借金の取り立てを何とかしたい! 警察や弁護士へ相談すると対処できるケースとは

2019年08月21日
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借金の取り立てを何とかしたい! 警察や弁護士へ相談すると対処できるケースとは

広島市内でも多重債務を抱えてしまい、執拗な取り立てに悩む方は多いものです。状況によっては、警察に連絡するべきか、あるいは弁護士が有効なのかと、相談先にもお悩みかもしれません。

広島市では、多重債務者の問題解決をサポートするため、広島弁護士会や広島司法書士会と連携し、取り立て行為の停止や債務整理などに関する相談を実施しています。今回は、違法となる借金の取り立て行為や、警察および弁護士へ相談するべきケースについて解説します。

1、違法となる取り立てとは

取り立てに際し、法律で禁止されている行為があります。まずは、ご自身が受けている取り立てが違法となるのかを確認しましょう。

  1. (1)相手が業者の場合

    貸金業法21条1項では、人の日常生活の平穏を害する行為を禁止しています。

    具体的には次のような行為です。

    • 正当な理由なく、午後9時から午前8時までの間に自宅訪問、電話などをすること
    • 正当な理由なく、自宅以外の場所(例:勤務先)への訪問、電話などをすること
    • 自宅に押しかけ、帰るように言われたにもかかわらずその場に居座ること
    • 借金の情報や私生活について債務者以外の人に知らせること
    • ほかからの借金により弁済するよう求めること
    • 債務者以外の人(例:親、親戚)に対して、代わりに返済することや、債務者の連絡先を教えるよう要求すること


    そのほか、暴力や脅迫を用いたり、大勢で押しかけて威圧したりする行為も禁止されています。違法な取り立てをした業者は、「2年以下の懲役または300万円以下の罰金」に処せられることがあります。

    なお、ここでいう「正当な理由」とは、明確に定義されているわけではありません。しかし、このケースにおいては「あなたが電話を一切無視する」、「居留守を使って対応しない」などの場面が想定されます。債務者の義務を不当に果たさないと、事態が悪化するリスクがあると知っておきましょう。

  2. (2)相手が個人の場合

    借金をした相手が業者ではなく個人の場合は少し話が変わってきます。上記の違法な取り立ては「貸金業法」に定めがあるとおり、業者について規制するものだからです。業者とは、消費者金融、カードローン会社、クレジットカード会社などを指します。

    相手が個人の場合には貸金業法が適用されませんので、非常識な行為におよぶケースがあるかもしれません。しかし、だからといって何をしてもよいわけではありません。

    たとえば次のような行為はれっきとした犯罪ですので、警察に通報するなどして厳しく対処しましょう。

    • 脅迫された、暴力をふるわれた……脅迫罪、暴行罪
    • 家族に接触して返済を迫る、面会を強要する……強要罪
    • 勤務先に借金を知らせる……名誉毀損(きそん)罪、業務妨害罪
    • 許可していないのに自宅に上がる……不法侵入罪


    個人でお金をかるた場合、相手は友人や知人のことが多いでしょう。そのためあなた自身にも甘えが生じてしまうかもしれませんが、無視を続けると逆に詐欺罪などで訴えられてしまうリスクもあります。

    返済計画の相談をして少しずつでも返すか、合法に借金を減らすことを検討して問題を解決していきましょう。

2、警察に通報するべきケース

違法な行為があれば、迷わず警察に通報して構いません。特に次のようなケースでは相手が普通ではありませんので、ご自身で対処することは危険です。

  • 自宅の外で大声を張り上げる
  • 脅迫めいた言葉を告げる
  • ご自身やご家族に危害を加えようとする
  • 勝手に自宅に入ってきて出ていかない
  • しつこくつきまとってくる


違法性が認められると、警察が相手に対してやめるように警告してくれることがあります。ただし、違法性がある証拠や、取り立て者の存在を明らかにしなくてはなりません。相手が特定の業者であれば、業者名や連絡先、使用した銀行口座などを明らかにしておきましょう。

相手が誰か分からない場合、頻繁にある着信履歴、留守番電話、取り立ての文書、取り立て者の車のナンバーなどがあると対応してもらえる可能性があります。物を壊されたり壁に落書きされたりしたときの写真も一定の効果があるでしょう。

現に取り立てがなされている最中に警察に来てもらう方法もあります。

3、弁護士に相談するべきケース

警察以外で頼りになるのは弁護士です。警察と弁護士では役割が違いますので、むしろ弁護士に相談した方がよいケースもあります。

  1. (1)違法性はあるが警察が動けない

    警察が駆けつけても、取り立て者はしらを切る、質問に素直に応じるなどして逮捕できない状況を生みだすでしょう。取り立て業者は慣れていますから、明確な証拠を残さないように行動することもあるはずです。

