慰謝料を請求された! 広島で不貞行為した側が弁護士を依頼するメリットは?
- 不倫
- 不貞行為した側
- 弁護士
広島県における平成29年の人口千対離婚率は1.65で、全国平均よりも低いことがわかっています。それでも、「相手が既婚者と知りつつ交際していた知人が慰謝料請求された」という話を身近に聞いたことがある方は少なくないでしょう。
不貞行為は、裁判において離婚が認められる理由のひとつであり、不法行為とみなされます。したがって、あなたが不貞行為をした側であれば「有責配偶者」として慰謝料請求をされるケースは少なくありません。
一般的に、慰謝料請求をする側が弁護士を依頼するものと考えているかもしれません。では、すでに慰謝料請求されてしまった不貞行為をした側が弁護士を依頼するメリットはあるのでしょうか。
この記事では、不貞行為の意味や不貞行為をして慰謝料を請求された方が弁護士を利用するメリットを、広島オフィスの弁護士が解説します。
1、不倫による損害賠償請求や慰謝料請求の根拠は?
結婚している場合や、結婚していなくても事実婚をしているような場合に、他の人と自分の意思で肉体関係を持つという行為のことを、一般的に広く「不倫」や「浮気」と呼ぶ方が多いでしょう。しかし、不倫や浮気は法律用語ではなく、法律用語では「不貞行為」と呼ばれています。
不貞行為は、離婚原因のひとつとして法律で定められているため、不倫をされた配偶者から一方的に離婚を求めることができます。同時に不貞行為は、婚姻中の夫婦が負うべき「貞操義務」に違反する行為に該当します。不法行為をすれば、民法によって被害者側から損害賠償請求ができることが明示されています。
したがって、不貞行為した側は慰謝料を請求されてしまうことがあるといえるでしょう。不貞行為を根拠にした慰謝料請求に応じなければならなくなる可能性が高いケースは、主に以下のとおりです。
- 相手が既婚者であると知りつつ交際をした
- 自分が既婚者であるにもかかわらず、配偶者以外の者と交際した
ただし、以下のケースでは慰謝料請求を拒むことができる可能性があります。
- あなたが独身で、相手が既婚者であることを知らず、知らなかったことについて過失がなかった。
- すでに婚姻関係が破たんしている相手と交際をした
- あなた自身、すでに婚姻関係が破たんしていた
あなた自身が被害者であれば、たとえ慰謝料請求されたとしても支払い義務がない理由を主張して、慰謝料の支払いを回避したり、慰謝料を減額したりする必要があるでしょう。
2、不貞行為した側も弁護士に依頼できる
不貞行為をした側だと弁護士を依頼できないと考えてしまう方もいるようです。しかし、前述のように、自分は既婚者と知らずに付き合っていたケースや、そもそも付き合っていないなどのケースであれば、あなた自身の権利を守るために戦う必要が出てくるでしょう。
弁護士は法的な権利を主張する依頼人のために働きます。あなたの代弁者として交渉したり、対応したりすることができるため、当然、不貞行為をした側でも弁護士を依頼することができます。
3、不倫をしたら離婚請求できない?
