ブログで見知らぬ人から誹謗中傷を受けて削除依頼するなら知っておきたいこと
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2015年、広島市に住む女子大学院生が、元交際相手のことを「女たらし」などと誹謗中傷する内容を16回にわたってインターネットサイトに書きこみ、ストーカー規制法違反で逮捕される事件がありました。
このように、自分を誹謗中傷する内容をブログに書き込まれた場合は、早急に削除することが必要です。この事件では書き込んだ相手がすぐ特定できましたが、もし見知らぬ人からブログで誹謗中傷を受けた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
1、ブログの誹謗中傷を削除する方法
ブログに掲載された誹謗中傷の書き込みを削除するために被害者ができることは、投稿者に削除を直接依頼する・運営会社や管理者へ削除を依頼する・裁判所での仮処分手続きを利用する、の3つです。それぞれの方法にはどのようなメリット・デメリットがあるのかについて、見ていきましょう。
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(1)投稿者に削除を直接依頼する
他人のブログで自分のことを誹謗中傷するようなことを書かれた場合、まず投稿をした本人に直接削除を依頼する方法があります。専用のメッセージフォームを使って、削除を依頼するメッセージを送ってみましょう。その際、「弁護士へ相談する」「法的措置を検討している」などの内容を入れると、削除に応じてもらえる可能性が高くなります。
ただし、そのような内容のメッセージを送ると相手方に「脅し」だと受け取られて、炎上させてしまったり他のサイトへ拡散されてしまったりするリスクもあります。書き方にはくれぐれも注意しましょう。 -
(2)運営会社へ削除を依頼する
次に、ブログを運営している会社に削除を依頼する方法もあります。運営会社にはそれぞれ利用規約があり、その中で削除に関する方針を打ち出しているところもあります。運営会社は、ユーザーから削除依頼が届くと、書き込みの内容が規約や方針に違反しているかどうかを検討します。削除してほしいとする内容が運営会社の削除に関する方針にマッチすれば、削除に対応してもらえる可能性が高くなります。
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(3)法的手段として、仮処分の手続きを利用する
記事掲載者にも運営会社にも任意の削除依頼に応じてもらえない場合は、法的手段として裁判所の仮処分手続きを利用することになります。判決が出るのに半年以上の時間のかかる訴訟と比べ、仮処分の場合は1~2ヶ月で裁判所の命令が出る可能性もあるため、その分早く解決することが可能です。
裁判所から仮処分命令が下れば、それを根拠として削除に応じてもらいやすくなるでしょう。裁判所の命令があれば、削除依頼にある程度強制力を持たせることができるからです。 -
(4)名誉毀損罪や業務妨害罪などで訴える場合は、発信者情報開示請求を行う
削除だけでなく、「名誉棄損や業務妨害などの罪で刑事告訴したい」と考えている場合は、発信者情報開示請求を行います。そのためには、まず運営会社に投稿者のIPアドレスの開示請求を行い、その後アクセスプロバイダのサーバ管理者に対して発信者情報開示請求をするのが一般的です。発信者情報開示請求についても、任意の請求に応じなければ裁判所の仮処分手続きを利用することになります。
2、ブログで誹謗中傷されたときに削除対応してもらえる基準は?
それぞれのブログ運営会社では、「利用規約」「方針」「ヘルプセンター」等のページで、削除に関する方針を打ち出しています。運営会社が削除を検討する書き込み内容は、大きく分けて「権利侵害に該当するもの」「法律に抵触するおそれのあるもの」の2つに分けられます。
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(1)権利侵害に該当するもの
書き込まれた内容が第三者の何らかの権利を侵害していると考えられる場合は、削除の検討対象になります。たとえば、以下のようなものに該当する書き込みは削除してもらえる可能性が高いと言えるでしょう。
- 商標権・著作権・肖像権・パブリシティ権などの侵害にあたるもの
- プライバシーの侵害にあたるもの
- 名誉棄損・誹謗中傷にあたるもの
ただ、運営会社からすればユーザーの表現の自由も確保しなければなりません。そのため、書き込み内容が法的視点から権利侵害の明白なものでなければ削除に対応してもらえないこともあります。その点に留意しておいたほうがよいでしょう。 -
(2)法律に抵触するおそれのあるもの
また、犯罪予告など明らかに法律に抵触するおそれのあるものについても、削除の対象となりえます。たとえば、以下のような内容のものが該当します。
- 麻薬・覚せい剤や拳銃などの売買に関する内容
- 修正がされていない卑猥な画像・動画
- 18歳未満の児童に対し、援助交際や売(買)春を誘引する内容
法律に抵触するような書き込みを放置すれば、模倣犯が現れたり犯罪被害が拡大してしまったりするおそれがあります。そのため、運営会社側も速やかに削除をしなければならないと判断し、削除をしてくれることが多い傾向にあります。
3、ブログの誹謗中傷被害を弁護士に相談するメリット
ブログで誹謗中傷の被害を受けたときに相談できる窓口には、警察署や法務省の人権相談、インターネットセキュリティ関連の業者などがあります。しかし、根本的な問題解決を目指すのであれば、弁護士に相談するのがベストです。では、弁護士に相談するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
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(1)削除に応じてもらいやすくなる
一個人が投稿した本人や運営会社に「書き込みを削除してほしい」と働きかけても、無視されたり「対応できない」などと言われたりするかもしれません。しかし、弁護士が代理人となって削除請求すれば、こちら側の本気度が伝わって相手方も「これは無視できない」と感じて削除に応じてもらえる確率が高くなります。
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(2)弁護士法23条の2に基づく情報開示請求ができる
弁護士には、引き受けた事件に関して必要な情報の開示を、弁護士会を通してさまざまな団体に求めることが弁護士法23条の2で認められています。これを「23条照会」と言います。
たとえば、インターネットカフェから記事が投稿されている場合、投稿者に削除を求めたくても投稿者が誰なのか特定できないことがあります。そのときに、弁護士がインターネットカフェに対して利用者の情報を照会すれば、投稿者を特定して氏名や住所などを明らかにすることができる可能性が高くなるのです。 -
(3)法的手続きを取るときにも安心
削除に応じてもらえない場合に裁判所に仮処分の手続きを申し立てたり、発信者情報開示請求を行うために訴訟を提起したりする必要が生じることがあります。そのときに弁護士に相談して協力を仰ぐことができれば、弁護士に手続きをすべて委ねられる上に、スムーズに削除や発信者情報開示を求めることが可能になります。
4、ブログの誹謗中傷を削除するという削除代行業者に要注意
インターネットで「誹謗中傷 対策」などと検索すると、削除代行業者のウェブサイトが数多くヒットします。「弁護士は敷居が高い。弁護士より業者のほうが相談しやすそう」と考えて、これらの業者の利用を検討される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、削除代行業者を利用するときには以下のようなことに注意が必要です。
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(1)弁護士以外は代理人としての行為ができない
弁護士法上、弁護士の資格を持たない者が報酬を得て誰かの代理人として法律行為を行ってはならないことになっています。そのため、削除代行業者が運営会社に対して投稿の削除やIPアドレスの開示を求めることはできません。
弁護士の資格を持たない代行業者が、ブログ運営会社やプロバイダに対して削除依頼や発信者情報開示請求を行うと、非弁行為となり2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます。 -
(2)削除代行業者ができるのは逆SEO対策のみ
削除代行業者ができるのは、単に検索エンジンで表示される順位を下のほうに下げることのみです。誹謗中傷の内容が掲載されたページを、検索エンジンの2ページ目以降に表示されるように対策を講じることで、誹謗中傷の内容が人目に触れるリスクを減らすことはできます。しかし、書き込み自体の削除ができるわけではないため、友人や知人に見られて何らかの不利益を被る可能性はまだあると言えるでしょう。
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(3)高額な費用を請求されることも
逆SEO対策は、コンスタントに行っていなければ効果が得られにくく、対策をやめたとたんにまた誹謗中傷の内容が検索の上位に出てきてしまう傾向があります。そのため、1回にかかる料金は弁護士費用より安く見えても、毎月作業費用が発生するので結果として弁護士費用よりも高額な費用を請求されるケースも珍しくありません。費用については中長期的に見てどちらが安くなるかを検討したほうがよいでしょう。
5、まとめ
見知らぬ人から全く身に覚えのないことを書き込まれた場合、拡散による被害を最小限に食い止めるために一刻も早く削除しなければなりません。しかし、個人で記事掲載者に依頼するとかえって炎上させてしまうリスクを伴います。運営会社に削除依頼をしても、すぐに対応してくれるとは限りません。
ブログに誹謗中傷が書き込まれた場合は、一日も早くインターネット問題の経験豊富な弁護士に相談されることをおすすめします。弁護士に依頼すれば、書き込みの削除だけでなく、投稿者の氏名や住所などを突き止めて損害賠償請求や刑事告訴をすることも可能です。
ベリーベスト法律事務所 広島オフィスでは、初回相談料が無料、一部の場合を除き任意での削除請求であれば着手金も無料で依頼ができます。ブログに悪質な誹謗中傷の書き込みをされて困っておられる方は、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスまで、お気軽にご相談ください。
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