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工事の騒音に苦情をいいたい! 損害賠償請求や法的な規制はできる?

2020年07月03日
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工事の騒音に苦情をいいたい! 損害賠償請求や法的な規制はできる?

隣の空き地にマンションが建つことになり、大がかりな工事を始めました。
家にいる時間が長い方は、毎日、工事の騒音がうるさくてストレスを感じていることも多いでしょう。
この騒音の苦情はどこにいえばいいのでしょうか。
また、法的に騒音を止めたり、ストレスに対する損害賠償を請求できたりするのでしょうか?
毎日苦痛な方に向けて、ベリーベスト法律事務所 広島オフィス所属の弁護士が説明します。

1、工事の騒音は法律で規制されている

騒音には、人の声などの生活騒音と、工事などの騒音があります。
建設作業による騒音については、一定の場合に、法律上の規制があります。

①騒音規制法
騒音規制法という法律があり、工場や建設作業による騒音について、一定の場合に、規制をしています。

都道府県知事は、住居が集合している地域、病院または学校の周辺の地域その他の騒音を防止することにより住民の生活環境を保全する必要があると認める地域について、指定することができます(騒音規制法3条)。この騒音を防止する必要があると指定された地域を、「指定地域」といいます。そして、騒音規制法によって、工事をした場合における騒音の規制を受けるのは、この「指定地域」です。

広島でいいますと、広島市全域が、この騒音防止の「指定地域」とされています。
そして、指定地域内の工事の騒音について、すべて騒音規制法の規制がされているわけではありません。

規制を受けるのは、「特定建設作業」といわれる、騒音のおそれが大きい建設作業です。
「特定建設作業」とは、いちじるしい騒音を発生させる可能性が高い建設作業のうち、政令で決められたものをいいます(騒音規制法2条3項)。令和2年5月時点では、使用する建設機械に応じて、特定建設作業かどうかが定められています。たとえば、くい打機やさく岩機、バックホウなどを使う建設作業などが、特定建設作業に指定されています。

②振動規制法
振動規制法という法律もあり、建設作業による振動について、一定の場合に、規制をしています。
こちらも騒音規制法と同じように、都道府県知事などが、ある地域を振動規制する必要があるとして指定すると、その地域内の振動が規制されます(振動規制法3条)。

そして、その指定地域内でされる「特定建設作業」が規制を受けます。「特定建設作業」とは、いちじるしい振動を発生する建設作業として、政令で指定されているものです。現在、特定建設作業としては、くい打機を使う作業や、鋼球を使用して建築物その他の工作物を破壊する作業などが指定されています。

2、騒音の基準とは

先にお話したように、騒音や振動に、規制がかかる場合があります。
では、どのくらいの規制基準なのでしょうか。

①騒音規制法上の規制基準
騒音規制法上、規制を受ける特定建設作業をする場合、作業の騒音防止の方法など規定の事項を、作業開始の7日前までに、市区村長に届け出しなければならないとされています(騒音規制法14条)。そのため、特定建設作業を行う場合は、特定建設作業実施届出書などで、事前に、市町村長に、届け出していることがほとんどです。

騒音規制の基準となる数値は、指定地域の種類によって異なります。
具体的に例をあげますと、指定地域のうち、第1号区域では、「敷地境界において85デシベルを超えないこと」とされています。

そして、作業時間について、原則として、午後7時~午前7時は作業をしてはならず作業時間は、1日あたり10時間以内、連続6日以内とされています。
加えて、原則として、近隣住民が自宅にいることが多い日曜その他の休日は、作業をしてはならないことになっています。

もっとも、災害や緊急事態により緊急に特定建設作業を行う必要がある場合は、この限りではありません。
第2号区域も、「敷地境界において敷地境界において85デシベルを超えないこと」とされているのは同様ですが、作業時間が異なります。

具体的には、午後10時~午前6時に作業をしてはならず、作業時間は、1日あたり14時間以内、連続6日以内とされています。日曜その他の休日は作業をしてはならないとされています。

災害や緊急事態による緊急に特定建設作業を行う必要がある場合は、この限りではないことも同様です。
ご自身のお住まいがこれらの区域に指定されているかどうかについては、自治体に問い合わせるのが確実です。

②振動規制法上の規制基準
振動規制法上の規制基準も紹介いたします。
振動規制法上、指定区域内で特定建設作業をする場合、当該特定建設作業の開始の日の7日前までに、振動の防止の方法等振動対策などといった規定の事項を、市町村長に届け出なければならないとされています。

そして、振動の許容限度は、75デシベルとされています。そして、作業時間について、第1号区域では、午後7時~午前7時に作業してはならず、作業時間は1日10時間以内とされており、連続作業は6日以内までとされています。

作業時間について、第2号区域では、午後10時~午前6時に作業してはならず、作業時間は1日14時間以内とされており、連続作業は6日以内までとされています。
日曜その他の休日には作業をしてはならないことや、災害や緊急事態による緊急に特定建設作業を行う必要がある場合は、この限りではないことも、騒音の場合と同様です。

3、工事の騒音はどこへ相談すべきか

では、実際に工事の騒音で困っている場合、どこへ相談するべきでしょうか。
まずは、施行主に直接相談してみるのもひとつの方法です。困っていることを伝え、対策をとってほしい旨を伝えることになります。ですが、施行主が対策をとってくれないことも考えられます。

改善がなければ、役所に相談してみるほかありません。現場が指定区域となっているか、なっているとして、区域の区分は何か、条例などによる規制がないかなど詳しく相談してみましょう。

基準に違反するような騒音が出ている場合、市町村長が改善勧告や改善命令(騒音規制法15条)を出してもらえないか、相談してみてください。改善命令に違反すると、罰金を科されるおそれがありますから、改善命令が出された場合、施行主が騒音対策に本腰を入れる可能性があります。

とはいえ、市町村長も思うように動いてくれないケースも多々あります。そのような場合は、騒音等の証拠等をもって、弁護士に相談してみましょう。騒音がやまない場合、弁護士が検討する対応としては、①差し止めといって騒音が出る行為をやめさせるよう求める方法と、②損害賠償を求める方法が考えられます。

なお、①差し止めが認められるには、騒音が「受忍限度」を超えるものでなければならないとされています(最判平成6年3月24日判時1501号96頁)。では、どのような場合に「受忍限度」を超えるものとされるかですが、裁判例上、騒音の程度、性質、被害の内容、程度等を考慮しているように読めるものが多いです。基準から逸脱している場合は、その程度も考慮されることもあります。

4、騒音による損害賠償請求はできるか

では、騒音による損害賠償請求はできるのでしょうか。
名古屋地裁判決平成17年11月18日判時1932号120頁は、受忍限度を超えているとして条例の規制基準である50デシベルを超える音量の騒音を流入させてはならないという限度で差し止めを認めたうえで、10万円の損害賠償請求も認めています。
このように、損害賠償が認められるケースもあります。

損害賠償請求について、この名古屋地方裁判所の判決では、判決の基準になる時点(口頭弁論終結時といわれています)において、生じたものしか認めていないところに注意が必要です。将来の損害賠償請求については、認められない可能性が高いためです。

5、まとめ

騒音は毎日生じるものですので、非常につらいものがあります。
規制基準は地域性がありしくみも複雑ですから、お困りのことがありましたら、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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