    このようなケースでは、警察に具体的な対処をしてもらうことができず、不安な思いをします。弁護士の場合は、借金があれば相談に応じてくれますので、警察よりも素早い対応に期待できます。

  2. (2)秘密裏に解決したい

    借金はデリケートな問題ですから、警察沙汰にしたくない、家族に知られたくないといったこともあるでしょう。弁護士へ相談しても誰かに借金の事実を漏らすようなことはまずありませんし、家族に知られないように配慮した対応が可能なケースもあります。まずは相談してみることをおすすめします。

  3. (3)借金そのものを何とかしたい

    取り立てがストップしても借金自体が残る以上、不安が消えることはありません。警察がすぐに対応してくれても、別の業者から取り立てを受けるおそれもあるでしょう。

    つまり、根本的に問題を解決したいのであれば、「借金問題を解決すること」が大切になります。この点、弁護士であれば債務整理という方法を用い、合法的な解決の道筋を提案してくれます。

4、債務整理とは何か

債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つがあります。いずれもデメリットとしては、信用情報(ブラックリスト)に掲載されるため一定期間新たな借り入れやクレジットカードを持つことは難しくなります。しかし、現時点で苦しんでいる借金問題からは解放されるため、新たに人生をやり直すことができるでしょう。

  1. (1)任意整理

    債務者が債権者と交渉し、将来利息や遅延損害金の免除、返済日の延長などを求める方法です。裁判外の交渉となり、必要な借金だけを対象とすることができます。日常生活への影響が少ない、家族に知られにくいなどのメリットがあります。多くの方が利用している方法です。

  2. (2)個人再生

    裁判所に申し立てをし、借金をおおむね1/5にまで減額してもらう方法です。条件を満たせば住宅ローンを手続きの対象から外すことができるため、持ち家を手放したくない方には向いている方法です。ただし、裁判所を通じた手続きとなるため、官報へ個人情報が掲載されることがあります。

  3. (3)自己破産

    裁判所に申し立て、財産のほとんどを返済に充ててもなお残務がある場合に、借金を免除してもらう方法です。財産を手放すことになるため、返済のめどすら立たない方の最終手段といえるでしょう。ただし、個人再生同様、裁判所を通じた手続きとなるため、官報へ個人情報が掲載されることがあります。また、ギャンブルを原因とした債務などについては免責されないことがあります。

5、債務整理を弁護士に依頼するメリットは大きい

貸金業法では、弁護士から受任通知を受け取ったにもかかわらず取り立てを続けることは禁止されています。受任通知とは、弁護士が当該事件について依頼を受けたことを示す通知です。方法を問わず、通知後の督促は一切できませんので、弁護士に依頼した時点であなた自身は取り立てから解放されます。

なお、弁護士に依頼しなくても債務整理を行うことはできますが、いくつか注意すべき点があります。

まず、任意整理をあなた自身が行うことは物理的には可能ですが、取り立てに来る相手とあなたが交渉することになります。これでは、取り立てをやめてほしいというあなたの要望をかなえることはできません。また、業者相手の交渉はそれ自体がうまくいかないことがほとんどです。弁護士に交渉してもらうことで取り立てがなくなるだけでなく、個人交渉よりも減額できる可能性が高まります。

個人再生や自己破産についても、個人で手続きすることはできるものの、裁判所から発行される受理票をご自身が債権者に発送して始めて、取り立てはストップします。つまり、弁護士へ依頼するよりも長い間督促を受けてしまうわけです。

さらに裁判上の手続きは煩雑で、法的手続きの知識を持たない個人が行うには非常に骨が折れます。さらには、裁判所に呼び出されたときにひとりで対応しなくてはなりません。弁護士に手続きを一任し、裁判所への同行や書類作成の代行をしてもらうと非常にスムーズです。

6、まとめ

今回は借金の取り立てについて、違法となる行為や警察および弁護士へ相談するべきケースをご紹介しました。借金を返済できない後ろめたさから、違法な取り立てにも我慢してしまう方がいるようです。しかし、お金を貸しているからといって違法行為が許されるものではありません。執拗な取り立てにお困りでしたら、警察や弁護士へ相談されることが賢明です。

また借金の根本的な解決が大切ですので、債務整理を検討された方がよいでしょう。ベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士も尽力します。最善の解決策をご提案しますので、ぜひ一度ご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています