ダブル不倫で慰謝料を請求された! そんな時の解決方法を弁護士が解説
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相手方の奥さんから内容証明郵便で慰謝料請求が来てしまい、夫にも不倫がバレてしまった!
「私はこの慰謝料を払わなくてはいけないの?」
「そのほかに方法はあるの?」
「離婚されてしまうの?」
ダブル不倫をした時、法律的にはどのようになるかを中心に、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士が説明します。
1、ダブル不倫の状況は複雑。まずは現状の確認を
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(1)ダブル不倫の状況が複雑な理由
不倫をすると、複雑な関係が生じます。
既婚者同士の不倫(いわゆるダブル不倫)の場合、不貞相手の配偶者も絡んできますので、自分を含め、4人が関係者になります。
そのため、独身者との不倫に比べて、法律関係も複雑になってくるのです。 -
(2)誰が誰に対し、何を請求できる?
- 不貞慰謝料とは
不貞慰謝料という言葉は、実は、法律に書かれている言葉ではありません。ですが、一般的には、不貞をしたことによる慰謝料を、「不貞慰謝料」と呼んでいるようです。
法的にいいますと、不倫をすると、被害者の方の精神的な苦痛に対し、加害者は、一定の条件の下で、不法行為に基づく損害賠償責任を負います(民法709条、710条)。
そして、損害賠償は、基本的にお金でしなければならないとされています(民法722条1項、417条)。
そのため、不倫をすると、基本的にはお金を支払わなければならなくなるのです。
- ダブル不倫における法律関係について
① あなたに対する慰謝料請求ができる人は二人いる
あなたが女性でダブル不倫をしていた場合、あなたに不貞慰謝料を請求できる人(請求権者といいます)は二人いることになります。
一人目は、相手方の妻です。相手方の妻は、あなたが不倫したことによって、精神的苦痛を受けますので、慰謝料を請求する権利を有することになります。
二人目は、あなたの配偶者です。
② 不貞相手に対し、慰謝料請求ができる人も二人いる
また、あなたの不貞相手も、先ほどの二人に対し、損害賠償義務を負います。
③ あなたと不貞相手との間には、求償権が成立しうる
そして、実際に法律相談をしていて皆さんが驚かれるところなのですが、仮にあなたが不貞相手の妻やご主人に慰謝料を全額支払うと、不貞相手に一定程度の金額を請求できる可能性があります。これを求償権といいます。
少しわかりにくいのですが、ダブル不倫をしますと、あなたとあなたの不貞相手は、一緒になって、ご主人や不貞相手の妻を傷つけたことになります。そうしますと、法的には「共同不法行為」(民法719条1項)といわれるものにあたることになります。そして、共同不法行為の場合、連帯して損害賠償責任を負うとされています。
そして、共同不法行為の場合、自身の負担部分を超えて賠償をしたときは、相手方(この場合は不貞相手になります)に対し、相手方が負担すべき額を返してもらう権利が生じます。この権利を、求償権といいます。あなたと不貞相手の負担割合については、不貞相手との話し合いで合意があればその割合になりますが、合意がなければ裁判で具体的な事情を元に判断することになります。
求償権や共同不法行為についてはわかりにくいので、例でたとえてみます。
仮に、不貞相手の奥さまの慰謝料額が法的にみると300万円であったとします。そうすると、あなたと不貞相手は、連帯して300万円を支払う義務を負うことになります。この場合、相手方の奥さまは、あなたへも不貞相手へも300万円全額を支払ってもらえることになります。もっとも、あなたと不貞相手からの二重取りは認められませんので、相手方の妻が合計600万円もらえるというわけではなく、トータルで300万円しかもらえません。
そして、仮にあなたが300万円全額支払ったとします。その場合、あなたと不貞相手が負担割合5割ずつだったと仮定しますと、あなたは不貞相手に300万円の5割である150万円を支払うよう求めることができる、というのが求償権のしくみです。
この辺りはややこしいので、もしご不明なところがありましたら、法律相談で弁護士に詳しく聞いてみるとよいかと思います。
④ ゼロ和解もある
上記のように、ダブル不倫だとややこしいことになります。
そのため、実務上「4者ゼロ和解」といわれるものもよく行われます。
「4者ゼロ和解」とは、大まかに言いますと、ダブル不倫があった場合で、2組の夫婦の4者の合意の上で、みなお互いに金銭支払いをしないという内容の合意のことをいいます。
では、なぜ、4者ゼロ和解がなりたつのでしょうか。
ダブル不倫の場合、あなたは相手方の妻に慰謝料を支払わなければなりませんが、あなたの夫は不貞相手から慰謝料をもらえるという関係にあります。
そして、夫婦は多くの場合、お財布をひとつにしています。
そのため、離婚しない場合、ゼロ和解をしないとしますと、相手方の妻に慰謝料を支払っても、不貞相手も不貞慰謝料を支払いますと、相手夫婦のお財布に入ったお金がこちらのお財布に戻ってくることになり、お互いの家庭をお金が行って戻ることになります。
また、離婚しないでお財布をひとつにしている場合、夫婦の中で慰謝料請求をしても、お財布の中身は増えません。
したがって、そのような煩雑なことを防ぐために、4者ゼロ和解という方法がとられることがあるのです。
とはいえ、この方法は4者全員が同意してくれないとすることはできません。
弁護士が法律相談を受けていますと、「夫には内緒なのだけど、ゼロ和解できますか」ですとか、「必ずゼロ和解にしてほしい」という方が少なからずいますが、ご主人を含め全員が同意しないとできませんよ、とご説明しています。
⑤ ご主人との婚姻関係について
ご主人との夫婦関係についていいますと、不貞は離婚事由となっています(民法770条1項1号)。
2、慰謝料の相場はあるの? あるとすればいくら?
