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【企業法務】通勤手当の不正受給が発覚した場合の対処法を解説

2020年11月04日
  • その他
  • 通勤手当
  • 不正受給
【企業法務】通勤手当の不正受給が発覚した場合の対処法を解説

広島県内の中心地ともいえる広島市においては、市外から通勤する労働者を雇用する企業も少なくありません。実際に平成27年の調査によると、約7万5千人の就業者が市外から市内に通勤しているとされます(広島市統計書)。
通勤時に発生する交通費については、会社側が通勤手当を支給して負担するケースが一般的でしょう。そして、内部告発や通勤途中の事故などによって、従業員が通勤手当を不正受給していた事例が発覚することがあります。そのような場合、企業の担当者としては、どのような対処法をとるべきなのでしょうか。
本コラムでは、「通勤手当を不正受給する社員への対処法」について、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士が解説していきます。

1、通勤手当の不正受給として問題になる事例とは

通勤手当の不正受給の一般的な事例としては、以下のようなものがあります。

  1. (1)申請した住所地と違う場所から通勤している

    通勤手当の不正受給の代表的な事例は、従業員が会社の近くに住んでいるのに、会社から離れた場所を住所地として申告するケースです。
    虚偽の住民票を会社に提出して通勤手当を受給していた場合には、故意によって積極的に不正をはたらいているといえるでしょう。
    その一方で、会社の近くに引っ越ししたことを伝えそびれて以前の金額のまま通勤手当を受給していた場合のように、故意によらない消極的ともいえる事例もあります。

  2. (2)実際に使用していない経路・方法で申請している

    新型コロナウイルス感染症の影響もあって、電車通勤から自転車通勤や徒歩通勤に切り替えた従業員もいるかもしれません。また、単に「健康のため」や「節約のため」という理由で、申請した経路よりも交通費がかからない方法で通勤している事例も多々あります。
    しかし、通勤手段や経路を変更したことを会社に報告せずに、今まで通り通勤手当を受給することは、不正受給となる可能性があります。
    また、実際に使用している経路より遠回りした経路で会社に申告して、申告した経路の交通費を受給しているような場合も、不正受給となりえます。

2、通勤手当を不正受給する社員への対処法

社員が通勤手当を不正受給していたことが露見した場合に、該当の社員に対して会社が行うべき対処法を解説します。

  1. (1)事実関係を確認

    まずは、事実関係について、本人や周囲から確認する必要があります。
    「本人はどのようなつもりで不正受給を行ったのか」を聞き取り調査して、故意の有無について確認することは、社員に対して懲戒処分をくだすか否かの判断に関わります。
    「不正受給の金額や期間」などの事実面の確認も欠かせません。
    確認を行う際には、処分をめぐって法的な争いになったときにも根拠を示せるように、不正受給の事実や悪質性について証明できる証拠を収集しておくこと重要になります。

  2. (2)不正に受給した通勤手当の返還を求める

    社員が住所変更の届け出を忘れていたため不正受給につながったような悪質性の低いケースでは、口頭や書面での注意にとどめたうえで、不正受給分の通勤手当の返還を求める対処法が考えられます。
    また、社員に不正受給の故意がなかったとしても、場合によっては会社は不当利得として返還請求をすることが可能です。
    ただし、請求権には時効があるので、できるだけ早期に返還について話し合いをしておくとよいでしょう。
    なお2020年4月の改正民法の施行によって、不当利得返還請求権の消滅時効は、原則5年(場合によっては最長10年)とされました。
    そして不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、損害および加害者を知った時から3年間(または不法行為の時から20年間)とされています。

  3. (3)不正受給の内容によっては懲戒処分も検討する

    故意による悪質な不正受給の場合には、懲戒処分を検討する必要も生じるでしょう。
    懲戒処分とは就業規則や諸規定に違反した労働者に対して行う処分ですが、具体的な懲戒の種類は、会社によって異なります。
    一般的には、「戒告」「けん責」「減給」「出勤停止」「論旨解雇」「懲戒解雇」などの種類があります。
    たとえば就業規則内に「虚偽の申告、届け出を行ったときには、減給または戒告とする」などといった規定があれば、その規定にしたがった処分が検討されることになります。
    ただし、懲戒処分は厳格な要件や手続きのもとでのみ認められるものであるため、会社側としても懲戒処分を行う際には慎重になる必要があります。
    また、減給については、労働基準法で「1回の額が平均賃金の1日分の半額以内、総額が一賃金支払い機における賃金総額の10分の1以内」と限度が定められています。就業規則に規定された処分の内容も、労働基準法にしたがっていなければ無効とされるのです。

3、重すぎる懲戒処分は無効になる可能性も!

通勤手当の不正受給に対して懲戒処分を行う場合には、「権利濫用として無効」と判断されない範囲での処分を検討しなければなりません。

  1. (1)労働契約法上の規定

    労働契約法には、次のような規定が設けられています。
    「第15条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質および態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」
    つまり、通勤手当の不正受給があったとしても、不当に重い懲戒処分は無効とされる可能性があるのです。

  2. (2)不正受給に対する懲戒処分の裁判例

    通勤手当の不正受給に対して企業側が行った懲戒処分の相当性について、過去にも裁判で争われてきました。
    これらの裁判例は、懲戒処分が権利濫用として無効になるかどうかを判断するときの一つの参考になります。

    まず、以下のような事案に対して、「懲戒解雇は有効」と判断された裁判例があります。

    ●社員が虚偽の住民票を会社に提出して、約4年5ヶ月にわたり総額約231万円の通勤手当を不正受給していた事案

    虚偽の住民票を提出するなど社員側の不正の意図が明確であり、金額も数百万円に及ぶことなどから、「懲戒解雇という厳しい処分も相当である」と判断されたのです。


    一方、「懲戒解雇は無効」と判断した裁判例としては、以下のようなものがあります。

    ●住所に虚偽はないが実際とは違う通勤経路を会社に申告して、約4年8ヶ月にわたり総額約34万円の通勤手当を不正に受給していた事案

    社員側の動機自体はそれほど悪質であるとまではいえず、金額もそれほど多額にならずに返還の準備がなされていたなどの事情から、「懲戒解雇は不当に重い処分であり、無効だ」と判断されました。


    懲戒処分の内容については、社員が行った不正受給における故意の有無や金額、不正受給が発覚した後の社員側の態度(返還の準備をしているか否かなど)、社内の就業規則における規定など、個別具体的な事情に応じた判断が必要となります。そのため、法律の専門家である弁護士に判断を仰ぐことが最善となるでしょう。

4、通勤手当の不正受給に対処する際の注意点とは

社員による通勤手当の不正受給に対処するときの注意点を、整理して解説します。

  1. (1)懲戒処分の妥当性を慎重に検討する

    通勤手当の不正受給について社員に懲戒処分を行うときには、上述したように、権利濫用にならないよう行為と処分の妥当性などに注意する必要があります。
    また、就業規則に定めた懲戒事由に該当しており、本人への審問などの所定の手続きを経て懲戒処分が行われているかどうかについても、慎重に確認しながら処分を進める必要があるのです。

  2. (2)就業規則などの整備・確認を行う

    通勤手当の不正受給があったときでも、就業規則などで懲戒処分に関する定めがなければ、適切な対処をとることが困難になります。
    そのため、再発を防止するうえでも、社内の就業規則などを必要に応じて見直し整備することが重要になります。その際には、弁護士に就業規則のリーガルチェックを依頼することで、より確実な対策が実施できるでしょう。

  3. (3)早期に顧問弁護士などに相談する

    通勤手当の不正受給問題については、早期に弁護士に相談して対処法を決定することをおすすめします。
    弁護士であれば、懲戒処分の妥当性の判断や就業規則のチェックなどを行い、法的なアドバイスを提供できます。
    また、もしトラブルが深刻化して裁判になった場合にも、早い段階から弁護士に相談しておくことで、最善の対応が可能になるのです。

5、まとめ

本コラムでは、「通勤手当を不正受給した社員への対処法」について解説していきました。
通勤手当の不正受給が発覚したときには、企業側は社員に不正受給額の返還を求めるとともに、懲戒処分などを検討することになることでしょう。
しかし企業の人事部・人事担当者は幅広い労務管理の業務などを抱えているため、どのような処分が適切であるのか、確実な判断をくだすことが難しい場合が多々あります。
ベリーベスト法律事務所では、社会保険労務士などとも連携したご利用しやすい顧問弁護士サービスを展開しております。
労働問題の解決実績豊富なベリーベスト法律事務所 広島オフィスでも、通勤手当の不正受給問題などの企業法務に関するご相談に応じています。お気軽に、ご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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