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家督相続はいつまで続くのか? 不公平な相続を防ぐ方法を広島の弁護士が解説

2019年09月25日
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家督相続はいつまで続くのか? 不公平な相続を防ぐ方法を広島の弁護士が解説

広島市では、市民の相続トラブルについて市役所市民相談センターでの相談を随時行っています。家督相続などの相続トラブルを相談する先として、広島市民に有効活用されています。

さて、「家督相続」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 家督相続とは、明治時代から終戦直後までの相続制度を指します。一部の相続人のみの利益が優先されるため廃止された古い制度です。ところが、伝統を重んじる年配者の中には、いまだに家督相続によって相続を行うべきと考える方がいて、相続トラブルに発展するケースがあります。今回は、家督相続の概要や被相続人が家督相続にこだわっているケースにおける対処法などについて、広島オフィスの弁護士が解説します。

1、家督相続とはなにか?

家督相続とは、戦前に施行されていた旧民法において規定されていた相続方法です。ごく簡単に説明するのであれば、財産を長男ひとりに相続させる制度でした。

この制度において原則的に相続権を持つのは、戸主である長男ひとりだけに限られます。配偶者や長男を除く子どもが財産を受け取ることはありません。かつて、家督は戸主からみて直系の卑属が継ぐもので、しかも男子・女子がいる場合は区別され、男子が優先されていました。住宅を含めて、一家の財産は戸主となる長男が継承して一族を存続させるのが当然という風習だったのです。

現代の方からすれば考えられないかもしれませんが、家督相続は「家督は長男が継ぐもの」というかつての風習に基づいたものといえるでしょう。

現行の制度では、被相続人の死亡によって相続が発生します。家督相続の場合は必ずしもそうとは限りません。旧制度では、生前に戸主が家督を譲る「隠居」の制度や、戸主が女性の場合に夫を迎え入れた場合に生じる「入夫婚姻」によって、家督相続が行われるケースもありました。

この流れに準じると、家督相続は現代の制度でいう「生前贈与」に似ていると考えればわかりやすいかもしれません。ただし、現民法における相続同様、家督相続においても「相続順位」が定められていますが、この相続順位の内容そのものは、現民法とは異なるものです。

●第1順位……第一種法定推定家督相続人
被相続人の家族たる直系卑属で、男子・嫡出子・認知された男子の非嫡出子・女子の嫡出子の順となり、全ての条件が同じであれば年長者が優先される
●第2順位……指定家督相続人
被相続人から指定された者
●第3順位……第一種選定家督相続人
被相続人の父母や、親族会によって同籍の家族内から選定された者
●第4順位……第二種法定推定家督相続人
被相続人の直系尊属
●第5順位……第二種選定家督相続人
被相続人の親族会によって指定された親族、分家の戸主、本家または分家の家族
裁判所の許可がある場合は他人も可

2、新民法施行で消えた家督相続

前述のとおり、「家督相続」は明治31年から昭和22年まで施行されていた旧民法に定められた相続制度です。つまり、現行の民法に改正された時点で法制度としては姿を消しています。

現行の民法における相続では法定相続制度が採用されています。配偶者と子どもを第1順位に、配偶者に1/2、残りの1/2を子どもの人数に応じて等分することで遺産が分割されます。また、第2順位として親や祖父母などの直系尊属、第3順位には兄弟姉妹が設定されており、家督とは無関係な制度に変化しています。

3、家督相続は今も続いている?

家督相続は、戦後すぐの民法改正によって制度上は姿を消しました。しかし、旧来の家督を重んじる思想自体が完全に消え去ったわけではありません。特に、戦時中または終戦直後に幼少期を過ごした方であれば、家督相続制度の中で育っているので、「財産は長男にすべて相続させるのが当然」と考えている方が多いようです。

現代の相続制度に基づいて育った世代は「親の財産は子どもに分配されるのが当然」と思っており、家督相続で育った世代との意識の差が相続トラブルの原因になっています。

ただし、旧民法のもとで行われた相続について、相続登記を行っていなかった場合は、家督相続の考え方に基づいて登記がされることになります。

4、親が「長男にすべての財産を相続させる」と主張する場合の対策

被相続人である親が家督相続にこだわる人で「長男にすべての財産を相続させる」と言い出せば、ほかの相続人としては「財産は納得できる範囲で分割してほしい」と思うでしょう。

この場合、被相続人である親の行動は以下3つのパターンに分かれると考えられます。

  • 生前に遺言書を作成して、財産のすべてを長男に相続させる意思を明示する
  • 生前にすべての財産を長男に贈与する
  • 発言するだけで何もしない


どのパターンにおいても被相続人が生前に意思を示しておいたほうがよいでしょう。万が一の際に争うことになる事態を回避するためには、被相続人と相続人がコミュニケーションを密にして、相互理解を深める必要があります。

話し合いで解決に至らず、被相続人が故人となってしまったあとに解決を図るのであれば、家庭裁判所の調停を利用するのがよいでしょう。公平な第三者である調停委員を間に冷静な話し合いができるほか、家督相続を主張する相続人に現行の法制度を理解してもらう助力となるはずです。

また、調停が不和に終わった場合でも、裁判所の職権によって審判で決着をつけることも可能となります。

またその他の相続人は遺留分減殺請求で対抗することができます。遺留分減殺請求を行うことで、たとえ長男に全財産の相続権が渡ったとしても、民法で保証されている最低限の取り分を主張できます。

5、まとめ

家督相続という制度はすでに廃止されています。それでも、被相続人が家督相続にこだわるという事態に陥ると、長男以外の相続人にとって不平・不満が残る展開となり、相続問題へと発展してしまうでしょう。
もし、被相続人が家督相続にこだわっている場合は、早めに弁護士に相談してください。弁護士に相談することで、被相続人との話し合いや家庭裁判所での調停を円滑に進めるためのサポートを受けられます。
また、過去の相続登記を行う場合にも、手間がかかる戸籍謄本の取り寄せや法務局への届け出などをすべて任せることが可能になります。
家督相続をはじめとした相続問題でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所・広島オフィスにご相談ください。相続問題に対応した実績が豊富な弁護士が、みなさんのお悩みを解決するために全力でバックアップします。

ご注意ください

「遺留分減殺請求」は民法改正(2019年7月1日施行)により「遺留分侵害額請求」へ名称変更、および、制度内容も変更となりました。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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