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固定給だから残業代は出ない、とは限らない!残業代請求の方法を解説

2020年07月03日
  • 残業代請求
  • 固定残業代
  • 広島
固定給だから残業代は出ない、とは限らない!残業代請求の方法を解説

広島労働局が発表した「長時間労働が疑われる事業場に対する平成30年度の監督指導結果」によると、県内の事業場1220か所を調査した結果、380か所で違法な時間外労働が確認されたということです。そのうち、「時間外労働・休日出勤の時間がもっとも長い労働者の時間数」は、「月80時間超」が242事業場、「月100時間超」が162事業場、「月150時間超」が44事業場でした。

また、「賃金不払い残業」があったのは47事業場、「過重労働による健康障害防止措置が未実施」だったのは114事業場でした。

このように、いまだに多くの会社でずさんな労務管理が行われていることが分かります。

今回は、あらかじめ決まった金額の残業代を支払う固定残業代のケースについて、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士が分かりやすく解説します。

1、そもそも固定残業代とは?

  1. (1)固定残業代制とは?

    会社は通常、実際の残業時間に基づいて残業代を計算していきますが、中には一定の決まった額が残業代として支払われる場合もあります。

    このような制度を、固定残業代制やまたはみなし残業代制と呼んでいます。
    「残業代のどんぶり勘定ができる」「従業員にどれだけ残業させても一定金額しか支払わなくてよい」と解釈している会社もありますが、実はそれは間違いです。
    固定残業代制の導入には、以下のような厳しい条件が求められるのです。

  2. (2)固定残業代制の導入条件

    固定残業代制を導入するためには、「従業員への周知」「通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とが判別できること」が条件となっています。
    これらを満たしていない場合、制度導入は認められません。

    まず、「従業員への周知」ですが、就業規則や労働契約書等の書面であらかじめ全ての従業員に「固定残業代」制度の存在・新規導入を周知させなければなりません。そうしないと、従業員が不利益を被ることになりかねないからです。

    さらに「通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とが判別できること」も必須です。実際の残業時間に相当する残業代がきちんと支払われているかどうかが分からなくなるからです。きちんと最低賃金額を上回っているのか、深夜労働・休日労働の割増賃金は含まれているのかも、計算してチェックしなければなりません。

  3. (3)固定残業代は全額支払われるべき

    前述した通り、「定額で働かせ放題」などと解釈して、この制度を悪用しているようなブラック企業も存在しています。
    しかし法律上は、「実際に働いた時間>みなし残業時間」ならば、実際に働いた時間分の残業代を請求できます。

    反対に「実際に働いた時間<みなし残業時間」の場合は、固定残業代を全額支払わなければなりません。
    このように、本来は企業にとって不利な制度なのですが、多くのブラック企業は従業員の無知を利用して低賃金で酷使しているということです。

  4. (4)深夜労働・休日労働の割増賃金も考慮されるべき

    固定残業代制を採用している場合でも、もちろん深夜労働・休日労働の割増賃金は考慮されなければなりません。

    残業代の割増賃金は基礎賃金の1.25倍であることをご存じの方は多いと思いますが、深夜労働(22時~翌5時)も1.25倍、休日労働は1.35倍となります。もし残業時間と深夜労働が重なった場合には、1.5倍になります。

    なお、この場合の休日労働とは、最低週1日確保すべきと定められている法定の休日のことです。もし、土日祝日働いたとしても、同じ週の日曜日に休日を取ることができた場合には、土曜日と祝日分は休日労働にはなりませんのでご注意ください。

2、未払い残業代の請求ができるケース、できないケース

●できるケース:基本給と固定残業代が明確に区別されていない
冒頭でも述べましたが、固定残業代制の導入条件は、基本給と固定残業代を明確に区分することです。
たとえば、「給料30万円(残業代含む)」などと雇用契約書に大ざっぱに記載されているような場合、30万円に加えて、残業時間に応じた残業代を別途請求できる可能性があります。

●できるケース:固定残業代が労働者に知らされないまま実施されていた
「従業員への周知」義務を満たしていないケースです。
たとえば、今まで基本給25万円を支払っていた会社が「残業代を支払っていない」という指摘を受けて、「じゃあ基本給+残業代で25万円にしよう」とコッソリ就業規則変更していたにもかかわらず、労働者が就業規則を見ることができないようにしていたケースです。この場合も、25万円とは別に、実際に働いた分の残業代を別途請求できると考えられます。

●できるケース:みなし残業時間を超えて労働していた
仮にみなし残業時間が10時間だった場合、10時間を超えて労働した分の残業代は別途請求できると考えられます。
実際に働いた分の残業代は、深夜労働・休日労働の割増賃金も考慮して正しい金額を計算します。深夜労働(22時~翌5時)は基礎賃金の1.25倍、休日労働は1.35倍。残業時間と深夜労働が重なった場合は、1.5倍になります。

●できないケース:みなし労働時間よりも実際の残業時間の方が少なかった場合
反対に、実際の残業時間がみなし残業時間以下に収まっている場合には、別途残業代は請求できないでしょう。
ただし深夜労働・休日労働が含まれる場合、「みなし残業時間=実際の残業時間」だったとしても、追加で残業代を請求できることになるかもしれません。

●できないケース:残業代請求の請求期限が過ぎていた
残業代請求権は正当な権利ですが、残念ながら請求には期限があります。請求期限を過ぎると未払い残業代を請求することはできません。なお、請求できる期限は、令和2年4月1日以降に支払われる賃金は3年間、それ以前に支払われる賃金は2年間となっています。

3、弁護士に依頼するメリット

  1. (1)証拠収集のアドバイスをしてくれる

    残業代の計算や未払い残業代の請求を自力で行うことも不可能ではありませんが、早期に弁護士に相談することをおすすめします。
    弁護士に依頼するメリットのひとつが、証拠収集のアドバイスをしてくれることです。
    弁護士へ相談するときに証拠になりそうなものを持参すれば、証拠として使えそうかどうかその場で判定することもできます。
    また、どのようなものが証拠となり得るかなどのアドバイスも得られます。

  2. (2)証拠をもとに正しい残業代を計算してくれる

    弁護士は正しく未払い分の残業代を計算します。残業代の計算方法は、勤務時間や会社の規模などによっても異なり、非常に複雑です。無理に自分で計算しようとして失敗すると、その分、時間を大きくロスしてしまうことになります。

  3. (3)弁護士が会社と交渉するため、精神的な負担を軽減できる

    個人が企業とひとりで向き合うことはとても大変です。話し合いを要求しても聞く耳を持ってくれない企業もあるでしょう。
    しかし、弁護士が間に入れば、会社もきちんと対応しないといけないと姿勢を改め、話し合いが進む可能性が高まります。また、全ての交渉を弁護士に一任できることで、精神的な負担を軽減できることでしょう。

4、まとめ

「固定残業代」制度を導入するためには、「通常の労働時間の賃金に当たる部分と残業代に当たる部分とが判別できる」「従業員に周知する」ことが条件です。もし条件を満たしていない場合には、従業員は別途残業代を請求できる可能性があります。

また、これらの条件を満たしている場合でも、「みなし残業時間」を超え分は、未払い残業代として会社に請求できる可能性があります。固定残業代で未払い残業代が発生しておりお困りのようでしたらベリーベスト法律事務所 広島オフィスまでご相談ください。労働問題に通じた弁護士がサポートいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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