0120-277-045

平日9:30〜21:00/土日祝9:30〜18:00

メールでのお問い合わせ 24時間・365日受付
メニュー メニュー

威力業務妨害罪とは? 構成要件や罰則、類似する罪との違いを弁護士が解説

2021年10月18日
  • 暴力事件
  • 威力業務妨害
  • 構成要件
威力業務妨害罪とは? 構成要件や罰則、類似する罪との違いを弁護士が解説

軽いイタズラや嫌がらせのつもりでとった行動であっても、犯罪になってしまう可能性があります。

平成31年には、マツダスタジアムで行われていたプロ野球の試合中にカメラマン席の屋根に上がって大声で叫んで試合を中断させた男が逮捕されました。逮捕の容疑は威力業務妨害罪です。

令和2年には、広島市内の私立大学あてに「大学を爆破する」という内容のメールが届き、威力業務妨害罪の疑いで捜査が行われました。

本コラムでは、イタズラや嫌がらせなどに適用されやすい「威力業務妨害罪」が成立する要件や罰則、逮捕された場合の流れや解決策について、広島オフィスの弁護士が解説いたします。

1、威力業務妨害罪とは?|似ている犯罪との違い

まず、威力業務妨害罪がどのような犯罪であるかという概要と、業務妨害に関するほかの犯罪との違いについて解説いたします。

  1. (1)威力業務妨害罪とは

    威力業務妨害罪は、刑法第234条にて、以下のように規定されています。

    【刑法第234条】
    威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。


    いわゆる「業務妨害行為」を罰する犯罪であり、法律が保護するのは「社会的活動の自由」です
    威力業務妨害罪の「業務」とは、必ずしも営業活動などに限定されません
    業務とは「職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業」とされています。
    例えば、会社の営業活動や個人商店の販売活動、工場の稼働、プロ野球の試合進行や大学の運営などのほかにもイベント、宗教活動、組合活動、非営利のボランティア活動などがあります。

    業務妨害の方法が「威力」である場合には、威力業務妨害罪となります。
    例えば、騒いで大声を出す行為や爆破予告をする行為などが「威力」に該当します。

  2. (2)偽計業務妨害罪との違い

    威力業務妨害罪と密接に関係している法律が、刑法第233条に規定されている偽計業務妨害罪です。

    【刑法第233条】
    虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の信用を毀損し、またはその業務を妨害した者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。


    偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪は、いずれも業務妨害を罰する犯罪ですが、大きな違いはその方法にあります
    偽計業務妨害罪が成立する場合とは、具体的には次のようになっております。

    ● 虚偽の風説の流布
    「A社の食品には禁止されている成分が使われている」など、虚偽情報を流すことをいいます。

    ● 偽計を用いる
    偽計とは、「相手をだましたり誘惑したりして錯誤に陥らせるなど、威力以外の不正の手段を用いること」とされています。
    飲食店に他人名義で虚偽の出前注文をする、ライバル紙に似せた体裁の新聞を発行してシェアを奪おうとする、などの行為が「偽計」にあたるとされています。

  3. (3)公務執行妨害罪との違い

    刑法第95条1項の公務執行妨害罪も、業務妨害を罰する犯罪のひとつです。

    【刑法第95条1項】
    公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行または脅迫を加えた者は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処する。


    威力業務妨害罪とのもっとも大きな違いは、保護の対象が「職務を執行する公務員」に限定されているという点になります
    具体的には、警察官・消防官・自衛官・地方自治体の職員などの職務執行が妨害された場合に成立するのです。

    公務執行妨害罪では、妨害の手段が「暴行または脅迫」と記載されています。この点は、威力業務妨害罪における「威力を用いて」という部分と似通っているでしょう。
    ただし、公務執行妨害罪では具体的に暴行・脅迫に限定されている一方で、威力業務妨害罪ではほかのかたちによる威力を用いた場合にも成立します。

2、威力業務妨害の構成要件

威力業務妨害罪が成立する要件について、詳しく解説いたします。

  1. (1)威力を用いること

    威力業務妨害罪は、威力を用いた手段に限って成立します。

    「威力」とは、「人の意思を制圧するに足りる程度の勢力」とされています。
    具体的な暴力行為や脅迫文言がない場合でも、相手に「やめておこう」「別の方法にしよう」と意思決定の変更を生じさせる行為は、威力に該当することがあります。

  2. (2)他人の業務を妨害すること

    威力業務妨害罪は、威力によって「他人の業務を妨害」した場合に成立します。

    注意すべき点は、実際に業務が妨害された場合のみならず、業務妨害の結果が生じなかった場合にも威力業務妨害罪が成立する、ということです
    たとえば、学校に爆破予告を告げた場合、実際に爆破したり爆破に備えて学校側の判断で休校になったりしたなどの結果が生じなくても、業務の安全が犯された時点で、威力業務妨害罪は成立しうるのです。
    このように、法益の侵害が実際に発生していなくても、法益が侵害される危険があるだけで成立する犯罪は「危険犯」と呼ばれます。

3、威力業務妨害の罰則

威力業務妨害罪で有罪になった場合には、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」の範囲内で刑罰が下されます。

