【前編】リボ払いも債務整理できる? リボ払いが苦しくなった場合の対処法とは
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国民生活センターの調べによると平成19年から平成28年にかけて、リボ払いに関する相談件数は200件台から806件と4倍近く増えています。この相談件数の多さからも、多くの方がリボ払いを選択し、支払いに苦しんでいることがわかります。
リボ払いは、当初の支払金額は少額でも、カードの決済が増えるとともに毎月の返済額が増額し、気が付いたときには支払いが困難な金額になることも少なくありません。リボ払いの増加により、生活に支障をきたしている方もいるでしょう。
そこで、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士がリボ払いの返済を軽減することができる債務整理について丁寧に解説します。
目次
1、リボ払いとは? その仕組みを知っておこう
リボ払いの債務整理について解説する前に、リボ払いの概要について説明します。近年では、自動的にリボ払いに設定される「リボ払い専用カード」も登場しており、リボ払いの仕組みを知らないまま利用し続け、気づいたときには多額の借金を抱えていたという方も少なくありません。
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(1)リボ払いとは
リボ払いとは、クレジットカードで買い物をした際の支払い方法のひとつです。
リボ払いは、その他の支払い方法とは異なり、毎月の返済額が一定にできます。リボ払いの支払い方法は大きく分けて定額方式と残高スライド方式の2種類です。
定額方式は、支払残高に関わらず毎月一定の金額を返済する方法です。返済額が変わらないので毎月の資金計画が立てやすいというメリットがありますが、低い返済金額に設定すると返済期間が長引き、いつまでたっても返済が終わらない、支払う手数料が高額になるというデメリットがあります。
残高スライド方式は、リボ払いの支払残高に応じて返済金額が増減する返済方法です。「10万円以下は5000円」などと設定されており、支払残高に応じて返済額が決定されます。
どちらの返済方式でも、手数料が発生します。したがって、実際に支払った金額よりも大きな金額を支払わなければなりません。 -
(2)ショッピング枠とキャッシング枠
クレジットカードには、買い物の際の決済機能だけでなくお金を借りるキャッシング機能もあります。クレジットカードの利用枠は「ショッピング枠」と「キャッシング枠」に分かれているように見えますが、実はショッピング枠の中にキャッシング枠も含まれているため、キャッシングをしてお金を借りるとショッピング枠が減少してしまいます。
キャッシングで借りたお金は、1回払いかリボ払いによって返済することになります。クレジットカード会社によっては、初回設定がリボ払いになっていることも少なくありません。 -
(3)リボ払いで返済不能になる理由
リボ払いは、毎月の支払額が一定になるため家計への負担が少ないと考えられています。しかし、実際には冒頭でお話ししたように国民生活センターへの相談件数は急増しており、多くの方がリボ払いに苦しんでいることがわかります。
クレジットカードは、ショッピング枠やキャッシング枠を使い果たした時点で、利用できなくなります。つまり、返済に専念しなければなりません。
たとえば限度額が50万円のクレジットカードで日常の買い物をすべて決済して、返済方法をリボ払いにすると、限度額が上限に達するまでは毎月数千円から数万円の負担で多額のお買い物が可能です。しかし、限度額に達した時点で、クレジットカードでの決済は不可能になり、毎月の買い物プラス月々の返済を行わなければなりません。
クレジットカードのショッピング枠に頼って生計を立てていた方は、この時点で返済が滞り生活が破綻する可能性があります。
また複数のクレジットカードでリボ払いを続けている場合、ひとつひとつの返済金額は数千円から数万円と定額でも、合算すると家計を脅かす金額になりかねません。クレジットカードの限度額をすべて使ってしまった場合は、カード決済もできず返済だけが膨れ上がり、返済不能な状態に陥ります。
2、リボ払いは債務整理できる? 債務整理の種類と方法
キャッシングやカードローンなどのいわゆる「借金」は債務整理をすることで、返済額を減額したり、返済義務を免れたりすることができます。しかしリボ払いが債務整理の対象になることはあまり知られていないようです。
リボ払いで決済したお金もすべて「債務」です。したがって、債務整理の対象となります。つまり、リボ払いの残高を債務整理することで、生活を立て直すことが可能なのです。
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(1)債務整理とは
まずは債務整理に簡潔に説明します。債務整理には大きく分けて以下の4種類があります。
- 任意整理
- 過払い金請求
- 個人再生
- 自己破産
クレジットカードのリボ払い以外にも借り入れがある場合は、その借金も含めて整理することができます。債務整理は、裁判所に申し立てるもの、債権者と任意で話し合うものがありますが、どちらも必要な書類や手続きが複雑なものです。弁護士に依頼したほうがよいでしょう。 -
(2)任意整理
任意整理とは、クレジットカード会社や銀行、消費者金融などのお金を貸した「債権者」と借りた「債務者」が任意で話し合いをし、将来の金利を減額したり月々の返済金額を軽減したりして、返済できるように調整する手続きです。
法的な手続きではなく、任意の話し合いなので債権者が話し合いに応じなければ返済が軽減されることはありません。それでも多くのケースで、弁護士が交渉をすることによって、返済可能な金額に減額できる可能性が高まります。 -
(3)過払い金請求
過払い金請求とは、法定金利を超える金利で返済をしていた方が対象になる手続きです。10年程度借金を返済し続けている方は、過去の金利が「グレーゾーン金利」と呼ばれる違法な金利に設定されているケースがあります。結果、法定金利で返済していたと想定して計算すると、払い過ぎの状態になっていることが少なくありません。
債務がショッピングリボ払いのみという方は対象になりませんが、長期間借金を返済し続けているキャッシングリボ払いの方は過払い金が発生している可能性があります。過払い金が発生している場合は、債権者から払いすぎた利息分を取り戻すことが可能です。 -
(4)個人再生
個人再生とは、裁判所を通じて行う借金の整理方法です。リボ払いだけでなく、すべての借金の残高を圧縮して3年から5年かけて無理のない範囲で返済するものです。
ただし、個人再生を行うためには、裁判所に「借金の返済が難しいこと」が認定される必要があります。さまざまな書類が必要ですし、裁判官との面談もあります。したがって、弁護士などに依頼するケースが一般的です。自己破産とは異なり、家や車などの財産を手放す必要がないため、マイホームがあり、リボ払いに苦しんでいる場合に有効な手続きです。 -
(5)自己破産
自己破産とは、裁判所に返済ができないことを申し立てて、すべての借金の返済義務を免除してもらう手続きです。もちろんリボ払いも免除の対象になりますので、自己破産が認められれば、返済から解放されます。
ただし、自己破産は、家や車などの財産を手放さなければなりません。自宅を所有している方は慎重に検討したほうがよいでしょう。
後編では、リボ払いでも債務整理が可能かどうかから、債務整理を行うメリットやデメリットについて、広島オフィスの弁護士が解説します。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています