残業代請求をしたい! 労働基準監督署と弁護士の違いとメリット・デメリットとは
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通称「労基署」と呼ばれる「労働基準監督署」は、憲法第27条第2項にもとづき、労働基準法や労働安全衛生法などの実効を確保する使命を持つ機関です。広島市内の労働基準監督署は、広島市中区の広島合同庁舎2号館にあります。
たとえば小売りや美容系などのサービス業では、勤務時間を過ぎてもお客さま対応をしたり、準備や研修が行われたりするケースが少なくありません。このような時間は本来残業手当として払われるべきものですが、一般的に、未払いのままであっても残業代請求はしづらいものでしょう。
そのようなとき相談すべき場所としてよく名前が挙がるのが、前述の労働基準監督署と、弁護士です。そこで今回は、残業代請求をするとき、代表的な専門機関である労働基準監督署と弁護士のどちらへ相談したらよいのか、違いを含め解説します。
1、労働基準監督署とは
労働基準監督署とは、労働基準法・労働安全衛生法・最低賃金法などの労働基準関連の法令を、企業が守っているかをチェックする機関のことをいいます。
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(1)どのような組織?
労働基準監督署は、厚生労働省が管轄する都道府県労働局の下部組織として、全国に300ヶ所以上存在しています。労働関係の法令に関しては警察同様に捜査権や逮捕権を持っているため、会社に対して帳簿・書類などの提出を求めることも可能です。
労働基準監督署では残業問題以外にも、賃金や解雇・退職金などさまざまな問題についての相談を受け付けています。会社に対して行政指導をしてもらえることもあるので、有効な手段のひとつといえるでしょう。
しかし、労働基準監督署に残業代の請求で相談に行った場合、たいていは「まずは会社に自分で請求してみてください」といわれます。これは労働基準監督署の仕事は「労働基準を違反している会社を正すこと」であるため、違法である証拠がない状態ではなかなか動いてもらえない可能性があります。警察同様、労働基準監督署でも、民事的な問題には介入できません。
したがって、労働基準監督署に相談する場合は、事前に自分で会社に請求してみましょう。それでもうまくいかなかったとき、明らかな違法性があるとき、労働基準監督署へ相談することをおすすめします。 -
(2)相談すべき労働基準監督署
労働基準監督署はそれぞれ管轄が異なります。厚生労働省のホームページなどで自分の地域を担当しているところを確認して相談しましょう。
開庁時間はそれぞれ異なりますが、おおよそ平日の朝から夕方までの時間になります。その時間に相談できない方は、「労働条件相談ほっとライン事業」などの電話相談の活用も検討してみてください。
2、労働基準監督署と弁護士、相談するなら?
個人で残業代請求を行おうとしても、具体的な請求方法がわからない方がほとんどでしょう。労働問題を熟知し、残業代請求の経験が豊富な弁護士に相談するのも有効な手段です。
では、労働基準監督署と弁護士のどちらに相談すべきなのでしょうか。
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(1)弁護士に相談をする場合
弁護士が依頼を受けたときは、代理人としてあなたの代わりに直接会社と交渉を行い、法的な請求や交渉を引き受けて解決を目指します。事前にしっかり打ち合わせを行えば、弁護士が矢面に立ち対応することができます。
弁護士に相談する際は、可能であれば雇用時の契約書や就業規則、タイムカードなどの必要書類を持参しましょう。
弁護士費用ですが、弁護士事務所によって大きく異なります。不安があればサイトで明示している弁護士事務所に相談するか、無料相談を行っている弁護士事務所をいくつか訪れて費用を比較してみることをおすすめします。相談の段階で残業代請求できる金額の計算や弁護士費用の見積もりに納得できたら正式に弁護士に依頼をすることになります。ベリーベスト法律事務所のケースに限ると、大多数が取り戻した残業代の一部で支払える範囲の弁護士費用になります。
必要な証拠がそろっていれば会社との示談交渉の手続きに進みます。証拠が不十分な場合は弁護士と相談した上で証拠集めから始めることになるでしょう。示談で解決しなかった場合は労働審判や訴訟を行うことになります。 -
(2)労働基準監督署の場合
労働基準監督署の仕事は会社の違法行為を正すことであり、労働者個人の状況を解決するものではありません。
残業代請求の問題に関しては、サービス残業の状態を改善するところまでが仕事です。それまでの未払い残業代を請求してくれるわけではないので、労働者本人が請求し、必要に応じて交渉することになります。 -
(3)メリット・デメリット
前述のとおり、労働基準監督署と弁護士事務所でそれぞれ対応は異なります。あなたの目的に応じて、相談する場所を選択することになるでしょう。
また、労働基準監督署に申し出たからといってすぐに動いてもらえることはありません。以下の監督・指導の手順を踏む必要があるためです。- 事業場や従業員の状況確認
- 労働関係の書類などのチェック
- 事業主や労働者からの事情聴取(必要に応じて社長や現場責任者も)
- 必要であれば、使用停止命令書や是正勧告書・指導書の交付
- 会社から是正報告書の提出
- 再監督(必要時)
これらを通して、残業代問題に関して会社が方針を改めて、その後解決に向かうことになりますが、残業代の請求までは行ってくれないことに注意が必要です。
弁護士に依頼すると、代理人となって会社と交渉して、残業代の請求もしてもらえます。ただし、職場環境の是正は行えません。また、状況に応じて弁護士費用が高額になることもあるのであらかじめ確認しておいたほうがよいでしょう。
いずれにしても、あなたが残業代請求や是正を相談したことを会社が知った結果、残念ながら会社にいづらくなってしまう……という事態に陥ることもあります。退職してから残業代請求を行うケースは少なくありません。
弁護士事務所や労務局などでは、残業代請求などに関して無料で相談できる窓口を用意しているケースは少なくありません。どうすべきか悩んでいるのであれば、まずその窓口で、それぞれのメリット・デメリットについて自分が納得のいくまで説明してもらった上でどちらに依頼するかを判断してもよいでしょう。
3、管理職でも残業代は請求できる?
昨今、小売業や飲食店などのサービス業の店舗を中心に、店舗の店長やマネージャーを管理職と見なし、「名ばかり管理職」として、残業させながら賃金を支払わないという手法が横行しています。そのためか、自分は役職に就いているから残業代はもらえない、と思っている方も多いかもしれません。
労働基準法41条では確かに,監督管理者については残業代が支給されないと定められています。監督管理者は職務内容、権限、勤務内容、賃金など、他の労働者とは異なる立場で働くからです。
しかし、監督管理者に当てはまるかどうかは、役職名ではなく下記のような要素が実質的にあるかどうかで判断されます。
- 管理監督者として職務を行っている
- 経営方針の決定、労務管理など経営者と一体的な立場にある
- 自己の勤務時間について裁量権を有する
- 役職手当などの待遇がされている
このような、実質的な監督管理者でない場合は残業代を請求できます。また、労働基準監督署に報告すれば、会社に対して指導を行ってくれます。ただし、根拠なく動いてはもらえないので、根拠となる資料を用意した上で報告しましょう。
4、まとめ
今回は残業代請求に関して、労働基準監督署と弁護士事務所での対応の違いについて説明してきました。どちらに相談したらいいのかという疑問に対する答えは、あなたの目的によって変わるでしょう。
冒頭で述べたとおり、労働基準監督署は会社の違法を正すことを目的とした機関です。つまり、今後の残業代の支払いに関しては是正される可能性はあります。他方、過去の残業代未払い分に関して請求してくれたりするわけではありません。
弁護士事務所であれば、依頼者個人の残業代請求は可能ですが、その他従業員の残業代未払い分についての扱いや、その後は支払い続けてもらえるようになるかどうかは企業次第になります。自分がどうしたいのかを考えて、どちらを選ぶかを判断しましょう。
悩んでいるのであれば、まずは無料相談の窓口を利用してみることもひとつの手です。また、「サービス業だからサービス残業は当然」「(権限がないにもかかわらず)監督管理者だから残業代は出さない」などという理由によって、残業代請求を拒まれるケースは少なくないようです。正規に雇用されている状態でそのような経験がある方は、どうか諦めず、弁護士に相談してみてください。残業代請求の結果、支払いを受けられるケースが少なくありません。
残業代請求問題で悩んでいるとき、まずは過去分を支払ってもらいたいときは、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスで相談してください。状況をしっかりと見据え、適切な交渉により、あなたの残業代請求を成功に導けるよう、力を尽くします。
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