不倫をする前から何かしら夫婦関係に亀裂が生じていたなど、離婚をしたいと考えていたものの踏み切れないまま不貞行為に至ってしまったケースもあるでしょう。また、夫婦関係はすでに破たんしていたとあなた自身が考えていたため、配偶者から慰謝料請求がされたことをきっかけにして離婚を請求したいという方もいます。
原則的には、離婚原因を作った「有責配偶者」から離婚を求めて裁判を起こしたとしても、裁判所が離婚を認めるケースはほとんどありません。それでも、近年の裁判では、夫婦関係が破たんしていて、別居期間が長く、夫婦の子どもらが不利益を受けるような場合がない等と判断された場合には、離婚を認めるケースが増加しつつあります。あきらめず、弁護士に相談することをおすすめします。
ただし、互いに同意していれば、どのような理由であろうと協議離婚することは可能です。つまり、裁判を起こさずとも相手が離婚に応じれば離婚することができます。まずは話し合いをすることになるでしょう。弁護士に仲介を依頼することで、離婚を成立させられるケースも少なくありません。
4、不貞行為をした側の弁護士ができること
不倫の代償は大きいといわれます。これは、慰謝料を多く請求されて経済的に大きな負担となったり、裁判で交際相手の本心が明らかになって心理的にダメージを受けてしまったりと、多くの痛手を負うためです。
そうでなくても、交際をするにあたっては、時間やお金、労力を費やします。費やしたものがすべて無駄になるばかりか、他のことができた時間を話し合いや調停、裁判などによって消費されてしまうという事態に陥るのです。
では、弁護士ができることを通じてあなた自身が得られるメリットについて解説します。
-
(1)減額や分割払いを期待できる
相手方の配偶者には個人的な感情もあり、慰謝料請求も多額になりがちです。しかし、そのままの要求をのむ必要はありません。弁護士に相談すれば、あなたが受けた慰謝料請求に対して、適正な金額かどうかを判断し、相手方と交渉をします。法的に適正な金額で決着をつけ、裁判にならずに示談を成立させることや支払いを分割払いにできることもあります。
特に相手方が弁護士を依頼している場合、相場よりも高く請求されるケースが考えられます。相手は法律と交渉に長けている専門家ですから、個人で太刀打ちするのは非常に難しいものです。あなたも弁護士を依頼して対応したほうがよいでしょう。 -
(2)時間を消費しないで済む
相手方が個人で請求してきて、あなたも個人で対応する場合は、交渉も当事者同士で行う必要があります。当事者同士で冷静な話し合いができればもちろん問題ありません。しかし、多くのケースで問題がこじれ、長期化しがちです。
そのような際、弁護士に対して、弁護士事務所を対応窓口にするよう依頼できます。弁護士事務所が窓口となれば、あなた自身が直接相手とやり取りする必要はありません。交渉段階で相手に責められることがなく、つらい思いを回避できるようになります。
仮に裁判になったとしても、弁護士であればあなたの代理人として裁判所に出向き、答弁をします。その間、仕事に専念するなどして、新たに再スタートを切ることもできるでしょう。 -
(3)慰謝料の支払い責任がないことを主張できる
「自分は不倫をしていると思っていなかった」「独身だと偽られ、既婚者だと思わなかったため慰謝料請求に応じる気はない」と弁護士に主張してもらうことも可能です。
依頼した弁護士に対して事実関係を包み隠さず説明してもらえれば、どう主張していくかについて、適切なアドバイスが行えます。
5、弁護士を依頼するために必要な費用は?
弁護士に依頼するための費用は、それぞれの弁護士事務所で自由に決めています。しかし、依頼内容によっておおよその相場はあります。交渉のみとなるケースや、調停や訴訟となったケース、対話が可能なケースかどうかなどによっても弁護料は異なることになるでしょう。まさに個々の事情によってケース・バイ・ケースとなるため、実際に詳しい問い合わせをして比較してみてはいかがでしょうか。
一般的に下記の事情があると、弁護料が高額になってしまう可能性があります。
- 依頼した弁護士が所属する弁護士事務所から、示談や調停、裁判を行う場所などが遠い(交通費などの実費だけでなく、出張手当などが加算されます)
- 戸籍謄本の取り寄せなどの事務作業もすべて弁護士に依頼する
- 協議する内容によって特殊事案と判断されるケース
もっとも、「安いからよい」「高いから悪い」という判断でもありません。弁護士との相性は非常に重要です。初回相談は無料の事務所も多くあるため、最寄りの弁護士事務所などに問い合わせてみることをおすすめします。
6、まとめ
不貞行為をした側でも、弁護士を依頼することが可能です。相手が個人で慰謝料請求をしてきたとしても、弁護士を依頼して交渉したとしても同様です。あなたの事情とともにご相談いただだければ、依頼を受けた弁護士はあなたの代わりに交渉や手続きを行うことができます。
依頼に必要な費用は、対応すべき内容によって大きく異なります。まずは相談し、問い合わせてみることをおすすめします。不貞行為をした側でも、弁護士を依頼するメリットは多くあり、早期解決の可能性を高めることができます。
不貞行為によって慰謝料を請求されてしまい、お困りであれば、ひとりで抱え込まずベリーベスト法律事務所・広島オフィスで相談してください。広島オフィスの弁護士があなたの事情を考慮して力を尽くします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています