家賃滞納で保証会社から連絡がきた! 今後の展開と債務整理の方法

2023年08月29日
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家賃滞納で保証会社から連絡がきた! 今後の展開と債務整理の方法

広島県の「県営住宅ガイド」によると、家賃滞納者に対しては、明渡請求訴訟などの法的措置や財産調査による差し押さえ手続き、3か月以上の滞納が続くと連帯保証人への支払い請求を行う場合があると規定されています。

そのほか、賃貸住宅の家賃支払いが滞ると、「家賃保証会社(賃貸保証会社)」からの電話がくるケースもあるでしょう。実際に家賃保証会社から連絡が入ってしまうと、「大変なことになっているのでは」と不安になる方もいるはずです。

本コラムでは、家賃滞納が続き、家賃保証会社から連絡が来た場合、その後はどのような展開になるのかについて、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士が解説します。

1、「家賃保証会社(賃貸保証会社)」とは?

アパートやマンション、貸家などの賃貸借契約を結ぶ際に登場する「家賃保証会社(賃貸保証会社)」ですが、実際にどのような役割があるのかご存じない方も少なくないようです。
まずは、「家賃保証会社」とはどのような組織なのかをみていきましょう。

家賃保証会社とは、入居者と契約を交わすことで、家賃を滞納した際に支払いを肩代わりする代位弁済(だいいべんざい)を業務とする会社です。たとえば、全保連や日本セーフティー、日本賃貸保証(JID)、フォーシーズ、Casa、ジェイリース、イントラスト、あんしん保証、ワンダーストリームといった家賃保証会社があります。

このように聞くと、「それは保証人の役割では?」と感じる方も多いでしょう。
ところが、実際に賃貸物件を借りてみると「保証人不要」というケースが目立つことに気がつくはずです。
保証人不要の物件は、家賃保証会社との契約をもって保証人の代わりとしています。

家賃保証サービスは、1990年代から2000年代初め頃にかけて急速に広まりました。
入居者にとっては保証人を用意する必要がない、物件オーナーにとっては家賃回収が確実になるため、双方にメリットがあるサービスとして現代では広く普及しています。

代位弁済をしてもらった家賃は、当然、家賃保証会社に支払わなくてはいけません。
契約時には所定の保証料を支払うほか、肩代わりが発生した場合は手数料を加えて支払う必要があります。

2、家賃保証会社から連絡が入るケースとは?

どのような状況になると家賃保証会社から連絡が入ってくるのでしょうか?

  1. (1)家賃を滞納していると電話がかかってくる

    家賃保証会社からの連絡が入るのは、家賃の滞納・未払いが発生しているときだけです。

    約束の期日に家賃支払いが確認できなかった場合、入居者あてに家賃保証会社から電話がかかってきます。
    ただし、この段階では「早く支払ってほしい」という取り立てのようなスタンスではなく、「家賃の支払期日を過ぎているが、なにかトラブルでもあったのは?」という柔和な姿勢が維持されるでしょう。
    また、電話に先立って封書などが郵送されてくるケースもあるようです。

  2. (2)無視していると訪問もある

    家賃保証会社からの電話にでない、封書をみても連絡しないといった対応をとっていると、最寄りの支店や営業者の担当者が自宅に訪問してきます。
    この段階でも、一応は「なにかトラブルで支払えないのでは?」というかたちで訪問を受けますが、居留守を使ったり、不在メモなどを無視していたりすれば、毎日のように電話がかかってくるようになります。

3、家賃を滞納したら即退去させられるのか?

家賃を滞納してしまうと「すぐに追い出されてしまうのでは」と不安に感じる方も多いでしょう。
家賃保証会社からしつこく電話がかかってくるような状況であれば、なおさら退去の恐怖を強く感じるはずです。

現在、あなたが家賃を滞納している状態で、滞納期間が1~2か月以内であれば、いますぐに対応することで強制的な退去は避けられるでしょう。

  1. (1)まずは督促を受ける

    家賃滞納の期間が数日程度であれば、家賃保証会社からの電話連絡だけで済むでしょう。
    ところが、数週間から1か月程度になると、入居者あてに督促状が郵送されてきます。
    この段階であれば、督促状の内容に応じて滞納している1か月分の家賃額を支払えば解決できるでしょう。

  2. (2)連帯保証人への連絡もありうる

    滞納期間が1か月を過ぎると、電話連絡や督促状の送付がさらに激しくなります。
    さらに、それでも無視して対応をしないでいると、連帯保証人への連絡も避けられなくなるでしょう。

  3. (3)未払い・無視が続けば退去させられる

    家賃滞納が長引くと、法的措置がとられることは避けられない状態になるでしょう。

    まず、物件の賃貸借契約は解除され、貸主と借り主の関係が失われます。
    これは契約関係が継続していると、貸主が「出ていけ」と求めても借り主が「出ていかない」と主張すればこれが認められるからです。

    入居者に対して家賃の支払いを催促すると同時に、期日までに滞納分の支払いがない場合は賃貸借契約を解除して物件を明け渡すよう求められますが、この段階まで滞納しているような場合、一括で支払うことは困難であることが想像できます。
    滞納分の支払いもなく、任意の明け渡しにも応じないと、裁判所に建物明渡請求訴訟を提起されることがあります。

    裁判になると、期日に裁判所へと出頭することになりますが、家賃を滞納していれば反論してもまず認められません。
    裁判所が明け渡しを命じてもさらに退去しないと、次は裁判所の執行官による明け渡しの強制執行が行われます。
    明け渡しの命令から強制執行までの期間は1~2か月程度なので、この期間に自ら退去しないと強制退去は避けられないでしょう。

4、家賃滞納を防ぐために知っておきたい「任意整理」

家賃を滞納してしまうということは、収入が十分ではない、または定期的な収入があっても借金返済などによって家賃支払い分を確保できない状態だと考えられるでしょう。

家賃滞納を防ぐには、収入と支出のバランスを整えて根本的な解決を図る必要があります。
そこで知っておきたいのが「任意整理」です。

  1. (1)任意整理とは

    任意整理とは、ひとことで言うと「毎月の借金返済額を軽減できる手続き」です。

    消費者金融などの金融業者から借り入れがある場合は「支払いすぎた利息分」と「将来支払う利息」をカットしてもらい、毎月の返済額を軽減できます。

    任意整理は裁判所を介さず、債務者と債権者の間で話し合いをもつことによって進みます。
    「わざわざ返済額を下げてくれるわけがない」と感じるか方もいるかもしれませんが、金融業者は債務者が返済不能に陥ってしまうよりも「少しでも返済してもらいたい」と考えます。

    返済期間が長ければ長いほど減額される金額が大きくなるので、安定した暮らしを築くための第一歩となるでしょう。

  2. (2)任意整理のメリット・デメリット

    任意整理のメリットとデメリットを挙げてみましょう。

    メリット
    • 借金を減額し月々の負担が軽減できる
    • 裁判所を介さないので手続きが簡単
    • 家族や周囲の人にバレてしまう心配がない
    • 一部の債務だけ整理することも可能
    • 弁護士に依頼すれば煩わしい督促がなくなる
    • 過払い金が判明すれば過払い金請求も可能


    デメリット
    • 信用情報機関に情報が登録されるので、一定期間、新たな借り入れができなくなる
    • ほかの債務整理と比べると減額効果は低い
    • 個人で交渉しても認められないことが多い


    任意整理には多くのメリットがありますが、注意しておきたい点がいくつかあります。
    まず、自己破産のように「借金がゼロになる」という手続きではないので、任意整理後も支払いが続くという点です。

    月々の収入がある程度は安定している方でないと、苦しい状況は解消できないでしょう。
    また、金融業者は債務者個人との任意整理に消極的です。
    たとえ応じてもらえても、十分な軽減効果が期待できません。

    任意整理によって借金を減額し、家賃支払い分を確保したいのであれば、弁護士への相談がおすすめです。
    弁護士に依頼すれば、任意整理による借金の軽減効果を最大限に生かすことができるだけでなく、手続きをすべて任せることで、金融業者からの督促もストップします。

5、まとめ

家賃支払いが滞って家賃保証会社(賃貸保証会社)から連絡が入った場合、まずは無視せず誠実に対応するように心がけましょう。
「○○日までに支払ってください」といった期日を設定されることもありますが、現実として支払えない場合は「○○日まで待ってもらえれば支払うことができます」と確実な期日を伝えるべきです。

何度も約束の期日を破ったり、家賃滞納が長期間にわたってしまったりすると、「信頼関係は破綻した」として明け渡しを求められるおそれがあります。
まずは誠実に支払いの約束をするのがベストですが、金銭問題の根本的な解決を図って、家賃滞納が生じないように改善することも検討しましょう。

家賃を滞納してしまうほど借金問題に悩みを抱えているようでしたら、まずはベリーベスト法律事務所 広島オフィスまでご相談ください。過払い金請求、任意整理、個人再生、自己破産など、どのような手続きで借金問題を解決できるか、知見のある弁護士が親身になってアドバイスいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています