫で慰謝料が発生するためには、不倫当時に夫婦関係が破綻していなかったことが必要です。
    不倫が不法行為となるのは、不倫によって夫婦関係が破綻して、被害者が多大な精神的苦痛を被ったからです。不倫前から婚姻関係が破綻していたのであれば、不倫があっても「裏切り」行為にはなりませんし、配偶者はさほど大きな精神的苦痛も受けません。不倫の慰謝料が発生しないか、慰謝料相場の金額が非常に安くなってしまいます。

  3. (3)不倫相手に故意過失がある

    不倫相手に故意過失があったことが必要です。
    不倫の慰謝料請求権は、不法行為にもとづく損害賠償請求権ですが、不法行為が成立するためには「故意」または「過失」が必要だからです。
    不倫の場合の「故意」とは、不倫相手が「交際相手に配偶者がいる」と知っていたことを意味します。また、既婚者であることに気づいていなくても、当然気づくべき状況であれば、知らないことに「過失」があると認められるので、やはり不法行為が成立します。

    たとえば、夫や妻が不倫相手に「私は独身」と説明しており、不倫相手との結婚話を具体的に進めていたり相手の親と会ったりしていて、完全にだましていたケースなどでは、不倫相手に「故意過失がない」と認められる可能性があります。

  4. (4)自由な意思で不倫関係になった

    不法行為が成立するためには、不倫相手が自由な意思で不倫関係になったことが必要です。
    たとえば夫が相手の女性に性交渉を強要したケースなどでは、不貞にはならないので慰謝料請求できません。むしろ相手の女性が夫に対し、「強姦」として訴える可能性があります。

  5. (5)十分な損害賠償金を受け取っていない

    不貞相手に対して、不倫の慰謝料請求をするには、いまだ不倫についての充分な損害賠償金を受け取っていないことが必要です。すでに弁済を受けていたら、それ以上請求できなくなるのは当然です。

    不倫慰謝料の場合、配偶者と不倫相手の連帯債務となるので、どちらから支払いを受けても良いことになっています。夫や妻と離婚したとき、「離婚慰謝料」としてまとまった慰謝料の支払を受けていたら、それ以上不倫相手には請求できない可能性が高くなります。
    たとえば、離婚慰謝料として500万円を受け取っていたら、通常、それ以上に不倫相手に慰謝料請求するのは難しくなるでしょう。

5、不倫の慰謝料請求する時の手順

不倫相手に慰謝料請求をするときの手順についても確認しましょう。

  1. (1)不倫相手と直接話し合う

    不倫相手と連絡を取りあえる状況であれば、まずは電話やメールなどで連絡をして、話し合ってみるのも1つの方法です。話し合いが成立したら、慰謝料支払いについての示談書を作成し、示談内容に従って支払いを受けましょう。

  2. (2)内容証明郵便で請求する

    不倫相手に連絡を入れても無視されるケースや、相手が全く知らない人で連絡を取るのが難しい場合などには、内容証明郵便を使って慰謝料の請求をしましょう。
    慰謝料請求通知をするときには、以下の内容を書き込みます。

    • 相手と配偶者が不倫している事実
    • 不倫によって婚姻関係が破綻した(危機に瀕した)事実
    • 慰謝料請求額
    • 慰謝料請求をする意思
    • 支払い方法と期限
    • 支払いがなかったら法的対応を検討すること


    時効完成が迫っているならば、時効を停止させるために、優先的に内容証明郵便を送りましょう。

  3. (3)示談成立

    内容証明郵便を送ったら、その後不倫相手との間で慰謝料の金額を支払い方法について話し合います。
    話し合いによってお互いが納得できる条件に達したら、示談書を作成して双方が署名押印しましょう。配偶者との離婚前に不倫相手と示談するのであれば、「不貞関係に及んだ」事実を明確に記載しておくべきです。この示談書を、夫や妻との離婚訴訟などの際の証拠に使うことができるからです。

    また、特に慰謝料を分割払いにする場合には、示談書を公正証書にしておくことをおすすめします。公正証書にしておくと、後に不倫相手が支払いをしなくなったときに、すぐに相手の資産や給料などを差し押さえることができます。

  4. (4)調停・訴訟をする

    内容証明郵便を送っても不倫相手が無視する場合や交渉をしても条件が整わないときには、不倫相手に対して調停や訴訟を起こして慰謝料請求する必要があります。
    不倫の時効が迫っている場合にも、時効を中断させるために早期に調停や訴訟をすべきです。
    調停が成立したらその内容に従って慰謝料の支払いを受けられますし、訴訟によって判決が出たときにも慰謝料を支払わせることができます。
    不倫相手が調停や訴訟で決まった内容に従わない場合には、相手の資産や給料などを差し押さえることができます。

6、不倫の慰謝料請求のことなら弁護士へご相談ください

不倫相手に慰謝料請求するときには、時効にも注意しなければなりませんし、慰謝料相場についての知識も必要です。
自分で請求手続をすすめると、気づかない間に時効が成立してしまったり、不倫相手との示談交渉がこじれてトラブルになってしまったりする可能性が高くなります。
また、不倫されたら配偶者との離婚手続きへの対応も必要となり、財産分与や子どもの親権、養育費などの問題についても決めなければなりません。
このような法律的な事項に適切に対応するには、専門知識を持った弁護士によるサポートが必要です。不倫相手に慰謝料請求をするときには、まずは弁護士までご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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