SNS誹謗中傷を書き込まれた! 削除させるための、法律的な対応とは?

2021年04月15日
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SNS誹謗中傷を書き込まれた! 削除させるための、法律的な対応とは?

令和2年の9月13日、サッカーのJリーグで川崎フロンターレとサンフレッチェ広島の試合が行われた後に、サンフレッチェ広島の監督や所属選手に対する差別的発言や誹謗中傷がSNSに投稿される事件が起きました。
サンフレッチェ広島は、「いかなる差別的、侮辱的な行為や言動、SNSなどでの発言も、絶対に許すことはありません」と強調しました。
ほとんどの人がなんらかの形でSNSに投稿を行っている現代では、感情のもつれや逆恨み、嫉妬や嫌がらせなどから、一般の会社員や学生であっても、差別や誹謗中傷の対象とされてしまう可能性があるものです。

SNSで差別や誹謗中傷の被害にあった場合には、該当の書き込みを削除するように要請することができます。その際には、法律的な手段を用いた方が、より確実に削除をさせることができるのです。

本コラムでは、SNSでの誹謗中傷に対して問える罪や、書き込みの削除を要請する方法などについて、べリーベスト法律事務所広島オフィスの弁護士が解説いたします。

1、SNSの誹謗中傷で罪に問えるものとは?

SNSや掲示板での誹謗中傷は、人を深く傷つけ心身ともに不安定にするものです。匿名の書き込みだからと諦めて放置する方が少なくないようですが、条件を満たせば刑事罰が成立することもあります。

まずはSNSや掲示板に書き込まれた誹謗中傷が、どの刑事罰に該当する可能性があるのかを考えてみましょう。

  1. (1)SNSへ事実に反する誹謗中傷を書き込まれた

    たとえば、あなたのFacebookなど、SNSの投稿欄へ「おまえの実家の汚い弁当屋○○(屋号)は頻繁に食中毒を出している」「ブスで小汚いおまえにはぴったりだな」などのコメントが何度も書き込まれたとしたら……。腹立たしい気持ちになることは当然のことです。

    しかし、これらの書き込みをした相手には、以下の罪に問える可能性があります。

    ・ 名誉毀損(きそん)罪
    名誉毀損罪とは、社会的地位や名誉を低下させる発言や書き込みを公の場で行った際に適用される罪です。名誉毀損罪が成立すると「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」と刑法で規定されています。ただし、名誉毀損は親告罪です。あなた自身が証拠を保存し、警察に「告訴」しなければ、相手の罪を問うことはできません。

    ・ 侮辱罪
    侮辱罪とは、公の場で抽象的な誹謗中傷をした際に成立する罪です。この書き込みの場合は、ブスで小汚いという部分が該当する可能性があります。侮辱罪が成立すると「勾留又は科料に処する」と定められています。侮辱罪も親告罪なので、あなた自身が告訴する必要があります。

    ・ 業務妨害罪
    業務妨害罪とは、企業の営業活動や個人の業務を妨害したと認められると成立する罪です。今回の書き込みでは、実家が経営する弁当屋について、風説を流布していることが認められれば、業務妨害罪に問える可能性があります。業務妨害が認められると「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と刑法では規定しています。偽計業務妨害は親告罪ではないため、警察で相談すると対応してもらえることがあるでしょう。

  2. (2)掲示板で脅迫を交えた誹謗中傷を書き込まれた

    では、「△△(住所)の○○(本名)の実家の弁当屋はまずい。このまま営業しているなら火をつけてやる」などの言葉が、書き込まれていたとしましょう。それが、SNSや匿名掲示板などの不特定多数が目にするネット上のコミュニティであれば、場合によっては瞬く間に拡散してしまう可能性もあります。

    あなたの住所や本名とともに、このような書き込みが行われた場合は、以下の罪に問える可能性があります。

    • 名誉毀損(きそん)罪
    • 侮辱罪
    • 脅迫罪


    脅迫罪とは、生命や財産、身体などを害すると発言したり書き込んだりしただけで成立する罪です。実際に行動に移さなくても、罪に問える可能性があるので、脅すような内容の書き込みを発見したら、警察や弁護士に相談しましょう。脅迫罪は親告罪ではないので、被害者が刑事告訴をしなくても、相手が起訴される可能性があります。

    あなたに対する誹謗中傷の書き込みが、どの罪に該当するのかは個別に確認しなければ判断できません。誹謗中傷の書き込みを発見したら、まずはURLやスクリーンショットなどを保存し、弁護士に相談するとよいでしょう。

2、SNSで誹謗中傷されたらすぐにやるべき削除依頼の方法

SNSの誹謗中傷は放置すべきではありません。いわれなき誹謗中傷はあなたの心身をむしばむだけでなく、エスカレートして傷害や殺人などの事件に発展する危険性もはらんでいます。

あなたがSNSで誹謗中傷されているのであれば、すぐに書き込みを削除してもらうための手続きを実施しましょう。SNSへの誹謗中傷を削除してもらうために行う手順は、以下の通りです。

・ 規約を確認する
各SNSには、投稿のガイドラインや規約が定められています。あなたを誹謗中傷する書き込みが、規約やガイドラインに違反しているかどうかを確認しましょう。

