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発達障害者も障害者雇用枠の対象に。 障害者雇用促進法の注意点を解説。

2021年05月11日
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  • 発達障害
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発達障害者も障害者雇用枠の対象に。 障害者雇用促進法の注意点を解説。

広島市統計書によると、平成30年度における広島市内の障害者相談支援件数は34451件でした。

近年では、障害者の社会参画を促進するため、障害者雇用の拡大が社会全体の課題となっています。
発達障害者についても、社会に適応することの難しさをふまえたうえで、どのように社会のなかで活躍を促すかが問題となるでしょう。

発達障害者をサポートするための法律としては、基本的な理念や発達障害者支援センターの設置などを定める「発達障害者支援法」のほかに、「障害者雇用促進法」があります。

障害者雇用促進法では、事業者に対して一定数の障害者を雇用することが義務付けられています。
事業主としては、発達障害者を含めた障害者を雇用することを前提としつつ、人材配置や職場環境を見直すことが大切になるのです。

本コラムでは、発達障害者の雇用に関する障害者雇用促進法上のルールや、障害者雇用の注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士が解説いたします。

(出典:「広島市統計書(令和元年版) P社会福祉」(広島市))

1、発達障害の種類・特徴について

ひと口に「発達障害」といっても、その症状にはさまざまなパターンが存在します。
主な発達障害の種類や特徴は、おおむね以下のとおりです。

  1. (1)ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)

    ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)は、感情や認知などに関する脳の異常を原因として、以下のような症状を発する障害です。

    • 社会的なコミュニケーションが困難
    • 興味や活動が偏る


    ASDの人には、「空気が読めない」「こだわりが強すぎる」などの傾向があるため、会社で同僚とうまくコミュニケーションをとることが困難な場合があります。
    その反面、「集中力が高い」「特定の分野に高い能力を発揮する」など、優れた面も持ち合わせているのです

  2. (2)ADHD(注意性欠陥多動性障害)

    ADHD(注意性欠陥多動性障害)は、年齢に比べて不注意や落ち着きがない、衝動性などの傾向があります。

    社会人になっても、ADHDの人には下記のような問題を抱えている場合があります。

    • 仕事上のミスが多い
    • 上司などの指示に従うのが難しい
    • 離席が多い


    その反面、ADHDの人には「独創性や決断力に優れている」「好奇心旺盛である」などの長所もあります

  3. (3)LD(学習障害)

    LD(学習障害)とは、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論するという各能力のうち、特定のものが著しく未発達である発達障害です。

    LDの人は、全般的な知的発達に遅れはないため、多くの業務を通常どおりこなすことができますが、未発達な能力を用いる業務からは外してあげるなどの配慮が必要となるでしょう。
    一方で、発達に問題がない能力については、優れた水準で能力を発揮することも多くあるのです

2、発達障害者の雇用に関する法律は?

発達障害者を含む障害者の雇用に関するルールは、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(障害者雇用促進法)において規定されています。
障害者雇用に関する具体的なルールについて、詳しく解説いたします。

  1. (1)発達障害者も障害者雇用促進法上の雇用義務の対象

    障害者雇用促進法第43条第1項では、一定数以上の労働者を雇用する事業主に、障害者を一定数雇用することが義務付けられています。

    事業主の雇用義務を満たすために雇用すべき障害者には、身体障害者・知的障害者・精神障害者などさまざまなタイプが存在しますが、そのなかには発達障害者も含まれることが、法律上明記されているのです(同法第2条第1号)。

    したがって、事業主は発達障害者を雇用することによって、同法所定の障害者雇用義務を履行することが可能となります。

  2. (2)事業主が雇用しなければならない対象障害者の人数は?

    事業主が雇用すべき障害者の人数は、以下の計算式によって求められます。

    雇用が義務付けられる障害者の人数=常時雇用している労働者の人数×障害者雇用率
    ※1人未満の端数は切り捨て


    障害者雇用率は、社会全体における障害者の割合を基準として、政令によって定められています。2021年2月28日までは0.022(2.2%)、同年3月1日からは0.023(2.3%)とされています。

    したがって、令和3年3月1日からは、43.5人以上の労働者を常時雇用する事業者は、1人以上の障害者を雇用しなければなりません

    なお、短時間労働者や重度身体障害者・重度知的障害者については、以下の人数分とカウントされます。

    短時間労働者 0.5人
    重度身体障害者・重度知的障害者(短時間労働者を除く) 2人
    重度身体障害者・重度知的障害者(短時間労働者) 1人
  3. (3)障害者の雇用義務を果たさない事業主へのペナルティは?