これまでにどの程度の刑罰が下されてきたかについて、実際の事例に基づいて列挙します。

  • 卒業式の国歌斉唱に反対する教諭が、列席した保護者や制止しようとした教頭らに対して大声で呼びかけ・怒号して、式の円滑な遂行を妨げた……罰金20万円
  • 路上生活者を扇動してバリケードを構築して、公共工事を妨害した……懲役1年6か月、執行猶予5年
  • ストライキを敢行するために、出発予定の機関車の側面でスクラムを組み、乗車しようとした機関士の前に立ちふさがって乗車を阻止し、列車運行の業務を妨害した……罰金3万円


実際の事例をみると、何らかの主義や主張を訴える手段として威力が用いられた経緯の事件も多いといえます。また、厳罰といえるほどの刑罰が科せられるとも限りません。
ただし、イタズラや嫌がらせなどの強い悪意がない行為でも、相手に与えた業務妨害の程度が強い場合には、厳しい処罰が下される可能性があるでしょう。

4、逮捕後の刑事手続きの流れと弁護士の必要性

威力業務妨害事件を起こして逮捕されてしまった場合には、ただちに弁護士に相談して、サポートを依頼することが重要になります
逮捕後の刑事手続きの流れと弁護士の必要性について、解説いたします。

  1. (1)逮捕による身柄拘束

    警察による逮捕には、逮捕状に基づいて逮捕される「通常逮捕」と、罪を犯したそのときにその場で逮捕される「現行犯逮捕」があります。
    いずれの場合でも、逮捕を告げられた瞬間から身柄拘束がはじまり、その後は自由な行動が大幅に制限されることになるのです

    逮捕されると、警察署の留置場に留置されたうえで、警察官による取り調べを受けることになります。

    逮捕直後はたとえ家族であっても面会が認められないので、まずは早急に弁護士に接見を依頼して、取り調べに際する適切なアドバイスを求めましょう。

  2. (2)検察官への送致

    警察の逮捕から48時間以内に、被疑者の身柄は検察官のもとへと引き継がれます。
    この手続きを送致といいます。

    送致を受けた検察官は、自らも被疑者を取り調べて、24時間以内に起訴・不起訴等の判断を下さなくてはなりません。
    しかし、大半の場合では、逮捕からわずか2日あまりしか経過していない段階では、起訴・不起訴を判断するための材料が不足しています。
    そのような場合には、検察官は、裁判所に対して身柄拘束の延長を求める勾留請求の手続きをとるのです。

    勾留が認められてしまうと、長期の身柄拘束を受けることになります。
    ただし、弁護士に依頼して、「定まった住居があり家族とともに生活している」、「定職に就いている」等といった有利な事情を検察官に主張すれば、勾留請求を回避できる可能性があるのです

  3. (3)最長20日間の勾留

    裁判官が勾留を認めると、原則として10日間、延長された場合には最長20日間まで、身柄拘束が延長されます。
    この期間は、警察署に身柄を戻されて取り調べを受ける日々が続くことになるのです。

    弁護士に依頼すれば、裁判所に対して勾留の取り消しを求めたり、検察官による勾留請求の理由を開示させたりして、勾留による身柄拘束を解くための弁護活動を行うことができます。

  4. (4)起訴・不起訴の判断

    勾留が満期を迎える日までに、検察官はふたたび起訴・不起訴を判断します。
    起訴されたら刑事裁判へと移行しますが、不起訴処分となれば刑事裁判は開かれず、即日に釈放されることになるのです。

    威力業務妨害の容疑で逮捕された場合には、弁護士に依頼して被害者との示談交渉を行うことをおすすめします。
    被害者との示談が成立すれば、被害届や告訴が取り下げられて、検察官が不起訴処分を下す可能性が高められるからです。
    起訴されて刑事裁判へと移行した場合にも、示談が成立していれば、謝罪と弁済がなされているという事情が有利にはたらき、量刑が軽減される可能性を高められます。

5、まとめ

軽いイタズラや嫌がらせのつもりで行った行為でも、威力業務妨害罪が成立すれば逮捕されて、刑罰を科せられるおそれがあります。
たとえ何らかの主義や主張を訴えるためであっても、威力を用いた方法であれば、犯罪が成立する事態は免れません

威力業務妨害罪の容疑をかけられてしまい、逮捕や刑罰に不安を抱えているなら、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスまでご相談ください。
刑事事件の解決実績を豊富にもつ弁護士が、被害者との示談交渉をすすめて逮捕の回避に努めます
早期釈放や不起訴処分の獲得に向けて全力でサポートいたしますので、ぜひ、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士をお頼りください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

お気軽にお問い合わせください ご相談の予約はこちら

0120-277-045

平日9:30〜21:00/土日祝9:30〜18:00

メールでのお問い合わせ
24時間・365日受付

お気軽にお問い合わせください ご相談の予約はこちら

広島オフィスの主なご相談エリア

広島市中区、広島市東区、広島市南区、広島市西区、広島市安佐南区、広島市安佐北区、広島市安芸区、広島市佐伯区、呉市、竹原市、三原市、尾道市、福山市、府中市、三次市、庄原市、大竹市、東広島市、廿日市市、安芸高田市、江田島市、その他市町村、中国地方(鳥取県、島根県、山口県)にお住まいの方

ページ
トップへ