退職後でも可能? 広島オフィスの弁護士が残業代請求の疑問に回答します
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広島は中四国を代表する工業都市で、昔から人口も多く活気があります。観光地としても厳島神社と原爆ドームというふたつの世界遺産を有しており、観光業も盛んな地域です。
このため、サービス業に従事する人口も多く、いわゆるサービス残業について悩んでいる方も少なくないでしょう。この記事を読んでいる方のなかにも、未払いの残業代を会社に請求したくても、どのタイミングで請求すべきか悩んでいる方がいらっしゃるのではないでしょうか。なかには、残業代が払われないものとあきらめている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実は残業代の請求は退職後でも可能です。しかし、そのために知っておくべき知識や必要な手続きがいくつかあります。そこで、広島オフィスの弁護士が、残業代請求を行うタイミングは退職前後どちらがよいのかという疑問に回答するとともに、退職後に請求する場合の注意点なども含めて解説します。
1、残業代請求はいつでもできる?
残業代は定められている労働時間を超えた時点で発生するものであり、労働者に支払われるべき賃金です。退職したとしてもその残業時間に関しての支払い義務がなくなるわけではありません。
逆に支払いをしていなかった会社側は労働基準法違反となり、罰せられる可能性があります。
しかし、残業代の請求で注意しなくてはいけない点があります。それは、いつまでも残業代請求をする権利があるわけではないという点です。
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(1)請求できる期間は?
残業代を請求するにあたって注意しなくてはいけない点は、「時効」です。給料が支払われた日から2年たつと時効となり、残業代を請求する権利が消滅します。
これは給料日から2年間なので、請求が遅くなるほど時間が経過して、請求できる残業代の金額は少なくなっていきます。つまり、長年勤めながらずっと残業を続けていたうえ、未払いであった場合は、請求が遅くなるほど受け取れるはずの過去の残業代が消滅していくということになります。 -
(2)退職後も残業代請求は可能?
在職中ではなく、仕事を辞めてしまってからでも残業代請求は可能です。
働いているときは、残業代を請求すると職場や上司と気まずくなりそうで、請求できないという方も多いのではないでしょうか。その分、辞めてしまうのであれば、精神的なプレッシャーは軽減されるでしょう。
しかし、この場合も時効が発生します。退職した日からではなく、本来残業代が支払われるはずの給料日から時効にかかってしまいますので注意が必要です。
2、退職後に残業代を請求するケースは多い
実のところ、退職後に残業代を請求するケースのほうが多い傾向があります。なぜならば、労働者と会社とでは会社側の立場が強いため、在職中に残業代請求を行うことにためらいを感じる方が多いためです。
あってはならないことですが、残業代を請求することによって、上司や管理監督者との関係が悪くなることや、労働条件上でも不利益を被ることになるなどの可能性は否定できません。また、交渉による残業代請求に応じてもらえなかった場合は、労働審判などの裁判に発展する可能性があります。在職中に自らの雇用主を相手取って裁判を起こすことは、精神的にも厳しいと感じるのではないでしょうか。
さらには、在職中はそれが常識と刷り込まれていて、残業代が請求できることすら知らなかった、考えなかったというケースもあります。
このように、在職期間中はその後のことも考えて残業代の請求をあきらめてしまう方、できることを知らなかったという方が多いのが実情です。逆にいえば、退職後に残業代の請求を考える方のほうが多いといえます。
したがって、残業代の請求を考えている方は、在職期間中にも可能な限り証拠を集めて、退職後の請求に備えるようにしましょう。
3、退職後と退職前どちらがおすすめ?
残業代を請求するには退職前と退職後のどちらがいいのでしょうか? それぞれにメリット、デメリットがあります。それらを比較して、今後の残業代請求に備えてください。
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(1)退職前に請求を考える場合のメリット
・ 証拠を集めやすい
基本的に残業をしたという証拠はタイムカードや業務日報など社内にあるものになります。ですので、退職前のほうが退職後よりも残業に関する証拠を集めやすくなっています。したがって、退職前に証拠を集めておくのであれば退職後に請求をしたとしても証拠の集めやすさはさほど変わらないといえるでしょう。
・ 時効をあまり気にすることなく残業代請求ができる
残業代は給料日から2年で時効により請求権が消滅します。退職した場合は、日にちがたつごとに受け取れる額がどんどん少なくなっていきます。在職中で毎月のように未払いの残業が発生しているのであれば、時効をある程度気にしなくても請求することができるでしょう。 -
(2)退職前に請求を考える場合のデメリット
・ 職場にいづらくなる
残業代請求後も在職する場合には、これまでと同様の対応を受けられるとは限らないため、ある程度の覚悟が必要です。会社や上司から不当な待遇を受けるかもしれませんが、そういった状況も証拠に残しておけば、後から訴訟や話し合いの際有利に持ち込むことができます。
・ 訴訟が難しい
会社との交渉で和解となり残業代が支払われる場合には問題ありません。しかし、交渉による和解ができず、労働審判や訴訟を考えた場合、在職していると会社での立場などを考えてしまうでしょう。最終的に行動へ移すことが難しくなります。 -
(3)退職後に請求を考える場合のメリット
・ 精神面で退職前よりも楽に請求できる
退職後であれば、会社の人間関係や待遇を気にする必要がありません。退職前よりも精神的には楽に請求がしやすくなります。弁護士に依頼していれば、転職活動などに集中したまま残業代請求が行えるでしょう。
・ 遅延損害金が見込める
未払いの残業代は、支払われるべき賃金が滞っていた状態となるため、未払いであった状態に対しての損害金を請求することができます。この遅延損害金が退職前に請求すると年利6%であることに対して、退職後であれば年利14.6%と高くなります(賃金の支払の確保等に関する法律第6条)。さらに裁判になれば、企業はペナルティとして付加金が命じられることもあります。
そのため、退職後のほうが遅延損害金を含めると高い金額を請求できる可能性があります。 -
(4)退職後に請求を考える場合のデメリット
・ 証拠集めが難しい
前述したように、証拠集めは在職中のほうがスムーズに行えます。今は在職中でも、退職後に残業代請求を考えているのであれば、会社を辞めてしまう前に証拠を集めておくことをおすすめします。
しかし、退職後、残業代請求を決意したケースでは、証拠集めが難航することが考えられます。タイムカードなどは弁護士を通じて請求できることもありますし、メールや給料明細など小さな手掛かりになる可能性があります。あきらめずに弁護士に相談してください。
4、まとめ
未払いの残業代問題については、労働基準監督署へ相談することができます。しかし、労働基準監督署は会社の状況に対して改善命令を行う機関です。労働者個人に残業代の未払いがあったとしても、今後の残業代が支払われるようになる可能性はありますが、過去分を請求して解決してくれる組織ではありません。
残業代請求は自分でもできますが、専門的な知識がない場合、残業代の請求の手続きや必要な証拠が何であるかなどがわからないうえ、直接交渉しなければならず、非常に難しいものです。その上、残業代請求には時効がありますので、迅速な手続きが求められます。
そこで、残業代請求をしたいと考えている場合は、早い段階から弁護士へ相談することをおすすめします。弁護士に依頼することで、証拠集めや書類作成の効率があがりますし、会社側との交渉も、あなたが直接行うことなくスムーズに短時間ですませられる可能が大きくなります。
広島で退職後の残業代請求で悩んでいる方は、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスで相談してください。残業代請求の実績が豊富な弁護士が適切な対応で、あなたの残業代を取り戻せるよう力を尽くします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています