不倫相手に別れを切り出したら脅迫された!対処方法は?

2020年07月03日
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不倫相手に別れを切り出したら脅迫された!対処方法は?

不倫相手との関係を解消しようと別れを切り出すと「会社に言うわよ」「奧さんにバラすよ」などと脅迫されてしまうケースが少なくありません。

LINEやメールで脅迫めいたメッセージを送ってこられたり、ときには法外な慰謝料(手切れ金)を要求されたりするケースも多く、要注意です。

今回は不倫相手に別れを切り出して脅迫された場合の対処方法をベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士が解説します。

1、不倫相手の請求に法的に応じる義務はある?

そもそも不倫相手と別れる際に慰謝料を請求されたとき、法的に支払い義務があるのでしょうか?

  1. (1)基本的に不倫相手への慰謝料支払い義務は発生しない

    基本的には支払い義務はありません。確かに不倫は違法行為ですが、それは「不倫された配偶者」に対する不法行為です。配偶者に不倫された人は大きな精神的苦痛を受けるので、不倫したふたりは不倫された被害者へ慰謝料を払わねばなりません。

    一方、不倫した人同士は、共同で違法行為をした「共同不法行為者」という関係になります。一緒になって不法行為をしたので、被害者である配偶者に対して共同で慰謝料支払いの連帯責任を負います。当事者間では「どちらが悪い」というものでもないので、互いに慰謝料支払いの義務は負いません。

    以上より不倫相手の女性や男性と別れるとき、基本的に慰謝料を払う必要はありません。

  2. (2)別れるときの不当要求は「恐喝罪」「脅迫罪」になる可能性

    「払わないと会社に言う、奧さんに言う」などと告げるのは「恐喝罪」という犯罪になる可能性があります。恐喝罪は、暴行や脅迫によってお金を払わせる犯罪です。
    また、「不倫を会社に告げる、妻にバラす」などと告げるだけでお金を請求しなくても「脅迫罪」が成立する可能性があります。

    脅迫や恐喝被害を受けてお金を支払うと、相手の違法行為に屈服し助長させる結果になってしまうので、支払うべきではありません。

2、脅迫や慰謝料請求をされたときの対応方法

支払い義務がないとはいえ、不倫相手からの脅迫を無視していると本当に妻や会社に不倫の事実を知らされてしまう危険があります。妻や夫に不倫を知られると離婚騒動に発展してしまうリスクもあるため注意が必要です。法律上、不倫(不貞行為)は違法行為なので、離婚の際には妻や夫へ高額な慰謝料を払わねばならない可能性があります。

そういった不利益を避けてなるべく穏便に解決するには、どうしたら良いのでしょうか?

  1. (1)弁護士を間に入れて交渉する

    最善の方法は、弁護士を介して交渉することです。不倫相手は別れを切り出されて感情的になっているため、本人が対応しても聞く耳を持たないケースがほとんどです。本人が「慰謝料を払う法的な義務はない」などと説明しても、余計にヒートアップするだけになってしまう可能性があります。

    そこで本人以外の第三者、それも法律と交渉に長(た)けた弁護士を間に入れましょう。相手も落ち着きやすくなりますし、弁護士が法的な考え方を伝え「脅迫は違法」「しつこくすると警察への通報も検討せざるを得ない」などと伝えると、だんだん冷静になって最終的には請求をあきらめるケースが多数です。

  2. (2)解決金を支払う場合「書面」を作成する

    一般的に不倫相手にお金を渡す必要はありませんが、相手に金銭を支払わなければ納得してもらえないケースもあります。たとえば不倫相手が妊娠中絶したケースや不倫に至った経緯でこちらが「独身」と言って相手をだましたケース、不倫相手が年少でこちらの落ち度が大きい場合などにはお金を渡した方がスムーズに解決できる状況もありえます。

    そういったときには、ケースに応じて相手に相当な金額の手切れ金・解決金を支払って解決することを検討します。ただしお金を払うときには、必ず合意書などの書面を作成するようにすべきでしょう。書面なしに支払うと、後に「まだ十分な慰謝料を受け取っていない」などと言われて追加請求されるおそれがあるからです。

    合意書には、「本合意書に定める他一切の債権債務関係が存在しない」という清算条項を入れておきましょう。清算条項が入った和解書に相手が署名押印すれば、後に「まだ足りない」などと請求されても排斥できます。

3、脅迫がエスカレートした場合

相手によっては弁護士が入ってもなかなか頭を冷やすことがなく、どんどん脅迫や恐喝行為がエスカレートするケースがあります。つきまといなどが始まって身の危険を感じることもあるでしょう。そのような場合、相手には以下のような犯罪が成立する可能性があります。

  1. (1)脅迫で成立する犯罪とは

    ・ 脅迫罪
    対象者や対象者の親族の生命、身体、財産、名誉、自由に対して害悪を告げた場合に成立する犯罪です。たとえば「殺すぞ」「家を燃やすぞ」「殴るぞ」「子どもをさらうぞ」「会社に不倫を告げるぞ」などと告げると脅迫罪が成立します。
    刑罰は2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑です。

    ・ 強要罪
    暴行や脅迫により、相手に義務のないことを強要したときに成立する犯罪です。たとえば「不倫関係を継続しないなら今までのことをインターネット上にさらす」などと言われて関係継続を強要されると強要罪が成立する可能性があります。
    刑罰は3年以下の懲役刑です。

    ・ 恐喝罪
    暴行や脅迫により金品を要求したときに成立する犯罪です。たとえば「奧さんに告げられたくないなら慰謝料500万円を払え」などと言われると恐喝罪が成立する可能性があります。
    刑罰は10年以下の懲役刑です。

    ・ ストーカー規制法違反
    相手に対する恋愛感情やそれが満たされないことによる怨恨(えんこん)の感情からつきまとい行為をすると「ストーカー規制法違反」になります。たとえば待ち伏せ、嫌がらせのしつこいメールや手紙、汚物や動物の死骸を送りつけてくる、監視していると告げる行為などが「つきまとい行為」として規制されます。
    ストーカー規制法違反の罰則は最高で2年以下の懲役または200万円以下の罰金刑です。

    ・ 名誉毀損(きそん)罪、侮辱罪
    不倫相手が会社に押し掛けてきて多数の社員の前で「この人は私をもてあそんだ上でポイ捨てした冷血人間だ」などと言って騒いだり、ネット上に「○○は私をだまし続けて最終的に捨てた最低な人間」などと書き込んだりしたら「名誉毀損(きそん)罪」が成立する可能性があります。
    名誉毀損罪は、公然と事実の摘示によって他人の社会的評価を下げたときに成立します。
    刑罰は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金刑です。

    事実を摘示せずに罵倒することによって他人の社会的評価を低下させた場合には「侮辱罪」が成立します。刑罰は「拘留または科料」です。

  2. (2)警察に動いてもらうには

    不倫相手による脅迫やつきまとい行為がエスカレートしたら、上記のような犯罪によって警察に動いてもらえる可能性があります。
    そのためには被害届の提出や刑事告訴をしなければなりません。具体的に「どのような違法行為があるのか」と、警察に説明する必要があり、「相手が犯罪行為をしている証拠」もある程度要求されます。相手から届いたメール、手紙、相手の言葉を録音したレコーダーなど、証拠を残しておきましょう。

    犯罪被害に遭ったとき、ひとりで対応するのは精神的にも労力的にも大変なので早めに弁護士に相談に行きサポートを求めるようおすすめします。

4、家族や会社にバレないためにはどうしたらいい?

不倫している方は、「できれば家族や会社に知られたくない」と考えているものです。不倫相手から「別れるなら家族に言う」などと脅迫されたとき、確実に家族や会社に秘密にできるのでしょうか?

  1. (1)弁護士に依頼するとバレない可能性が高くなるが確実ではない

    弁護士に依頼すると、家族や会社に知られる前に解決できる可能性が高くなります。
    相手がヒートアップして「本当に会社や奧さんにバラしてやる!」と考えていても、弁護士が出てきて「あなたのやっていることは違法ですよ」「会社に告げたりネットに書いたりすると名誉毀損になりますよ」「これ以上悪質な嫌がらせを止めないなら刑事告訴しますよ」などと告げると、あきらめて退いていくケースが多数です。

    ただ、中にはそういう発想に至らない人もいます。弁護士が出てきてもおかまいなしに会社に連絡したり家に押し掛けてきたりする非常識なタイプの人が、世の中には一定数存在しているのです。

    弁護士に依頼すると「家族や会社に知られる危険性が大きく低下する」ことは確実ですが「絶対に知られない」という確約はできません。

  2. (2)なるべく男女トラブル解決に長(た)けた弁護士を選ぶ

    そのような状況下においてもなるべく家族や会社に知られないようにするには、不倫相手の心理を読み取って的確な対応をとることが大切です。
    不倫相手は「捨てられた」などの被害者意識を持っているケースも多いので、相手を刺激しないように誠意をもって対応を進めます。また状況に応じて解決金の提示も検討します。
    自分で対応するより弁護士に依頼する方が相手もクールダウンしやすくなるのはもちろんですが、「男女関係のもつれ」の問題解決に長(た)けている弁護士に依頼すると効果的です。配慮の低い弁護士に依頼すると相手の被害者意識が高まってしまう可能性もあるので、経験が豊富で人間味があり、不倫相手を上手に説得できそうな弁護士を選ぶことが重要です。

5、まとめ

不倫相手との関係を清算するときには、相手の感情を害さず穏便に解決できるよう、細心の注意を払いましょう。もしも相手が感情的になって脅迫をしてくるようであれば、自己判断で対応せずに早めに弁護士に相談し、アドバイスを求めるべきです。
ベリーベスト法律事務所 広島オフィスではこれまで多数の男女トラブルの案件を解決してきた実績があります。広島県で不倫相手に脅迫されてお困りの方がおられましたら、お気軽にご相談ください。

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