    上記のルールに従い、1人以上の障害者を雇用する義務を負う事業主は、障害者の雇用状況について、毎年1回、厚生労働大臣に報告をする義務も負います(障害者雇用促進法第43条第7項)。
    この報告義務を果たさない場合、または虚偽の報告をした場合には、事業主が30万円以下の罰金に処されるのです(同法第86条第1号)。

    同法所定の障害者雇用義務を履行しない場合、ハローワークから行政指導が行われるほか、厚生労働大臣による雇用計画作成命令や、事業主名公表の対象になる可能性があります(同法第46条第1項、第47条)。

    また、常時使用している労働者数が100人を超える事業主が、障害者雇用率を未達成の場合、不足人数に応じて、1人あたり月額5万円の「障害者雇用納付金」を納付しなければなりません(同法第53条第1項、第2項)。

    逆に、常時使用している労働者数が100人を超える事業主が、障害者雇用率を超えて障害者を雇用している場合には、超過人数に応じて、1人あたり月額2万7000円の「障害者雇用調整金」を受給することができるのです(同法第50条第1項)。

3、発達障害者を雇用する際の注意点

事業主が発達障害者を雇用する場合、その能力や性格などに合わせて、配慮の行き届いた人材配置や職場環境の改善を行うことが大切です。

  1. (1)発達障害者の特徴を生かして適材適所の配置をする

    発達障害者は、障害の種類や度合いに応じた欠点を持っている反面、長けた能力も持ち合わせてもいます。
    そのため、個々人の得意分野や好み、苦手なことなどを理解したうえで、発達障害者特有の強みを発揮できる適材適所の人材配置を行えば、事業主にとっても利益につながるでしょう。

  2. (2)職場環境を発達障害者に配慮して見直す

    発達障害を持った人は、周囲の同僚とのコミュニケーションがうまくいかないことに悩むこともあります。
    そのため、発達障害者や周囲の同僚にストレスがかかり過ぎないように、発達障害者の支援体制が整った職場環境を整えるための工夫が求められるのです

    具体的には、以下のような工夫が考えられます。

    • 口頭でのコミュニケーションを強制せず、社内チャットなどによる文章でのコミュニケーションを活用する
    • 発達障害者が混乱しないように、スケジュールはなるべく早く伝える
    • 指示をホワイトボードに記載したり、PCやアプリのタスク機能を活用させたりするなどして、指示を忘れても思い出せるようにする
    • 指示を出すときには曖昧な表現を用いず、具体的な指示や数値化した指示を出す
    • 過度な集中による過労を防ぐため、休憩時間には積極的に声がけをする
    • 発達障害者に対するカウンセリングを定期的に実施する
    • 周囲の同僚などの社員に、発達障害者に対する理解と協力を促す研修を実施する


    会社の社風や業務形態と発達障害者の特徴を考慮しながら、さまざまな工夫を試みると良いでしょう。

    また、就業規則などの社内ルールにおいて、発達障害者を含む障害者に対する配慮を全従業員に義務付ける規定を設けることも効果的である場合があります。

4、発達障害者の雇用については弁護士に相談を

発達障害者の雇用に関する方針を決定し、実際に発達障害者を雇用するにあたっては、いちど弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。

発達障害者を含む障害者の雇用に関しては、障害者雇用促進法をはじめとして、労働関連法制による規制がかかっています。
事業主としては、適用される法令を遵守しつつ、発達障害者が職場に馴染めるような環境づくりを並行して行うことが必要です。

弁護士は、発達障害者の雇用に関する法令遵守について、アドバイスを提供することができます
また、実際に発達障害者の雇用に関して発生する法的なトラブルへの対応や、法的なトラブルの予防などに関し、事業主がとるべき措置について法的な観点からサポートすることも可能です。

5、まとめ

一定数以上の労働者を雇用する事業主は、障害者雇用促進法に基づき、障害者を雇用する義務を負っています。


発達障害者を含む障害者の雇用については、通常の労働者を雇用する場合よりも法的なトラブルが生じやすいため、いちどベリーベスト法律事務所 広島オフィスにまでご相談ください
会社や事業所ごとのご事情を考慮しながら、経営者や事業主がどのような対応をとるべきかについて、弁護士が親身になってアドバイスをいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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