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離婚前提で別居するとき住民票は移すべき? 保険証などで受ける影響

2023年05月29日
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離婚前提で別居するとき住民票は移すべき? 保険証などで受ける影響

広島県が公表する「令和3年人口動態統計年報第50号」によると、広島市における令和3年中の離婚件数は1780でした。現時点ではまだ離婚に至っていなくても、離婚を視野に入れ、別居を検討している方もいらっしゃるでしょう。

では、別居する際、住民票は移動したほうがよいのでしょうか、そのままの方がよいのでしょうか。保険証や児童手当などの関係もあり、悩まれる方は少なくないようです。本コラムでは、離婚を前提にした別居に伴い住民票はどのようにしたらよいのか、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士が解説します。

1、離婚前提の別居は住民票を移したほうがいい?

当職が現在同居中の方から離婚相談を受けていると、よくされる質問があります。
それは、「別居したほうがいいの?」ということと、「住民票を移したほうがいいの?」という質問です。

別居したほういいかどうかについては、状況にもよりますが、たいてい「ご離婚をしたいのなら、別居してください」とお答えしています。

離婚の方法には、ざっくりいいますと、①裁判離婚、②審判離婚、③調停離婚、④協議離婚があります。そして、①裁判離婚のうち、判決離婚は、裁判所がする判決によって離婚が成立するものですから、相手方が離婚に同意してくれなくても離婚できます。

これに対し、②審判離婚、③調停離婚、④協議離婚については、相手方の同意がないと離婚ができません。そのため、相手方が離婚に同意してくれそうにない場合は、①裁判離婚のうち、判決離婚をめざすことになります。

もっとも、判決離婚には、民法に定められた離婚事由(民法770条1項)が必要です。そして、実務上、長期間の別居も裁判上認められる離婚事由になるといわれています。そのため、離婚をしたいのであれば、別居をするほうがおすすめです。

2、住民票を移すことによるメリット・デメリット

  1. (1)原則、住民票は移さなければならない

    まず、大前提として、引っ越しをした場合は、法律上、14日以内に、住民票を移さなければなりません(住民基本台帳法23条1項)。そして、これに違反すると、5万円以下の過料に処されます(住民基本台帳法52条2項)。そのため、移しておいたほうがよいといえるでしょう。

    ちなみに、あまり知られていないのですが、引っ越す前に、あらかじめ、転出予定日や転出先の届け出をしなければなりません(住民基本台帳法24条)。これに違反すると、5万円以下の過料に処されます(住民基本台帳法52条2項)ので、引っ越しが決まったら、早めに手続きをしておきましょう。

  2. (2)住民票を移すメリット3つ

    ①児童手当を直接振り込んでもらえる可能性があること
    両親が離婚協議中で別居している場合、児童手当は子どもと一緒に住んでいる親に支給されますが、住民票を移していないと、児童手当が夫に振り込まれてしまいます。

    夫婦の関係がうまくいっていないと、夫に振り込まれた児童手当を、夫が妻に渡してくれないことも多々あります。
    ですが、住民票を移すと、子どもと一緒に住んでいる親に優先的に支給されますので、別居中であっても、児童手当を直接受け取れる可能性が高くなります。

    別居中、直接自分の口座に児童手当を振り込んでほしい場合は、各市区町村や、夫が公務員であるかどうかで取り扱いが異なる可能性があります。
    児童手当が直接振り込まれるかどうかは大切ですから、事前に確認をしておいたほうがよいでしょう。

    ②子どもを近くの保育園・小学校等に通わせることができる可能性があること
    公立小中学校は、原則として、対象地域に住所がないと、入れません。
    また、保育園も、自治体にもよりますが、基本的には、住所がその自治体にないと、入ることができません。
    そして、対象区域に住所があることを確認するため、住民票を移していることが必要になることが通常です。

    遠方の実家に帰って別居をする場合、従前の保育園や学校に通い続けることは困難ですから、近隣の保育園や公立学校に通わせるためには、住民票の異動が必須となるといえるでしょう。

    ③そのほか公的給付金やサービスを直接受けられる可能性があること
    広島市をはじめとした市区町村では、児童手当などのほかにも、さまざまな理由で給付金などが給付されることがあります。たとえば、令和5年5月には、低所得世帯(住民税非課税世帯等)を対象にした「令和5年度低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金(ひとり親世帯以外分)」についての案内が広島市のホームページに掲載されています。

    このような、公的給付金や公的サービスを受けるには、住民票が基礎になることが多いので、住民票を移しておくと、さまざまな公的給付金やサービスを、配偶者ではなく、自分が、直接受けられる可能性が上がるといえるでしょう。

  3. (3)保険証や戸籍など、住民票を移すことの影響

    上述のようにメリットがある一方で、デメリットもあります。

    ①新たに社会保険に入らなければならなくなる可能性があること
    ご主人が会社員で、ご自身が専業主婦の場合、ご主人が被保険者となり、ご自身やお子さまは、被扶養者として被保険者となっていることがほとんどです。

    ご主人が会社員の場合など、奥さまがご主人の健康保険に被扶養者として被保険者となっている場合、どの団体に加入しているかにもよりますが、もっとも一般的な協会けんぽでは、配偶者は、住民票を移しても、届け出をすればそのまま加入し続けることができることが多いようです。

    こう聞くと、社会保険料の節約のために住民票を移さないほうがいいと考える方もいるかもしれません。しかし、別居中、ご主人から「妻を扶養から外してほしい」と請求があった場合、扶養から外されてしまいます。

    夫婦関係がこじれている場合は、夫が妻を困らせようとしてそのようなことを言ってきたり、実際に扶養から外したりするケースも少なくはありませんから、ご主人の社会保険に被扶養者として入っていることで、健康保険が不安定なものになります。

    また、離婚が成立すれば、結局は国民健康保険などに加入しなければならなくなります。そのうえ、扶養に入っていると、扶養の調査等に協力しなければならなくなりますから、ご主人との連絡回数が増えてしまいます。したがって、メリットばかりではありません。

    なお、ご主人が国民健康保険で、被扶養者になっていた場合、別居により住民票を移すことで、自分で国民健康保険に加入しなければならなくなります。

    ②住所が配偶者にわかってしまうこと
    また、住民票を移すことによって、住所が配偶者にわかってしまうことがデメリットとして挙げられます。
    住所が変わった旨の届け出をすると、戸籍の附票というところに転記されます。
    配偶者は、通常、この戸籍の附票を取得できますから、配偶者に住所がわかってしまうおそれがあります。
    そのため、DVやストーカーなどの被害にあっている方は、住民票の閲覧制限を、住民票のある自治体で申請しておいたほうがよいでしょう。

3、別居をする際に知っておいてほしいこと

  1. (1)夫婦の同居義務について

    夫婦には同居義務があり(民法752条)、これに違反すると「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)とされるおそれがあります。
    ですが、「悪意の遺棄」にあたるような別居は、理由もなく、一方的に、他方配偶者や子どもを放置して、自宅を出て別居を続けるような状態を指します。
    状況にもよりますが、別居することについてよく話し合ってから、別居を開始したほうが望ましいといえるでしょう。

  2. (2)別居中の生活費を請求できる可能性があること

    夫が会社員で、妻が専業主婦の場合、別居中の生活費を夫に請求することができる可能性があります。この生活費を「婚姻費用」といいます。
    そして、この「婚姻費用」としていくらが妥当であるかは、まずは話し合いによって決めますが、話し合いで決まらなかった場合や話し合いができない場合などは、裁判所が決めることになります。
    裁判所が決める場合、「算定表」という表が使われており、この算定表から具体的な事情に応じて修正がなされ、婚姻費用が決められています。
    別居中、十分にお金が払ってもらえていない、と感じるときは、もらっている婚姻費用が適切かどうか、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

  3. (3)子どもを連れて行くかどうか

    また、別居を考えている方からの相談で多いのが、「子どもを連れて行ってもいいですか」というものです。
    配偶者の承諾なく、不適切に子どもを連れて行くと、法的手続きによって子どもを取り返されてしまう可能性があるほか、親権者として不適格とされて、後で親権が争いになった場合に、親権をとりにくくなってしまうおそれがあります。

    子どもを連れて行きたい場合は配偶者に同意を得ておいたほうがよいことはもちろんですが、子どもの環境が変わって子どもに負担をかけないか、子どもはどこに住みたいと思っていそうかなどをよく検討する必要があります。

4、離婚のために別居を検討している方は弁護士へ相談を

離婚のために別居を検討している場合、どのくらい婚姻費用をもらえそうか、子どもを連れて行くかどうかなど、ある程度の法的知識を得たうえで、考えたり、配偶者と話し合ったりすべきことが多々あります。
そのため、一度お近くの法律事務所で相談なさることをおすすめします。

また、ご自分で配偶者と話し合いができる場合は不要ですが、夫婦関係がうまくいかなくなると、スムーズにお話しできないことがほとんどです。そのような場合、弁護士に依頼すると、費用はかかりますが、配偶者とのやり取りを弁護士が代わりに行いますので、ストレスが減る方もいらっしゃいます。

加えて、弁護士に依頼すると、法的手続きで婚姻費用を請求する方法にたけていますし、法的にいくらが妥当な婚姻費用かをある程度見通すこともできますので、不要な譲歩をせず、適切な婚姻費用を請求できる可能性が高まります。

5、まとめ

離婚に伴い別居を決意することは非常につらいことでしょう。しかし、離婚することじたいが非常に精神的な負担が大きいものであるだけでなく、さまざまな手続きが必要となるものです。さらに、財産分与や養育費など、離婚時の条件次第では、将来に大きな影響を及ぼしてしまう可能性があります。まずは気持ちを落ち着けられる環境に身を置いて冷静になってから、ひとりで悩むのではなく、弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。

もしお困りのことがございましたら、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスまでご相談ください。弁護士が力になります。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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