・ 証拠を保存する
誹謗中傷が、なにかしらの法律に抵触している場合や、民事上の責任を問える場合は、誹謗中傷の証拠が重要となります。該当の書き込みがあるURLやスクリーンショットなどを保存しておいてください。

・ サイト管理者に削除依頼する
SNSや掲示板には、管理人やサイト管理者が存在します。問い合わせフォーム等から「削除依頼」を行いましょう。

・ 削除依頼に応じてもらえない場合は法的措置へ移行
サイト管理者は、個人からの削除要請に応じないケースが少なくありません。削除依頼をしても状況が改善しない場合は、法的措置を取る必要があります。具体的には、裁判所への「仮処分」と「訴訟」です。


規約を読み、証拠を残してから削除依頼を個人的に行う……までの手続きであれば、個人でも比較的容易に実施することができます。しかし、削除依頼に応じてもらえないケースでは、法的措置を取る必要があります。

また、逆に相手が明確にわかっているときは、誹謗中傷の対象となっているあなた自身が直接削除依頼をすることによって、さらに状況が悪くなる可能性もあるでしょう。いずれにせよ、個人での対応は難しいと感じたら、いち早く弁護士に相談することをおすすめします。

サイト管理者や管理人への削除要請も、個人が行うよりも弁護士経由で行うことにより、成功率が高まるとも言われています。迅速に誹謗中傷を削除したい方は弁護士に早い段階で相談してください。

3、SNSの誹謗中傷で慰謝料の請求はできるのか?

SNSで誹謗中傷されたら、まずやるべきことは「削除依頼」ですが、削除するだけでは書き込みを行った発信者を罰することはできません。証拠を保存して告訴し、しかるべき刑事罰を受けてもらいたいと考えることはごく自然なことです。

そのようなとき、削除依頼や刑事告訴とともに並行して行うことができるのが「慰謝料請求」です。慰謝料請求とは相手の過失によって生じた「心の痛み」を請求できる、被害者に認められた正当な権利です。

SNSでの誹謗中傷は、さまざまな民法上の不法行為に該当する場合があるので、損害賠償請求ができる可能性があります。たとえば、名誉毀損や、プライバシーの侵害、侮辱や、脅迫などが行われた場合は、それぞれの不法行為に対して慰謝料を請求できる場合があるでしょう。

慰謝料を請求するためには、SNSなどに書き込んだ本人の氏名や住所などの個人情報が必要です。サイト管理者などに「発信者情報開示請求」を行って、書き込んだ本人を特定しなければなりません。

発信者情報開示請求や、その後の慰謝料請求の手続きは複雑です。また、慰謝料額を交渉する際、相手と直接対峙することになるので、被害者個人で行うことは危険を伴うことがあります。すべての対応を弁護士に依頼することをおすすめします。

4、SNSの誹謗中傷の削除依頼は弁護士に依頼すべき

SNSの誹謗中傷書き込みの削除依頼は、個人でも不可能ではありません。しかし、手続きに不慣れな個人が行うと、削除が実行されるまでに時間がかかるどころか、削除すらしてもらえない、もしくは、さらに炎上してしまうというケースが多発しています。

SNSの誹謗中傷は、放置しておくとエスカレートして取り返しがつかない事件に発展することも少なくありません。SNSの誹謗中傷から、あなたや大切な家族を守るためにも、素早い対策が必要不可欠です。

SNSの誹謗中傷や誹謗中傷記事を、迅速に削除したいのであれば、自分で対策するのではなく、誹謗中傷記事の削除実績が多い弁護士に依頼することをおすすめします。一度弁護士に依頼すれば、削除依頼だけでなく、その後刑事告訴や慰謝料請求といった難しい手続きも代行してもらえますので、時間と手間をかけることなく、SNSの誹謗中傷を解決することができるでしょう。

ただし、インターネット上では、投稿の削除依頼を代行すると宣伝する「削除業者」の存在を散見します。実のところ、削除依頼は本人しかできない行為であり、法律についての国家資格を持つ弁護士のみが、代行して行えるという性質のものです。よって、弁護士が在籍しない削除業者は法律違反の行為をする業者ということになります。ただでさえ傷ついている時期に、不法な業者に個人情報を渡してしまわないよう、気をつけてください。

SNSの誹謗中傷は、あなたの体と心を深く傷つけます。ひとりで悩みを抱えず弁護士に相談することをおすすめします。

5、まとめ

SNSの誹謗中傷は、放置しておくとエスカレートしてしまい複数のSNSに飛び火してしまったり、現実社会での脅迫やストーカーなどに発展したりする可能性があります。可能な限り、迅速な対応が求められるでしょう。

しかし、実務上は個人の削除要請に応じない管理人や企業が少なくないため、弁護士に依頼しスピーディーに書き込みを削除してもらうことが重要です。削除依頼後の慰謝料請求や告訴などの手続きも、弁護士に依頼することで、手間も時間もかかることなくスムーズに対応可能です。

ベリーベスト法律事務所 広島オフィスでは、SNSの削除依頼実績が豊富な弁護士が、適切なアドバイスをいたします。まずは相談してください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています