持続化給付金の受給が「不正受給」になる場合とは? 罰金や懲役などのペナルティは?
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持続化給付金の不正受給は2020年から社会問題になっていましたが、2021年から、全国で摘発が本格化しています。3月12日には、千葉県の22歳の大学生が詐欺の罪で裁判にかけられ、検察は懲役2年6カ月を求刑しました。広島でも、2020年11月26日に、医療技師が詐欺の罪で逮捕されています。
新型コロナウイルスの影響により多くの事業者が経済的な打撃を受けるなか、持続化給付金の制度はこうした事業者の救済に役立っています。しかし、本来であれば受給資格がない学生やサラリーマンが、虚偽申告によって持続化給付金を不正受給するケースが社会問題化しているのです。
この記事では、持続化給付金の不正受給に該当する事例や、不正受給をした場合に課される可能性があるペナルティなどについて、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士が解説します。
1、社会問題化する持続化給付金の不正受給
持続化給付金制度とは、コロナ禍の影響を受けて事業収入が減少してしまった事業者を救済するため、法人については最大200万円、個人事業主については最大100万円というまとまった金額を支給する制度です。
しかし、この制度趣旨に反して、売り上げが減少したことを装って虚偽の申請をする「不正受給」も発生しています。
持続化給付金の不正受給について、特に悪質なケースでは、詐欺容疑で逮捕される例も出ています。
持続化給付金の不正受給は、深刻な社会問題と化しているのです。
2、持続化給付金の不正受給に該当する場合とは?
持続化給付金の不正受給に該当する事例は、中小企業庁が発行する「持続化給付金給付規程」第7条第六号において定義されています。
どのような場合が不正受給に該当するのかについて、具体的に解説いたします。
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(1)故意に申請書等の虚偽記載を行った場合など
- 一定期間の売り上げを故意に間引く
- 前年の売り上げを水増しするために架空の売り上げを計上する
- 本来の月から別の月へ意図的に売り上げの発生タイミングをずらす
- 確定申告書や、その他の証拠書類を偽造する
上記のような方法により、実態とは異なる売り上げ情報を提出して、持続化給付金事務局やその他の官公庁を騙して持続化給付金を不正受給する行為は、詐欺罪という犯罪に該当しえます。
また、仮に犯罪に至らない程度の行為であっても、故意に申請書などに虚偽の記入を行い、または偽りの証明を行うことによって、本来であれば受けることができない給付を受けた(受けようとした)場合にも、不正受給に該当するとされています。 -
(2)過失による誤記載は不正受給にあたらない
「持続化給付金を不正受給した」と見なされるのは、「不正受給とわかったうえで、受給しようとした」という「故意」がある場合に限定されます。
そのため、勘違いで間違った売り上げ情報を提出してしまい、本来なら受けられない給付金を受け取ってしまった場合などは、不正受給に該当しません。
3、持続化給付金の不正受給をした場合のペナルティは?
持続化給付金を不正受給した場合、「持続化給付金給付規程」第10条第2項の規定に従い、以下のペナルティを受けることになります。
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(1)持続化給付金の返還+年3%の延滞金+2割のペナルティ
まず、不正受給した持続化給付金については、全額を返還しなければいけません。
さらに、不正受給した日の翌日から返還した日まで、年3%の割合で算定した延滞金が毎日発生します。
そのうえ、不正受給した持続化給付金の金額に延滞金の総額を足した合計額の20%に相当する額がペナルティとして加算されるのです。
トータルで見ると、実際に不正受給した金額よりもかなり大きな金額を返還することになってしまうのです。 -
(2)屋号・雅号・氏名等の公表
また、持続化給付金を不正受給した法人や個人事業主については、原則として屋号・雅号・氏名等の公表が行われることになっています。
つまり、「不正受給をした」という事実が、顧客やクライアントを含む一般の人に広く公表されることになるのです。ビジネス上の評判を大きく落としてしまい、コロナ禍が過ぎた後の経営にも影響が出てしまう可能性は高いと考えられるでしょう。 -
(3)悪質なケースでは刑事告発も
持続化給付金事務局は、不正の内容により、正受給者を刑事告発するものとされています。
「不正の内容により」という点が具体的に何を示すかは、言明されていません。おそらく、不正受給のケースのなかでも特に悪質なものに対しては刑事告発を行い、経済的制裁や社会的制裁のみならず法的制裁も加える、という意図であると考えられるでしょう。
たとえば、複数名の名義を悪用して、組織的に多額の持続化給付金を不正受給したケースについては、刑事告発がなされることはほぼ確実でしょう。
一方で、法人や個人事業主が単体で持続化給付金を不正受給したケースであっても、刑事告発の対象にならないとは限りません。
不正受給者を刑事告発するかどうかは、持続化給付金事務局の裁量に委ねられている部分、も大きいため、本人が「これくらいなら“悪質”ではないだろう」と思っている場合にも告発されてしまう可能性があるのです。
なお、持続化給付金の不正受給については「詐欺罪」(刑法第246条第1項)が成立する可能性が高いといえます。
詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」とされており、初犯でも執行猶予にならずに実刑判決が下される可能性の高い、きわめて重い犯罪なのです。
4、悪質な代行業者にそそのかされた場合の対処法は?
世間に蔓延している不正受給のケースでは、悪質な代行業者が虚偽申請などをサポートし、不正受給者からキックバックを受け取っているような事例も見受けられます。
このような場合には、不正受給者もある意味では被害者といえるかもしれません。
悪質な代行業者にそそのかされて、持続化給付金の不正受給をしてしまった場合にはどのような対処を行うべきかについて、解説いたします。
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(1)不正受給をしたのは本人|責任は免れない
代行業者にそそのかされたとはいえ、実際に不正受給をしたのは申請者本人であることには、間違いありません。
そのため、残念ながら、不正受給に関する責任を免れることはできないのです。
不正受給者に対して課されるペナルティのうち、持続化給付金の返還・延滞金・2割のペナルティについては確実に課されるため、持続化給付金事務局の指示に従って支払う必要があります。
また、屋号・雅号・氏名等の公表については、実際に行われるかどうかは今後の運用次第ですが、公表されてしまった場合は社会的制裁を甘んじて受けることを覚悟しなければいけません。 -
(2)反省の度合いによっては刑事処分を免れる可能性がある
一方で、刑事告発については、前述した通り「不正の内容により」行うとされているにとどまります。
一法人または一個人分の持続化給付金を詐取した程度の軽いケースであれば、十分に反省している態度を見せれば、起訴や実刑判決は免れる可能性は高いと考えられます。
この場合には、持続化給付金事務局に対して反省の態度を適切に示すことが重要になります。反省の態度を適切に示す具体的な方法については、個人によっても異なりますので、弁護士に相談することをおすすめします。 -
(3)行政・警察の調査・捜査にできる限り協力する
反省の姿勢とも関連しますが、不正受給について行政の調査や警察の捜査が行われる場合には、すべてを正直に話して最大限の協力をすることが重要です。
特に、不正受給者に対して刑事処分を課すかどうかについては、罪を犯した後の被疑者の行動などから判断される情状が大きく考慮されます。
刑事処分を免れるために、行政や警察には隠し事をせずに、できる限り協力的な態度で接するのも一つの方法といえます。
5、持続化給付金の不正受給をしてしまったら弁護士に相談を
もし悪い代行業者にそそのかされるなどして、持続化給付金の不正受給に手を染めてしまった場合は、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士にまでご相談ください。
犯してしまった過ちをなかったことにすることはできませんが、刑事処分を免れるためには、行政の調査や警察の捜査に協力することが大切です。
ベリーベスト法律事務所の弁護士であれば、行政や警察への対応の仕方についてのアドバイスができます。
また、実際に刑事処分が下される可能性が生じた際にも、捜査機関である警察や検察とコミュニケーションを取り、依頼者への処分をより寛大なものにするために、弁護活動に尽力いたします。
6、まとめ
持続化給付金の不正受給に手を染めてしまった場合には、実際に受け取った給付金よりも多くの金額を返還しなければいけません。
また、屋号・雅号・氏名等の公表が行われて社会的制裁を受ける可能性があるほか、最悪の場合には犯罪として訴追されてしまうおそれもあるのです。
たとえ悪い代行業者にそそのかされたのだとしても、不正受給者本人としての責任を免れることはできません。
万が一不正受給を行ってしまった場合は、行政の調査や警察の捜査に最大限協力して、反省の姿勢を見せることが大切です。
ベリーベスト法律事務所の弁護士は、持続化給付金の不正受給を行ってしまった方の更生をサポートし、寛大な処分を獲得するための努力を惜しみません。
持続化給付金の不正受給を行ってしまった方は、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスにまでご相談ください。
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