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【雇用主向け】外国人労働者を職場に受け入れるときの注意点を解説

2019年09月04日
  • 顧問弁護士
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【雇用主向け】外国人労働者を職場に受け入れるときの注意点を解説

少子高齢化によって労働力不足が深刻さを増していますが、政府は昨年12月、外国人労働者の受け入れ拡大を国の政策として決定しました。この決定により、熟練労働者だけでなく、介護、宿泊、外食の業種で単純労働者も受け入れることが可能になりました。

広島労働局の資料によると、管内の外国人の労働者数は3万1851人と平成19年の届出義務化以降では過去最高を更新しています(平成30年10月末時点)。他方で、労働者として外国人を雇おうとした場合、日本人との文化の違いや価値観の違いなどでトラブルも気になるところです。

そこで、今回は、外国人労働者を雇う上でのルールや注意すべき点について解説していきます。

1、外国人を雇用する上でのルール

  1. (1)在留資格の種類と確認方法

    外国人を日本で雇用する場合、在留資格がどのような種類かを確認しなければなりません。在留資格とは、外国人が日本に滞在できることを示す資格をいいます。在留資格は、29種類あり、観光や一時的な商用目的以外で日本に滞在している外国人は、いずれかの在留資格を保有していなければなりません。

    在留資格の内「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の4つについては、制限は特にありませんが、それ以外については在留資格の内容によって制限があります。就労が認められる在留資格としては次の19種類があります。

    ①外交②公用③教授④芸術⑤宗教⑥報道⑦高度専門職⑧経営・管理⑨法律・会計業務⑩医療⑪研究⑫教育⑬技術・人文知識・国際業務⑭企業内転勤⑮介護⑯興行⑰技能⑱技能実習⑲特定技能

    ちなみに、それ以外の在留資格としては、「特定活動」「文化活動」「短期滞在」「留学」「研修」「家族滞在」があります。

    もし、在留資格なく滞在していれば不法滞在となります。また、在留資格があっても、期限が切れている場合もありますので、期限もしっかり確認する必要があります。具体的な確認方法は次のとおりです。

    ●パスポート
    外国人が日本に適法に入国していれば、必ず許可印が押印してあります。印がない場合には密入国の可能性がありますので、必ずパスポートを確認してください。

    ●在留カード
    中長期間滞在できる滞在資格のある外国人には「在留カード」が発行されています。ここには、氏名、生年月日、国籍、在留資格、在留期限などが記載されています。有効な在留資格があるかどうかはこのカードで確認することができます。なお、在留カードを持っていなくても、すでに在留カードの交付予定がある場合には雇用することが可能です。ただ、その場合には在留カードの発行申請をしていることを確認し、在留カードが発行されることを条件に正式雇用するようにしてください。

    ●就労資格証明書
    外国人本人が、就労を認められている内容を証明するために「就労資格証明書」の発行を申請していた場合には、「就労資格証明書」によっても、「在留資格」と在留期限を確認できます。この証明書には具体的な就労活動が示されています。

    ●資格外許可について
    「留学」のように就労が認められない在留資格であっても、「資格外許可」を得ている場合には、アルバイトをすることが可能になります。ただ、時間の制限や就労できる業種などの制限があるので、雇用できる業務かどうか確認する必要があります。

    なお、就労が認められる在留資格でも、在留資格の種類によって働ける内容が変わってくるので、採用を予定している業務内容と整合しているか確認することが必要になります。もし、一致していない場合には、在留資格の変更手続きが必要になります。

    また、海外にいる外国人を日本に呼び寄せて雇用する場合には、在留資格を取得する必要がありますので、在留資格の要件を満たすだけの学歴や職歴があるか確認することが必要です。

  2. (2)必要な届け出

    事業主は、新たに外国人を雇い入れた場合又はその雇用する外国人が離職した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その者の氏名、在留資格、在留期間その他厚生労働省令で定める事項について確認し、当該事項を厚生労働大臣に届け出なければなりません(雇用対策法28条)。事業主が、この届け出を怠ったり、虚偽の届け出を行ったりした場合、30万円以下の罰金となります。

    ●届け出の対象となる外国人の範囲
    日本国籍がなく、在留資格が「外交」「公用」以外の人が対象です。なお、「特別永住者」については特別の法的地位が与えられており、届け出をする必要はありません。

    ●届け出の方法
    外国人労働者が、雇用保険の被保険者であるかどうかによって、様式や届け出先、届け出の方法が異なります。

    【雇用保険の被保険者である場合】
    雇用保険に関する手続きを行う際に、外国人雇用状況の届け出も行います。

    雇用保険被保険者資格取得届または雇用保険被保険者資格喪失届の備考欄に、①氏名、②在留資格、③在留期間④生年月日⑤性別⑥国籍・地域⑦資格外活動許可の有無(雇入れの場合のみ)⑧雇入れ又は離職に係る事業所の名称および所在地などを記載することで、外国人雇用状況の雇入れまたは離職の届け出を行ったことになります。

    ●届け出先
    雇用保険の適用を受けている事業所を管轄するハローワークに届け出を行います。

    ●届け出期限
    雇入れの場合は被保険者となった日の属する月の翌月10日まで、離職の場合は被保険者でなくなった事実があった日の翌日から起算して10日以内に届け出をすることが必要です。

    【雇用保険の被保険者でない場合】
    「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」に、①氏名②在留資格③在留期間④生年月日⑤性別⑥国籍・地域⑦資格外活動許可の有無(雇入れの場合のみ)⑧雇入れ又は離職年月日⑨雇入れ又は離職に係る事業所の名称、所在地などを記載し、届け出を行います。

    ●届け出先
    当該外国人が勤務する事業所施設の住所を管轄するハローワークに届け出を行います。

    ●届け出期限
    雇入れ、離職の場合ともに翌月の末日までに届け出をすることが必要です。

2、起こりやすいトラブルとは?

日本独自の労働慣行については、外国人には理解できず、トラブルになりやすいと言えます。

  1. (1)長時間労働

    外国の場合、仕事は決められた時間のみ働くものと考えられており、定時になると帰るというのが基本です。そのため、仕事が残っていても定時に帰るのが当たり前と考えている場合もあります。これに対して、日本人労働者らから反感を買いトラブルになることがあります。しかし、プライベートより仕事を優先するというのは、日本独自の価値観なので、経営者は、日本人従業員には、そのことをしっかりと説明しておくことが必要です。

    なお、外国人労働者の中には定時以降仕事をした場合には、残業代ができることを知らない人もいるので、残業代が出ることについて、はじめの段階で伝えておくことが重要です。いずれにせよ、多様な価値観を受け入れることで、真の意味での労働環境の改善ができるかもしれません。

  2. (2)飲み会の参加強制

    最近では、「飲みニケーション」などという言葉は死語になりつつありますが、それでも、日本の会社では、「暑気払い」、「忘年会」、「歓送迎会」などと名目をつけて飲み会を実施することがよくあります。参加が自由であれば問題ありませんが、半ば強制的に参加を促すと外国人労働者から反発を招くことがあります。外国人はプライベートな時間を大事にするので、たとえ歓迎する目的あったとしても、参加の強要はしないようにしなければなりません。

  3. (3)意思疎通ができない

    日本に就労希望の外国人の多くは、日本語をある程度勉強してきます。そのため、業務に支障をきたすことはないのですが、言葉の習得には個人差があるので、日本語が苦手な人もいます。そのようなとき、意思疎通ができず業務に支障が生じるということがあります。業務時間内に日本語を勉強する時間を設けたり、翻訳機を活用したりするなどして、環境を整備することが重要です。

  4. (4)待遇格差に不満

    かつては技能実習生を安価な労働力として使っていたこともありましたが、現在では、外国人労働者であっても同一労働同一賃金の原則は、守られなければなりません。ただ、業務の切り分けは明確ではないので、実際には同じような仕事をしているのに、日本人よりも給与が低いなど待遇に不満を持たれることがあります。業務内容を見直すか、そうでないなら、同じ賃金となるよう修正するなどの対応が必要になります。

  5. (5)雇用条件が不明確

    日本の文化としてお互いの信頼関係で契約が成り立つということがありました。日本の法律上も書面でなくとも契約は有効です。しかし、雇用に関しては、給与の額、契約期間、休暇など、定めるべき事項が多く、書面化しておくことが必要です。外国人の場合、日本語がわからないということもあるので、契約書について母国語の翻訳文を付けたり、内容を口頭で説明するなどの配慮をすることが望まれます。

  6. (6)上下関係の強要

    先輩、後輩という概念は日本などのアジア的な考えです。ほとんどの国ではそのような考え方はなく、同僚は皆同等と思っていることもあります。少しでも早い時期に入社した人は「先輩」で「後輩」は先輩に従わなければならないという理不尽な慣行は理解できないこともあります。経営者としては、フラットな職場づくりを心掛けることが必要になります。

3、雇用主が責任を追及されるケース

  1. (1)不法就労助長罪

    事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせる、あるいは、業として外国人に不法就労活動をさせる行為に関しあっせんしたなど、外国人の不法就労活動を助長した者は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます。

  2. (2)集団密行助長罪

    集団密航者を運んできた者からその密航者を収受して、支配管理下においたまま不法就労させている場合、不法就労助長罪のほか本罪が成立し、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金(営利目的があれば1年以上10年以下の懲役及び1000万円以下の罰金)に処せられます。

  3. (3)不法入国者をかくまう罪

    退去強制を免れるための目的で不法入国者又は不法上陸者をかくまう等の行為をした場合、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金(営利目的であれば5年以下の懲役及び300万円以下の罰金)に処せられます。

4、トラブルが起こってしまったときの対応方法

外国人を雇い入れる際に、入国カードやパスポートなど必要書類を確認していても、それが偽造によるものや業務内容の変更に伴って在留資格に定められた活動範囲を超えてしまった場合など、結果的に「不法就労」となってしまう場合があります。そのような場合、どうすればよいのでしょうか。

先に述べたとおり、「不法就労」と知りながら事業者が雇い続けた場合、「3年以下の懲役、若しくは300万円以下の罰金」という刑事罰が科されるおそれがあります。したがって、「不法就労」が発覚した時点で、当該外国人に対し「出勤停止」を指示してください。

その上で、在留資格に定められた活動範囲を超えてしまった場合には、すみやかに在留資格の変更許可申請をする必要があります。また、在留期間を経過してしまった場合には、オーバーステイの状態なので、すみやかに入国管理局に出頭する必要があります。在留資格がないと、在留期間更新許可申請はできませんが、特例的に認められる場合があります。

入国カードやパスポートが偽造されたものであった場合、それを知らずに就労させていても罪には問われません。この場合には、すみやかに警察に通報してください。

5、まとめ

今回は、今後ますます増加が見込まれる外国人労働者の雇入れについてのルールや注意点について解説してきました。文化の違いという壁は結構大きなものなので、外国人に慣れていないとトラブルに発展しかねません。外国人に日本の文化を教えると共に、日本の従業員にも外国の文化を理解させ、相互に歩み寄ることが大事になります。

ベリーベスト法律事務所では、外国人を雇い入れる場合のアドバイスや法的支援を行っております。企業経営でお困りのことがありましたらぜひ当事務所 広島オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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