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従業員が10人未満でも就業規則は作るべき理由。作成方法を解説!

2019年11月22日
  • 労働問題
  • 就業規則
  • 10人未満
  • 広島
従業員が10人未満でも就業規則は作るべき理由。作成方法を解説!

2019年には、芸人と大手芸能プロダクションの間に契約書が一切ないことが話題になっていましたが、労働条件について書面化したものがないと、賃金や退職に関してトラブルに発展しやすいものです。

就業規則は、従業員が常時10人以上いる場合には必ず作成しなければなりませんが、従業員が10人未満であれば作成する義務はありません。もっとも、法律的には義務ではありませんが、従業員が10人未満のでも就業規則は作っておくことをおすすめします。なぜなら、就業規則は労働者の権利を保護するものである一方、会社を守るものでもあるからです。

そこで、今回は、就業規則を作成すべきか迷っている方や作成方法についてよくわからないという人向けに、就業規則を作成することのメリットと作成方法についてベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士が解説していきます。

1、就業規則とは

就業規則とは、賃金や労働時間などの基本的な労働条件や労働者が就業上遵守しなければならない規律について定めたものです。冒頭でも述べたとおり、就業規則は常時10人以上の労働者を雇用している会社であれば必ず作成し、管轄の労働基準監督署に届け出なければなりません。もし、常時10人以上の労働者がいるのに就業規則を作っていない場合や作っていても届け出をしていない場合には法律違反となり、30万円以下の罰金となります。

労働者が会社に入社するとき、労働者と使用者との間に雇用契約が結ばれることになります。しかし、従業員が多い場合、一人ひとりのために全ての労働条件や職場規律を記載した雇用契約書を作成することは大変です。そこで、労働条件に関する基本的な事項は規則として定めておくことにしたのが就業規則です。

就業規則を見れば労働条件がわかります。ただ、就業規則を作るだけで、内容が従業員に周知されていないのでは意味がないので、事業場ごとに全員が見ることができるようにしておかなければなりません。

就業規則の内容については、何でも定められるわけではなく、労働基準法に反しない範囲で、合理性のあるものでなければなりません。必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」と任意で記載できる「相対的記載事項」があります。

【絶対的記載事項】

  1. ①始業及び終業の時刻
  2. ②休憩時間
  3. ③休日、休暇
  4. ④賃金の決定、計算、締め切り日、支払の時期と方法
  5. ⑤昇給に関する事項
  6. ⑥退職に関する事項
  7. ⑦解雇の条件

【相対的記載事項】

  1. ①退職手当に関する事項
  2. ②臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
  3. ③食費、作業用品などの負担に関する事項
  4. ④安全衛生に関する事項
  5. ⑤職業訓練に関する事項
  6. ⑥災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  7. ⑦表彰、制裁に関する事項
  8. ⑧その他全労働者に適用される事項

以上のとおり、どれも重要なものであり、労務管理をする上で就業規則の作成は欠かせないものと言えます。

2、就業規則を定めるメリット

就業規則を作ることが義務付けられていない事業所でも、就業規則を定めることには、以下のようなメリットがあります。

  1. (1)社内秩序の維持

    業務を行う上での基本的なルールを定めておくことは社内秩序を維持する上で必要不可欠です。たとえば、就業時間が明確でなければ、社員が何時に出社し、何時に退社しようが自由ということになってしまいます。また、休憩時間の定めがなければ、いつ休憩してもよいことになってしまいます。これでは、社内秩序が維持できません。そのため、始業終業時刻、休憩時間、休日・休暇、賃金に関する定めなどは絶対的記載事項として必ず定めなければならないことになっています。

  2. (2)トラブルの防止

    就業規則を定めることで、トラブルを防止することができます。たとえば、労働者を懲戒免職にするような場合、労働者から解雇について争ってくる可能性があります。就業規則がなければ、懲戒免職をする正当理由を労働者に納得してもらうしかありません。労使間の話し合いで解決しない場合、調停や裁判ということになりますが、その場合でも就業規則がない場合、懲戒免職の基準が明確でないとして不当解雇と認定される可能性があります。

    それに対し、就業規則で懲戒解雇となる基準を定めていれば、それに該当することを説明すれば、労働者も反論することが難しくなります。それでも労働者が納得せず調停や裁判となった場合でも就業規則を示し、その要件に該当することを主張・立証すれば懲戒解雇が認められる可能性が高まります。

  3. (3)採用にも有利にはたらく

    最近は少子高齢化によって人手不足が叫ばれるようになってきており、ひとたび「ブラック企業」とレッテルを張られると人材確保が難しくなります。ネットの書き込みに「うちの会社は就業規則もない」などと書かれてしまったら、求人を出しても誰も応募してこなくなります。そのようなことを防止するためには、就業規則を定め、労働者の権利を保護しているということを明らかにしておくことが重要です。就業規則に反する労働契約は無効になるので、就業規則の定めがある会社は就職する者からすると安心感があります。

  4. (4)助成金

    厚生労働省では、雇用関係の改善に資する施策を行った場合、申請により助成金が支払われます。しかし、助成金の申請の要件として、「就業規則が定められていること」ということがあります。せっかく助成金がもらえる雇用活動をしていても、就業規則を定めていないために助成金がもらえないというのは非常にもったいないことです。

3、就業規則の作成方法

就業規則を作ることのメリットはわかったけれど、実際に作るとなると大変ではないかと思われる方も多いと思います。そこで、就業規則の作成方法についてご説明します。

先ほども説明した通り、就業規則には「絶対的記載事項」と「相対的記載事項」があります。絶対的記載事項は必ず定めなければなりませんので、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、賃金の決定、計算、締め切り日、支払の時期と方法、昇給に関する事項、退職に関する事項、解雇の条件の各項目に従い、具体的に定めていくことになります。他方、相対的記載事項は、任意の記載事項ですが、こちらもトラブル予防の観点からできるだけ定めておくことをおすすめします。特に、退職金と賞与について支払う場合には、これらの内容について記載しておく必要があります。

なお、より詳細な規定を別に定めることもできます。たとえば、就業規則には、「給与については別に定める給与規定による。」としておき、別途「給与規定」を定めるという具合です。給与については、給与表や残業手当の内容など複雑になりがちなので、別に定めることにより就業規則がすっきりするというメリットがあります。この他、退職金規定なども多くの企業で作られています。最近だと、セクハラやパワハラなどの対応について定めることも多くなってきています。

4、専門家の利用

就業規則の作成については、会社において作ることも可能ですが、労働基準法など関係法令に適合する形で定めなければならず、また、トラブルになった際に規定の内容に問題があると効力が認められないこともあるので専門家に作成してもらいたいということもあると思います。

そのような場合には、社会保険労務士か労働法に詳しい弁護士に相談するとよいでしょう。社会保険労務士は、労働法についての知識を有しているので就業規則の作成について安心して依頼することができます。他方、労働問題に通じた弁護士に依頼すると、トラブルを未然に防ぐという観点も交えて適切な就業規則の作成に向けて動いてくれるでしょう。

なお、就業規則をオーダーメードで作成してもらうのではなく、チェックとアドバイスが欲しいという場合もあると思います。そのような場合にも、社会保険労務士か弁護士に相談してください。もし、弁護士と顧問契約を締結している場合には、顧問先として割引を受けられることもあるので、確認してみるとよいでしょう。

専門家に依頼する場合、ある程度のコストは掛かりますが、会社の根本規則と言える重要なものなので確実な内容のものを作ることが大事です。就業規則を変更する場合、労働者の代表または労働組合から意見を聞かなければならず、不利益な変更となる場合には、労働者の同意または変更内容に合理性が求められます。つまり、簡単には不利益変更はできません。それだけに就業規則の作成は慎重に作る必要があります。

5、まとめ

今回は、就業規則を作成するメリットとその作成方法について解説してきました。また、専門家へ依頼する場合の注意点について述べてきました。

就業規則を作る場合、会社にできるだけ都合のよい内容にしたいという企業もあるかもしれません。しかし、企業は人で成り立っているものです。従業員の満足度を高めることが企業の業績につながると考えることが重要です。

そう考えると、従業員にとって快適な労働環境となるような就業規則を作り、そのような会社でぜひ働きたいという人が集まるような会社にしていくことが望まれます。

ベリーベスト法律事務所 広島オフィスでは、労働法について経験豊富な弁護士が在籍しておりますので、就業規則の作成はもちろん、労働関係のご相談があればお気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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