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「ソーシャルハラスメント」とはなにか?雇用主ができる対策を解説

2019年10月28日
  • 労働問題
  • ソーシャルハラスメント
  • 広島
「ソーシャルハラスメント」とはなにか?雇用主ができる対策を解説

「セクハラ」から始まって、「パワハラ」、「マタハラ」、「アルハラ」とハラスメントの数がものすごい勢いで増えています。「ハラスメント」の意味が「嫌がらせ」なので、一方の当事者が嫌と思うようなことをされれば全てハラスメントになってしまいます。

その中の1つとして「ソーシャルハラスメント」があります。比較的新しいハラスメントですが、SNSの利用者の増加に伴って被害も増えていると言われています。

そこで、今回は、ソーシャルハラスメントとは、どういうもので、その対策として企業の担当者としてはどのような点に注意しなければならないのかについてベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士が解説していきます。

1、ソーシャルハラスメントとは

ソーシャルハラスメントとは、「LINE」、「Twitter」、「Facebook」、「Instagram」などのソーシャルメディアに関する嫌がらせのことです。「ソーシャル・メディア・ハラスメント」、「SNSハラスメント」、「ソーハラ」と呼ばれることもあります。

SNSは、今では社会的インフラとなりつつあり、個人が社会に対して発信することができるコミュニケーションツールとして大きな役割を果たしています。特に、いつでも動画の撮影が可能になったことから、問題となるような動画がSNSに投稿されると、テレビなどでも取り上げられ、瞬く間に社会問題に発展することもあります。

他方で、多くの方がSNSを利用することになったことに伴い、個人の私生活がのぞき見されるというリスクも生じるようになってきています。たとえば、週末に旅行に行った写真をSNSにアップすると、職場の上司から「旅行は楽しかった?」などと話しかけられたりするというリスクです。私生活をのぞき見されないよう不用意に写真をアップしないよう注意することが必要です。

私生活についてのぞき見されないよう注意することは自分自身でできることですが、少し前から増えているのが、上司や同僚からの「友達申請」です。私生活までつながりたいとは思わない同僚や上司から「友達申請」がある場合、むげに断れば仕事に支障が出そうだし、受け入れればSNSを楽しむことができず、どちらを選択してもストレスがたまることになります。

このように、力関係で優位にある者が他者に対してSNSを行う上で、ストレスを感じるような要求を行った場合、ソーシャルハラスメントとなる可能性があります。

2、どういった行為が問題になるのか

  1. (1)「友達申請」や「フォロー登録」の強要

    「LINE」「Facebook」「Twitter」などをやっている同僚や上司から、「友達申請」や「フォロー登録」の依頼があった場合、それを断るのは難しいということがあります。親しくもない同僚や上司とはつながりたくないと思っても、仕事がしづらくなるなど支障が生じるおそれがあるからです。

    「友達申請」や「フォロー登録」するということは、その人のアカウントも知られてしまうことなので、明らかに業務外の行為と言えます。したがって、基本的に、SNSの利用はプライベートに限定しているとして「友達申請」や「フォロー登録」が断られても仕方がないことです。それでも、強要する場合や嫌がらせをする場合にはソーシャルハラスメントとして、会社は改善する必要が出てくるでしょう。

  2. (2)「いいね」や「コメント」の強要

    SNSをやっていると、社会的承認欲求として「いいね」や「コメント」が欲しくなるものです。本来これらは自発的になされるものですが、力関係を背景に強要とするとなるとソーシャルハラスメントになりえます。また、SNSでつながっていることをいいことに頻繁に連絡をしてきて、返信を強要することもソーシャルハラスメントと言えます。

  3. (3)SNSで写真など公表される

    会社での忘年会などで撮った写真を無断でSNSにアップすることはソーシャルハラスメントに該当する可能性があります。また、会社での出来事などを個人が特定できる形で無断で投稿することもソーシャルハラスメントに該当するでしょう。

  4. (4)ネットストーカー被害

    Facebookは実名登録がルールとなっているので、ネットで名前を検索されると、すぐにアカウントが特定されてしまいます。Facebookでの投稿を執拗(しつよう)に閲覧し、それをほのめかすような発言を繰り返すような場合、監視されているのと同じ状態になるので、Facebookを楽しむことはできなくなります。このような場合もソーシャルハラスメントとなるでしょう。

  5. (5)LINEの連絡強要

    LINEの機能として「既読」と「未読」が表示されます。そのため、既読しているのに連絡をしないと、「既読スルーか」と言った反感を買うことがあり、休日や夜間でも連絡がきてストレスがたまるという問題があります。これも業務に関係のない内容であったり、業務に関係していても緊急性がなかったり、頻度があまりにも多い場合にはソーシャルハラスメントになる場合があります。

3、関連して問題になりやすいこと

ソーシャルハラスメントは、SNSによって嫌がらせを受けた場合に問題になりますが、その他の権利侵害として訴えることが可能な場合もあります。

  1. (1)肖像権侵害

    同意なしに勝手に写真をSNS上にアップされたような場合、肖像権侵害として差し止め請求や損害賠償の請求ができる可能性があります。肖像権とは、自分の容ぼうをみだりに撮影されたり公表されたりしない権利のことです。

    実際に肖像権侵害として違法となるためには、判例上受忍限度を超える場合とされています。たとえば、外出中にたまたま映り込んだ場合で、個人を特定するのが難しいような場合には肖像権侵害とはなりえても違法とまでは言えないということです。他方、中心部に明確に人物が特定できるくらいはっきり写っていて、それがインターネットで公表されたりすると、受忍限度を超えるとして違法と認められる可能性もでてきます。

    肖像権侵害が行われている場合、放っておくとネット上で情報が拡散されて被害が広がる可能性がありますので、早めに対処することが重要です。

  2. (2)プライバシー侵害

    プライバシー権は、私生活や私的な事項をみだりに開示されない権利です。他人の姿や家などが写った写真をSNSに投稿すると、プライバシー権侵害となりえます。肖像権と重なる部分もありますが、肖像権と異なり、画像や動画に限らずSNSに勤務先、自宅住所、交際相手などの個人情報を書き込むこともプライバシー侵害となります。プライバシー侵害が認められた場合にも損害賠償の請求をすることができます。

  3. (3)パワーハラスメント

    上司のSNSに「いいね」をするよう強要することは、ソーシャルハラスメントに該当すると説明しましたが、「いいね」をしないことを理由に、配置転換を命じるなど職務上不当な扱いをした場合にも、「パワハラ」になる可能性があります。

  4. (4)セクシュアルハラスメント

    上司が部下とLINEでつながっている状態で、私的に会うことをしつこく誘うなどした場合には、セクハラに該当する場合があります。

4、ソーシャルハラスメント対策

  1. (1)個人でできる対策

    SNSを利用するということは、たとえ限定された相手とのものであったとしても、ハッキングされたり、転載されたりするリスクはあるので、不特定多数の人に見られるという意識を常に持つことが大事です。投稿する場合には、誰に見られても問題ない内容かどうか吟味して投稿するようにしましょう。

    見られたくない内容の投稿をする場合は、Facebookなどの実名登録のものは利用せず、ニックネームなどで登録できるSNSを利用するようにします。その上で、投稿する場合には、個人や会社が特定できないよう隠語を使うなどの配慮をしましょう。

    友達や同僚と写真を撮った場合にはネット上には公開しないようお願いすることも一定のけん制にはなります。また、ソーシャルハラスメントを受けた場合には、証拠が重要なので、メールでのやり取りを残しておくことはもちろん、SNSの内容などはスクリーンショットで保存しておくようにしましょう。

  2. (2)企業の対策

    企業での対策としては、セクハラやパワハラに比べ「ソーシャルハラスメント」とはまだまだ認知度が低いので、まずは研修をするなどしてSNSで「いいね」を強要したり、「友達申請」に応じるよう強要したりすることは「ソーシャルハラスメント」に該当するということを注意喚起することが重要です。さらに、管理職については特に仕事とプライベートを区別する大切さをしっかりと教育することが大事です。

    各種ハラスメントに対応できるよう相談窓口を設置し、早期に対応することも大事です。また、ハラスメント防止規定を作り、ハラスメント防止の観点から、私的なメールアドレスの交換や、社員間のSNSでのやり取りは行わないこととするルールを作るのも一定の効果があると思います。

5、会社で問題が起こってしまったら、弁護士へ相談を

各種ハラスメント対策を実施していても問題が発生してしまうことはあります。そのような場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

部下からソーシャルハラスメントがあったとして、会社に訴えがあった場合、部下と上司のそれぞれから事情を聞くことになりますが、会社が管理職をかばったりすると従業員から会社が適切な管理をしていないとして安全配慮義務違反として訴えられる可能性があります。

特にハラスメントしている人が役員などの幹部である場合、人事担当者が対処するのが難しいということもあります。事実関係を確認するにしても、公正な第三者に調査を依頼した方が被害者、加害者ともに納得しやすくなるので、調査の段階から弁護士に依頼するとよいでしょう。

6、まとめ

社員間でのSNSの利用について、会社が関与しなければならないのかと思われる方もいるかもしれませんが、ネット社会においてSNSは今や個人にとって重要なツールになりつつあります。その重要なツールの利用が会社の上司などの圧力によって不自由な状態になるとすれば、やはり会社の責任として対処しなければなりません。

ハラスメント対策は、早期に対応することが何より重要です。会社の対応が後ろ向きだと判断されると、そのこと自体がSNSに投稿され、世間から非難を浴びるかも知れません。

インターネットでの法律問題は、情報通信に詳しい弁護士でないと対応は難しいものです。ベリーベスト法律事務所 広島オフィスでは、情報通信に関する法律問題に対応できる弁護士が在籍しておりますので、ソーシャルハラスメントの問題解決や予防策の相談などお気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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