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(1)慰謝料の相場
慰謝料を請求された場合、一番気になるのは慰謝料の相場でしょう。
慰謝料額は数十万~300万円となる場合が多いと言われていますが、離婚に至った経緯や経済状況により大きく異なりますので注意が必要です。 -
(2)慰謝料額に影響する事情
もっとも、慰謝料額は、事情によって大きく異なります。
裁判例から見ますと、以下のようなものが考慮されているようです。- 不貞関係の始まった時点での夫婦関係
- 不貞行為の期間、回数、内容等
- 不貞行為が発覚した後の関係継続の有無、態度等
- 不貞の主導者
- 不貞による妊娠の有無
また、このほかにも、当事者の収入が考慮されるケースもあるとされていますが、当事者の収入を重視するケースは多くはないとされています。ここに挙げたもののほかにも、個別事情に応じて、さまざまな事情が考慮されています。
3、内容証明郵便を無視したらどうなる?
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(1)内容証明郵便を無視したら訴訟提起のリスクがあがる
内容証明郵便を無視すると、相手方に「話し合いでは解決できない」と思われ、訴訟を起こされる可能性が高くなります。
そのため、話し合いで解決したい場合は、弁護士などに相談した後で、きちんと対応するほうがいいでしょう。
もっとも、裁判を起こすかどうかは、相手方が自由に決めることができます。
したがって、内容証明郵便に、きちんと対応していても、裁判を起こされることもあります。また、時効が迫っている場合には、内容証明郵便を送ってくることなく訴訟を起こしてくることもあるでしょう。 -
(2)訴訟を起こされた場合
訴訟を起こされると、自宅住所などに、裁判所から「訴状」の入った手紙が届きます。
その手紙には、裁判の行われるお日にちが書いてあります。
このお日にちまでに書面も出さずに裁判を欠席すると、相手方の言う通りの判決が出てしまいます。
そのため、裁判所から手紙が届いたら、必ずこの裁判の日を確認するようにしてください。もし、裁判の日に裁判所に行けない場合は、事前に弁護士に依頼するのが一番安全ですが、「答弁書」を出して、自分の意見を述べましょう。 -
(3)裁判の手続きの流れ
訴訟を起こされると、両者が何度か裁判所に行き、お互いの主張を出し合います。
そして、争いのある点が絞られてくると、証人尋問や当事者尋問などが行われ、その後判決がされるのが裁判の手続きの流れです。
しかし、上記のような流れがあるものの、証人尋問や判決の前に、和解によって解決することも多々あります。
4、どうやって問題を解決すればいい?
内容証明が来た場合、どのようにすればよいでしょうか。
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(1)ご自分で対応する
まず、ご自身で対応するという方法があります。
しかし、上記のように複雑な法律関係となるうえ、相手方からいわれた金額が妥当かどうかは法的判断も必要となる、難しい問題です。
なるべく早めに弁護士にご相談したほうが安全です。 -
(2)弁護士に依頼する
弁護士に依頼すると、相手方からの連絡先は、弁護士になります。
そのため、相手方や相手方の弁護士から直接電話や手紙が来ることがなくなり、精神的なストレスも大幅に軽減されるでしょう。
また、弁護士に依頼していると、法的にこちらに有利な事実がないか、弁護士が確認をし、有利な事実があれば適切に主張しますので、不合理に高額な和解をしてしまうおそれが基本的にはなくなります。
そのため、弁護士に依頼したほうが安く済むことも多いかと思います。
5、まとめ
本コラムでは、ダブル不倫をすると法律的にどのような問題が発生するのかといったテーマを中心に、慰謝料の相場や慰謝料請求を受けた場合の対応方法などを解説してきました。
ダブル不倫が発覚してしまい、ある日突然慰謝料請求をされると誰でも激しく動揺してしまうものです。しかし、早く解決したいと思い、ひとりで慌てて対応することは、結果的に不合理な内容で相手方と合意してしまう可能性もあり、得策とはいえません。
もしもダブル不倫で慰謝料請求をされてしまいお困りのようでしたら、ぜひお早めにベリーベスト法律事務所 広島オフィスまでご相談ください。弁護士がご事情をしっかりと伺いつつ、法的にどのような対応をとることが適切かなどアドバイスし、問題解決に向けてサポートいたします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています