借金を滞納し続けると裁判になる? 裁判所から支払い督促が来た場合の対処法を解説
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複数の消費者金融などでお金を借りること、ないし、その返済のために新たな借金を繰り返さなければならなくなっている状態を、多重債務といいます。
自治体でも多重債務問題に取り組んでおり、広島県では消費者専門窓口のほか、多重債務専門相談機関窓口への案内をしており、広島市でも消費生活センターにて多重債務問題の解決にあたっています。
今回は、多重債務問題において、借金の滞納が続いた場合にどうすればよいのか、また裁判を起こされることはあるのかなど、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士が解説させていただきます。
1、借金を滞納していると裁判になるのか?
借金やカードローンなどを定められた期限までに返済できなければ、滞納という状態になります。貸主である消費者金融業者や、貸主から取立ての委任を受け、又は貸主から債権を譲り受けた債権回収会社は、返済を求め督促をしてくるでしょうが、そのままにしていた場合、裁判を起こされることはあるのでしょうか。
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(1)滞納から裁判に至るまでの流れ
借金の返済期日から1日でも過ぎればすぐに訴えられる、というわけではありません。裁判を起こすにも手間や費用が掛かるため、金融業者側としてもなるべく穏やかな手段をとりたいと考えるものです。
一般的な流れとしては、以下の通りです。
滞納から約1ヶ月間は、主に電話による催促が行われます。1ヶ月を過ぎる頃に、内容証明郵便による督促状が届くようになるでしょう。
その期間内で、電話に応じない、返済の意思を見せないといった状況であれば、自宅への訪問が行われることもあります。
それでもらちが明かず、金融業者からの連絡も無視する状態が続いたら、裁判を起こされる可能性が出てくるといえます。
ただ、裁判を起こされるまで安心して良いというわけではありません。相手方への連絡が遅くなればなるほど利息も膨らみますし、対応はできるだけ早めに行うべきです。 -
(2)裁判所から支払督促が来たら
裁判とは少し異なる制度として、支払督促があります。
これは、お金を貸した側が裁判所に申し立てを行うと、簡単な書類審査のみで支払い命令を出してくれるというもので、簡易な手続きゆえに業者がしばしば利用します。
したがって、裁判所から特別送達という方法で支払督促が送られてきたら、注意が必要です。2週間以内に裁判所へ異議を出さなければ、差し押さえが行われる可能性もあります。
なお、異議を出す場合には通常の裁判へと移行しますので、支払督促が届いたら速やかに弁護士へ相談されることをおすすめします。 -
(3)裁判になったら注意したいこと
裁判では、金銭消費貸借契約(お金の貸し借りの契約)に関してあらゆる証拠が法廷に出され、審理されます。
その結果、一定額のお金を借りた事実が判明したら、債務の弁済や時効などが認められない限り、利子も含めた返済の判決が下されます。返せなければ、最終的には身の回りの財産や給与などを差し押さえられてしまうこともありますので注意しなければなりません。
2、債務整理の種類と注意点
しかし、いくら借金の返済を迫られても、ない袖は振れません。
特に金融業者側が、遅延損害金を上乗せした借金の一括返済を求めている場合は、金額も相当に膨らんでいると考えられます。そこまで借金が膨らんでしまっていたら、弁護士などの専門家へ相談したほうが良いでしょう。
それでは、解決方法としてどのような債務整理が考えられるかをご説明します。
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(1)任意整理
任意整理とは、裁判所との関与なく行われる手続きです。
債権者となる金融業者などと話し合って返済計画を見直し、借金の元本や利息を減らしてもらいます。任意での話し合いなので、借りた側が単独で業者と交渉しようとしても、多くの場合は取り合ってもらえません。
弁護士を介し、現実的な返済計画を打ち出すことで、任意整理に応じてもらえる可能性が高くなると理解しておきましょう。なお、任意整理を行えば信用情報機関などに登録されるため、一定期間は借金やクレジットカードの申し込みができなくなります。 -
(2)個人再生
個人再生とは、民事再生法上の制度に基づく手続きです。
破産しかねない債務者を救うための制度であり、任意整理よりも借金の減額の幅が大きくなります。
具体的には住宅ローンなどを除いた借金が5000万円を超えない場合に、その額を減らし、原則3年間で分割返済すると、元の借金の返済が免除されることとなります。ただし裁判所が関与し手続きも難化するため、弁護士によるサポートがあると望ましいでしょう。
個人再生をした場合も、借金やクレジットカードの申し込みが一定期間制限されます。さらに、官報への掲載や、裁判所へ赴かねばならないといったデメリットがあることも知っておいてください。 -
(3)自己破産
膨れ上がった借金がどうしても返済できないときの最終手段が自己破産です。これは破産法上に定めのある、債務者の生活を再建するための制度です。
裁判所に破産の申し立てを行うことで、一部の債務を除き、全ての借金を帳消しにします。最低限の財産以外を換金して返済に充ててしまえば、残りは免責されるのです。
ただ、何のリスクもないわけではありません。
一定期間借金ができなくなりますし、免責が決定されるまでは警備員や行政書士、公認会計士、宅地建物取引主任者など一部の資格が制限されます。また、住所氏名が官報に掲載されることで、周囲の人たちに自己破産したと知れ渡ってしまう危険があります。 -
(4)過払い金請求
過払い金とは、借金の返済にあたって払い過ぎた利息をいいます。
過払い金が生じる原因であった「グレーゾーン金利」や「みなし弁済」は消滅しており、ほとんどの金融業者が平成20年頃までには利率を引き下げています。それ以降に借りたお金の金利に関しては、過払い金が生じることはまず考えにくいでしょう。
ただし、過払い金の返還請求権の時効が消滅するのは取引終了時から10年後です。取引終了時からさほど時間が経っていないと記憶している方であれば、まだ請求できる可能性は残っています。
過払い金の有無は、弁護士に相談すればきちんと調べてもらえます。可能性が残っている限りは、早めに弁護士に相談しましょう。
3、借金問題を弁護士に相談するメリット
任意整理のときの交渉や個人再生・自己破産には、さまざまな手続きが必要です。法律の専門家である弁護士に依頼したほうが、スムーズな解決を目指せるでしょう。法的な観点から借金問題の解決方法を示すため、精神的な負担も軽減されます。また、借金の存在が身内に露見しにくいよう配慮もしてくれるでしょう。無料相談を行っている弁護士事務所もありますので、弁護士への相談を検討している方は、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
4、まとめ
借金の滞納を重ねてしまうと、いつしか返済が追いつかなくなることもあるでしょう。しかし、どうしたらよいかわからないといった理由で借金問題を放置しておくと、財産の差し押さえを受けてしまうおそれがあります。たとえ現時点で返済できる見込みがなかったとしても、できるだけ早めに対処することが大事です。
借金問題でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士にご相談ください。あなたに最適な債務整理の方法について吟味し、丁寧にお伝えします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています