子どもが逮捕! 面会できる? 少年事件の流れと広島市近郊の警察署
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広島県警察本部が公表している「少年補導 令和5年」によると、令和4年中に広島県下で刑法を犯した20歳未満子どもの子どもの総数は495人で、前年より35.6%も増加していることが明らかになっています。
たとえ20歳未満であっても刑法などに違反する行為をすれば、14歳以上ならば「補導」や「保護」ではなく、「逮捕」される可能性があります。本コラムでは、未成年の子どもが逮捕された場合、逮捕から審判や裁判までどのような流れになるのか、また親としてどのような行動をとるべきか、広島オフィスの弁護士が解説します。広島市近郊の警察署リストもあるのでご活用ください。
1、子どもが逮捕された場合の手続きの流れ
20歳未満の子どもが逮捕された場合は、具体的にはどのような手続きが行われていくのでしょうか。20歳以上の方が逮捕された場合との違いとあわせて解説しましょう。
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(1)逮捕
20歳未満の子どもであっても、逮捕から勾留までは成人と同じ流れになります。
逮捕には、一般的に以下の3種類があります。- 通常逮捕:警察官が自宅などに出向き、逮捕状を示して逮捕する。
- 現行犯逮捕:犯罪行為をおこっている最中、または犯罪行為を終えたばかりの者をその場で逮捕する。
- 緊急逮捕:殺人などの重大な罪を犯したことが明らかで、緊急性を要する場合に逮捕する。
逮捕とは、手錠をかけられた瞬間や取り押さえられた瞬間のことを指すのではなく、被疑者の身体の自由を強制的に拘束して、警察署の留置場など留置施設にとどめることを意味します。つまり、手錠をかけられていなくても、身柄を拘束された時点で逮捕はスタートしています。
逮捕による身柄拘束には、タイムリミットがあります。警察によって逮捕された場合は最大で72時間です。この間、弁護士との接見以外は家族との面会や外部との連絡を取ることはできません。
なお、20歳未満の子どもの被疑者は「被疑少年」と呼ばれて、成人の被疑者とは違う部屋に留置されます。 -
(2)送検
警察は、被疑少年を逮捕した瞬間から48時間以内に、検察に身柄を引き渡すか、釈放するかを決定します。被疑者の身柄や証拠などを送ることを「送致」といい、検察庁への送致のことを一般的に「送検」と呼びます。
事実認定が誤っている逮捕や、早期に被害者との示談がまとまった場合には、送検されずに釈放されることもあります。 -
(3)勾留および勾留に代わる観護措置
検察が、引き続き捜査のため被疑少年の身柄拘束が必要だと判断した場合、検察官は裁判所に勾留を請求します。被疑少年は裁判所で裁判官の質問を受け、裁判官が勾留決定の判断をします。検察官が被疑者の身柄を受け取ってからから勾留請求までのタイムリミットは24時間以内と制限されています。
検察官が勾留請求しない場合や、裁判官が勾留決定しない場合、被疑少年は勾留されずに釈放されます。裁判所が勾留の必要があると決定した場合、原則として10日間、さらに捜査の必要が認められた場合は、10日間の延長が認められます。
勾留期間は、最大20日間にも及ぶことになります。
20歳未満の子どもが逮捕されると、検察官は勾留請求ではなく「観護措置」を請求することもあります。観護措置を取られた場合、被疑少年は少年鑑別所に収容されます。勾留に代わる観護措置の期間は10日間とされ、延長は認められていません。
勾留および勾留に代わる観護措置の間は、警察官や職員の立ち会いのもと、家族との面会が認められます。ただし、接見禁止の処分を受けた場合は、原則として面会はできません。
面会できる曜日・時間には制限があり、面会時間は15分から20分程度で、会話はメモをされることがあります。 -
(4)家庭裁判所への送致と観護措置
20歳以上の方の場合、検察の判断で不起訴処分となり、釈放されることもあります。しかし20歳未満の子どもの場合は、検察官の裁量は認められず、すべての事件が家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所で事件を受理すると、少年鑑別所において観護措置を取るべきかを判断します。
観護措置を取る必要がないと判断された場合は釈放され、在宅で家庭裁判所調査官の観護を受ける在宅観護(調査官観護)となるでしょう。
一方、観護措置が必要であると判断された場合は、少年鑑別所へ原則として2週間~4週間、重大な事件では最大8週間収容されることになります。
少年院や少年刑務所という名称は聞いたことがあっても「少年鑑別所」については、よく知らない方も多いでしょう。少年鑑別所では、心理学、教育学などの専門家である家庭裁判所調査官が、少年や保護者に対し次のような面接や心理テストなどを行います。
- 事件や非行を引き起こしてしまった原因は何か
- 家庭環境や生活環境など、更生するために何が必要なのか
これらを調査・分析のうえ、処分に対する意見も付けた「鑑別結果通知書」を作成し、家庭裁判所に提出されます。
在宅観護の場合も、家庭裁判所からの呼び出しで少年と保護者が出頭し、調査官との面接などが行われ、調査官が書類を提出します。 -
(5)少年審判
調査官の調査をもとに、家庭裁判所では審判を開始するか不開始とするかを決定します。
不開始となった場合は、少年の身柄は解放されます。
家庭裁判所が審判は必要であると判断した場合は、成人の刑事裁判にあたる「少年審判」が開始されます。
少年審判は原則として非公開で行われ、基本的に1回の期日で結審します。
審判では以下のような処分が下されます。- 不処分
- 保護観察処分(保護処分)
- 児童自立支援施設や児童養護施設、少年院などの更生施設への送致(保護処分)
- 都道府県知事・児童相談所長への送致
- 検察官への送致(逆送)
なお、家庭裁判所が保護処分を決定するため必要があると思料するときは、試験観察に付されます。試験観察に付されると、処分が一時留保され、調査官による観察を経てから最終的な処分が決まります。
2、20歳未満の子どもが逮捕されたら、親は何ができる?
子どもが逮捕されたという連絡が届いたら、だれしもひどく動揺することでしょう。まずは逮捕されたという情報が真実か否かについて確認すべきです。そして、その情報が事実であった場合、保護者の方ができることは限られますが、お子さまにとって非常に大きな力になりえます。
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(1)保護者自身ができること・できないこと
子どもが逮捕されてしまったら、親ができることは、主に以下のようなことが考えられます。
- 子どもへの精神的サポート
- 学校などへの対応
- 弁護士の選任
しかし親も冷静さを失い、適切な判断ができなくなるでしょう。無実と考えられる場合や事実関係が誤認されている場合でも、警察や被害者、学校・会社などの関係先に対して不適切な対応を取ってしまうとますます印象が悪くなります。
逮捕・勾留期限の延長や、被害者との関係がさらに悪化しないように対応しなければなりません。
20歳未満の子どもの逮捕は、警察・検察による取り調べ、留置施設での勾留や少年鑑別所での収容などの長期間にわたる身体拘束が行われます。その後の審判の処分によっては、退学・停学処分、解雇処分などの生活環境の変化など、少年の精神状態や更生、その後の子どもの人生に対して非常に大きな影響を及ぼしてしまいます。
少年事件の場合でも、逮捕後すぐは面会が禁止されています。警察からの情報を聞き出すことも難しく、親としてできることには限りがあるでしょう。
20歳未満の子どもが逮捕された場合は、一刻も早く弁護士に相談することをおすすめします。 -
(2)広島市近郊の警察署リスト
最近は、「ご家族が逮捕された」などという嘘の連絡が届くことがあるようです。そのため、最初に連絡を受けたときもすぐにうのみにせず、いったん冷静になり、どの警察署のだれが連絡をしているのかについて確認してください。もし警察署名などがわからない場合は、心当たりがある警察署に問い合わせてみるとよいでしょう。
広島市内、および近郊にある警察署は以下のとおりです。- 安芸高田警察署 安芸高田市吉田町吉田1204-2 0826-47-0110
- 安佐北警察署 広島市安佐北区可部四丁目14-13 082-812-0110
- 安佐南警察署 広島市安佐南区西原九丁目3-20 082-874-0110
- 江田島警察署 江田島市江田島町中央四丁目13-1 0823-42-0110
- 大竹警察署 大竹市本町一丁目8-10 0827-53-0110
- 海田警察署 安芸郡海田町つくも町1-45 082-820-0110
- 呉警察署 呉市西中央二丁目2-4 0823-29-0110
- 佐伯警察署 広島市佐伯区倉重一丁目26-1 082-922-0110
- 竹原警察署 竹原市中央一丁目1-13 0846-22-0110
- 廿日市警察署 廿日市市本町1-10 0829-31-0110
- 東広島警察署 東広島市西条昭和町4-11 082-422-0110
- 広警察署 呉市広大新開一丁目5-6 0823-75-0110
- 広島中央警察署 広島市中区基町9-48 082-224-0110
- 広島西警察署 広島市西区商工センター四丁目1-3 082-279-0110
- 広島東警察署 広島市東区二葉の里三丁目4-22 082-506-0110
- 広島南警察署 広島市南区出汐二丁目4-65 082-255-0110
- 山県警察署 山県郡安芸太田町大字加計3760-1 0826-22-0110
なお、ベリーベスト法律事務所は福山市にもオフィスがあります。
■参考:ベリーベスト法律事務所 福山オフィス
このほかにも全国にオフィスがあるので、たとえ逮捕地が広島市近郊でなくとも対応可能ですし、そのような場合であってもご自宅に近いオフィスでご相談いただけます。
お問い合わせください。
3、弁護士に相談するメリット
少年事件の相談は、刑法だけでなく少年法の知識も深い弁護士に相談するとよいでしょう。
特に、コミュニケーション力が高く、子どもの更生や将来までも真剣に考えてくれる弁護士を選ぶことをおすすめします。
20歳未満の子どもが逮捕された場合、弁護士に相談するメリットは次のとおりです。
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(1)逮捕されている子どもと自由に接見できる
弁護士なら、逮捕されている子どもといつでも自由に接見することができます。立ち合いもなく時間に制限がないので、事件の事実関係を確認したり、取り調べへの対応の仕方などをアドバイスしたり、家族からのメッセージを伝えたりすることも可能です。
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(2)早期の釈放が期待できる
検察や裁判官に勾留請求しないようはたらきかけます。もし勾留や観護措置を取られた場合には不服を申し立てたりするなど、できるだけ早期に釈放されるように活動します。
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(3)示談交渉ができる
傷害など被害者がいる事件であれば、効果的に交渉を進めて示談を成立させることで、観護措置の回避や処分の軽減をめざします。
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(4)学校・勤務先への適切な対応ができる
学校や勤務先など、逮捕後に従来どおりの環境に復帰できるかどうかは、更生に大きく影響します。警察と交渉して学校・勤務先への連絡を阻止したり、連絡済みであっても直接事情を説明したりすることで、退学・停学処分や解雇処分などを防ぐことができます。
4、まとめ
今回は、20歳未満の子どもが逮捕された場合の手続きの流れについてご紹介しました。民法改正により成人年齢は18歳となりましたが、法を犯してしまった20歳未満の子どもについては引き続き少年法の対象となります。
できることなら子どもの逮捕は避けたいものです。しかし、万が一逮捕される事態となった場合は、その後の更生を円滑にスタートするためにも、早期に弁護士に依頼することが効果的でしょう。少年事件の場合は、保釈がなく、観護措置を取られると長期間にわたり身体を拘束されるリスクがあります。逮捕されたらすぐに弁護士へ連絡を取り、サポートしてもらいましょう。
窃盗や万引きなど20歳未満の子どもの逮捕で動揺されている保護者の方は、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスまでご連絡ください。少年事件の解決実績が豊富な広島オフィスの弁護士が、全力でサポートします。
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