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外国人介護士を雇うときに必要な「介護ビザ」を取得させる方法を解説

2020年02月07日
  • 一般企業法務
  • 介護ビザ
  • 広島
外国人介護士を雇うときに必要な「介護ビザ」を取得させる方法を解説

少子高齢化によって人手不足が深刻になっています。一方で、高齢者の増加で介護人材の需要は増えるばかりです。そんな中、政府は介護人材の不足を補うべく外国人労働者の受け入れ拡大のため、入国管理法を改正し2019年の4月から施行されました。

これから外国人労働者を積極的に採用していきたいと考えている事業者も多いと思いますが、介護ビザの取得方法や外国人労働者を採用するにあたって注意すべき点など気になることも多いと思います。

そこで、今回は、介護ビザの取得方法や外国人労働者を雇用する際の注意点についてベリーベスト法律事務 広島オフィスの弁護士が解説します。

1、介護人材の不足

経済産業省の試算によると、介護関連の従事者数は2015年が183万人で人材不足は4万人ですが、2025年には供給が215万人で不足は43万人になり、2035年には供給が228万人で不足が79万人に膨らむとしています。2015年から2035年で不足人数が約20倍にもなります。

少子高齢化によって社会全体で人手不足が深刻化する中、介護需要は今後ますます増大することが見込まれるため人材不足が顕著となっています。介護職の人材不足は、少子化だけでなく、きつい、きたない、危険といういわゆる「3K」のイメージが付きまとうため人気がなく、また離職者も多いという問題があります。また、介護職は仕事が大変なわりには、給料が安いという問題も指摘されています。

これらの問題については、介護ロボットの導入や要介護者を増やさないための政策が必要と考えられますが、すぐに対応できるというものではないでしょう。また、介護職の待遇改善と介護職員のための保育施設の設立なども重要になってくると思われます。

このような現状から、政府は、介護職の外国人人材の受け入れ拡大を決定し、今年4月1日から新たな外国人材の受入れのための在留資格「特定技能」という在留資格を新設しました。

2、介護における外国人労働者の受け入れ体制について

外国人が日本で生活するためには「在留資格(ビザ)」が必要になります。在留資格の中でも働くためのビザは「就労ビザ」と呼ばれています。

今年4月に「特定技能」という、外国人が日本で働くことのできる「在留資格(ビザ)」が新設されました。これは、人手不足が深刻になると予想されている業種を「特定技能」として在留資格を与えるものです。介護職も当然のことながら、その一つとなっています。

「特定技能」は、業種によって1号・2号に分けられており、介護職は1号になります。
主な違いは、日本にいられる在留期間です。「特定技能2号」は、条件を満たせば何度でも更新することができるため、ずっと日本で働くことが可能ですが、「特定技能1号」は最長5年という期限が定められています。受け入れ国には原則制限はありません。雇用も受け入れ企業と直接契約できるなど、外国人労働者にとっては働きやすい環境にあるといえます。

ただ、介護職で特定技能1号になるためには、技能試験と日本語試験に合格しなければなりません。いずれも試験は海外で現地の言語で実施されるため、受験のために日本へ来る必要はありません。

今回の「特定技能」の追加によって、介護職で外国人労働者を受け入れる在留資格は4種類になりました。その他の3つは、①EPA介護福祉士候補者、②在留資格「介護」、③技能実習です。

①EPA介護福祉士候補者
EPA介護福祉士候補者は、2008年から開始された制度で、日本の介護施設で就労・研修を受けながら、介護福祉士の資格を目指す外国人労働者に与えられる在留資格です。3か国との経済連携協定のため、受け入れ国はインドネシア、フィリピン、ベトナムに限定されます。在留期間は最長4年とされていますが、介護福祉士(国家資格)に合格すると、在留資格「介護」の制度を利用して働き続けることが可能になります。

②在留資格「介護」(介護ビザ)
在留資格「介護」は、2017年9月に認められた在留資格(ビザ)です。在留資格「介護」を得るためには、①介護福祉士の資格があること、②介護福祉士として業務に従事すること、③日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることという要件を満たすことが必要になります。

介護福祉士の資格を取るためには、①2年以上介護福祉養成施設で就学すること、②国家試験に合格することが必要です。ただし、2021年度までの養成施設の卒業生は、介護福祉士試験に合格しなくても、卒業年度の翌年度から5年間は介護福祉士となる資格を有する者とする経過措置が設けられています。

在留資格「介護」は、受け入れ国に制限がなく、在留期限もありません。そのため、条件さえ満たせば、更新により、ずっと日本で働くことが可能です。

③技能実習
技能実習は2017年11月に導入された制度です。日本の労働力不足を解消するための受け入れではなく、受け入れた外国人の母国での産業に生かすため、日本の技術を身につけるというのが目的になっています。こちらの受け入れ国は、各国との協力覚書により、15か国が対象となっています。具体的には、インド、インドネシア、ウズベキスタン、カンボジア、スリランカ、タイ、中国、ネパール、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、ペルー、ミャンマー、モンゴル、ラオスです。

3、介護ビザのメリットとデメリット

以上のように、介護職には4種類の在留資格があるわけですが、期間制限なく、専門性を持つ外国人に働いてもらうためには、在留資格「介護」(介護ビザ)を取ってもらう必要があります。

介護ビザを取得する流れとしては、「留学」の在留資格で介護福祉士養成施設に入ってもらい、そこで2年以上修学した上で、介護福祉士の国家試験に合格すれば、在留資格を「留学」から「介護」に変更できます。

【メリット】

  • 受け入れ国に制限がない
  • 更新により期間制限なく日本に在留できる
  • 配偶者や子どもも「家族滞在」の在留資格で在留することが可能になる

【デメリット】

  • はじめは「留学」の在留資格を取得し、養成施設に入らなければならない
  • 介護福祉士に合格後は、在留資格を変更しなければならないなど手続きが煩雑であること
  • 在留資格「介護」をとるまで時間がかかる

4、介護ビザ取得の手続き

介護ビザを取得するための要件、①介護福祉士の資格があること、②介護福祉士として業務に従事すること、③日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることという要件を満たす場合、介護ビザを申請することができます。申請には、次の書類が必要になります。

【提出資料】

  • 在留資格変更許可申請書
  • 写真(縦4cm×横3cm)
  • パスポート及び在留カード
  • 介護福祉士登録証(写し)
  • 日本の介護福祉士養成施設の卒業証明書
  • 労働者に交付される労働条件を明示する文書
  • 契約期間の概要を明らかにする会社案内など

入国管理局への申請は、本人でもできますが、日本の行政手続きは非常に複雑なので、次のような者に申請の取り次ぎを認めています。

  • 申請人が経営している機関又は雇用されている機関の職員
  • 申請人が研修又は教育を受けている機関の職員
  • 外国人が行う技能,技術又は知識を修得する活動の監理を行う団体
  • 外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員
  • 地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士又は行政書士で、申請人から依頼を受けたものなど

5、外国人労働者を採用するための手順と注意点

介護施設が、外国人労働者を採用する場合、日本人とは違う注意が必要です。

  1. (1)在留資格の確認

    当然のことですが、外国人が日本に在留するためには、「在留資格」が必要です。介護で採用する場合には、在留資格「介護」(介護ビザ)が与えられていることが必要になります。採用する施設においては、在留資格が間違いないかどうか確認する義務があります。必ず「在留カード」と「パスポート」を確認するようにしましょう。

  2. (2)雇用契約書の作成

    日本の場合、労働条件を明示するだけで、雇用契約書を交わさないことも多いですが、外国では契約書を交わすのが一般的なので、契約書は必ず作成するようにしましょう。契約書を作成しておくことは、後でトラブルになったときの証拠になるので、その点でも重要です。外個人は日本人以上に権利意識が高いので訴えられる可能性もあるからです。

  3. (3)日本の労働慣行について

    日本では常識の労働慣行であっても、外国人からするとものすごく変わっていると思われることがあります。たとえば、会社が歓迎会を開くという場合、なぜプライベートな時間に会社の人と会わなければならないのかクレームの原因になります。また、定時に帰るのが基本なので残業を依頼する場合には、割増賃金があることを説明する必要があります。日本の文化を強要することはできないので、長期間働いてもらうためには、できるだけ理解してもらえるよう努力が必要です。

  4. (4)必要な届け出

    事業主は、新たに外国人を雇い入れた場合、その者の氏名、在留資格、在留期間その他厚生労働省令で定める事項について確認し、当該事項をハローワークに届け出なければなりません。また、労働保険や社会保険の加入についても日本人と同様手続きが必要になります。

6、まとめ

介護の仕事は命にかかわる仕事なので、人がいないからと手を抜くわけにはいきません。かといって、過重労働で職員に倒れられても困ってしまいます。そこで、外国人人材の活用が避けられない状況にあるわけですが、日本の行政手続きは複雑なので、申請をするのは大変な作業です。

もし、外個人労働者を受け入れたいと考える場合には、事務負担を軽減するためにも、弁護士や行政書士を活用してビザの申請をするというのも検討してみるとよいのではないでしょうか。

ベリーベスト法律事務所広島オフィスでは、外国人労働者の受け入れにかかる相談業務なども行っておりますので、ぜひお気軽に相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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