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いたずら気分で「爆破予告」! どのような罪に問われるのか?

2023年07月18日
  • 暴力事件
  • 爆破予告
  • 広島
いたずら気分で「爆破予告」! どのような罪に問われるのか?

令和5年4月、G7広島サミット開催を前に、「平和公園や広島城に仕掛けた爆弾が爆発する」といった内容で爆破予告をするメールが広島県庁などに届きました。不審物も見見当たらず、爆発もなく終わりましたが、警察は威力業務妨害の疑いにより、調べを進めています。

典型例として電話で爆破予告することが挙げられますが、SNSなどで簡単に情報が発信できるようになったため、ネット掲示板やTwitterに爆破予告をしてしまうというケースも時折、報道で耳にするところです。

軽い気持ちで爆破予告をしてしまったという場合、どのような犯罪になるのでしょうか。また、逮捕されると、その後はどのような流れで進んでいくのでしょうか。

本コラムでは、爆破予告に関する罪の重さや逮捕後の流れなどについて、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士が解説します。

1、爆破予告とは

爆破予告とは、イベントや各種施設などに対し「爆弾を仕掛けた」「今日○○を爆破する」などとあらかじめ爆破することを告知することを指します。実際に爆弾を仕掛けなければ単なるイタズラだから大した罪ではないと思う人もいるかもしれませんが、決して軽い犯罪ではないので注意が必要です。

犯罪者からすると爆弾は仕掛けていないのだから危険性は生じてないと思うかもしれませんが、告知を受けた方は命の危険を感じるわけですから、その精神的苦痛は計り知れません。
学校に対して爆破予告をしたというような報道を聞くこともありますが、児童生徒の安全を確保するため教員らは生徒を非難させるなど多大な迷惑を被ります。したがって、単なるイタズラでは済まされないということを認識する必要があります。

2、爆破予告するとどのような罪に問われるのか?

それでは、爆破予告をした場合、どのような罪に問われるのでしょうか。

  1. (1)威力業務妨害罪

    もっとも一般的なのが「威力業務妨害罪」です。
    法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金になります。威力業務妨害罪とは、威力により相手の業務を妨害する行為です。威力とは、人の自由意思を制圧するに足る勢力をいいます。爆破予告をすることは、人の自由意思を制圧するに足る行為といえるので、威力に該当するといえます。

    業務とは、職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う事務または事業をいいます。問題となるのが、公務も業務に含まれるのか否かです。市役所や公立学校に対する爆破予告があった場合、公務が業務に該当しなければ威力業務妨害罪は成立しないからです。

    この点については、①公務は業務に含めない説、②公務も業務に含める説、③権力的公務は含めないが非権力的公務は含める説、などがあります。最高裁は、国鉄職員の業務を妨害した事案で民間類似性や非権力性などを理由に威力業務妨害罪の成立を認め、その後の裁判例でも国立大学、郵便局、県議会に対する妨害行為も威力業務妨害罪が成立するとしています。このことからすると、警察署に対して爆破予告したような場合には、公務執行妨害罪になると考えられます。

    妨害したといえるかどうかは、妨害の危険が生じれば足りるとしています。すなわち、現実に法益が侵害される必要はなく、侵害されるおそれがあれば足りるということです。

    なお、爆弾を仕掛けていないのに爆弾を仕掛けたとうそをついて業務を妨害しているので、偽計業務妨害罪が成立する可能性もあります。電話で爆破予告をした場合にはそれが脅迫行為になるので、威力業務妨害罪になるのが一般的です。

  2. (2)脅迫罪

    脅迫罪は、他人の生命、身体、自由、名誉、財産に対して危害を加えることを告知し、相手を脅迫したときに成立する犯罪です。被害者が現実に怖がる必要はありません。

    脅迫罪は、人の意思活動の平穏ないし意思決定の自由を保護法益にするので、被害者となりうるのは基本的に自然人(人のこと)で、法人は対象になりません。しかし、法人に対する脅迫行為であっても、受け付けた担当者などに対する脅迫であると評価できれば、脅迫罪が成立する可能性があります。したがって、電話で爆破予告を受けたような場合は脅迫罪が成立する可能性があります。脅迫罪の法定刑は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金になります。

  3. (3)強要罪

    強要罪は、被害者を脅迫することにより、義務のないことを行わせたり、権利行使を妨害したりする場合に成立する犯罪です。強要罪の法定刑は、3年以下の懲役です。

    単に「○○に爆弾を仕掛けた」という場合は、強要罪にはなりませんが、たとえば「全校生徒を避難させないと爆破する」と電話したり、掲示板に書き込んだりすると、通常義務にないことを行わせることになるので、強要罪が成立する可能性があります。

    なお、被害者が犯人の要求に従わなかったとしても、脅迫罪と異なり未遂罪があるので、他の要件を満たせば強要未遂罪が成立します。被害者となりうるのは自然人で法人は対象外ですが、脅迫罪と同様、法人に対する強要行為でも、それが個人に対する強要と評価できる場合には、その個人に対する強要罪が成立します。

3、逮捕後の刑事手続きの流れ

警察に逮捕されると、その後48時間以内に身柄が検察庁に送致されます。ニュースなどでは、「送検されました」などと報道されます。検察庁に送致後は、24時間以内に勾留請求をするか、起訴するか、釈放するかを決めるのが原則です。実務的には24時間以内に判断することは難しく、明らかに不当逮捕でない限り、通常は勾留請求がなされ、10日間の勾留となります。さらに必要な場合には10日間の勾留延長が認められます。この期間内に検察官は、取り調べを行い、起訴するかどうかを判断します。

検察官の取り調べが終了すると、起訴か不起訴が決められます。不起訴になると、即刻釈放されますが、起訴されると刑事裁判になり、99.9%が有罪になります。つまり、起訴されるか否かがもっとも重要なポイントになります。

起訴後は、原則として起訴後勾留が始まりますが、保釈請求が認められれば、保釈金を納付して身柄を解放してもらうことができます。

刑事裁判が始まると、①冒頭手続き、②証拠調べ手続き、③弁論手続き、④判決の宣告という流れで公判手続きが進みます。

「冒頭手続き」では、人定質問(裁判官が、被告人の名前、生年月日、本籍、住所、職業を尋ねて人違いでないか確認すること)、検察官が起訴状を朗読(被告人が、いつ、どこでどのようなことを行い、それが、どの法律のどの条文に違反するのかを示すこと)して、黙秘権を告知し、罪状認否(裁判官が、被告人と弁護人に、起訴状に記載されていることを認めるか、争う場合は何を争うかを尋ねること)をします。

「証拠調べ手続き」では、検察官が冒頭陳述を行います。冒頭陳述というのは、検察官が証拠によって証明すべき事実を明らかにすることです。その後、証拠調べ請求が行われ、裁判所が証拠決定を行います。証拠調べでは、書証や物証の取り調べと証人尋問が行われます。必要に応じて被告人質問も行われます。

「弁論手続き」では、検察官から論告求刑(犯罪についての意見を述べ求刑すること)と弁論(弁護人からの意見を聞くこと)を行います。そして、被告人最終陳述(被告人の最後の意見を聞くこと)を行います。

「判決の宣告」では、これらを踏まえて、裁判長が公判廷で主文(懲役10年に処すなどの量刑)と理由を朗読し、「判決」が言い渡されます。

4、もしも爆破予告をしてしまったらすぐに弁護士に相談を

最近は、インターネットが普及して、誰でも情報を発信することができます。掲示板などに情報を書き込めば瞬く間に情報は拡散され、大事件に発展することもあります。酔った勢いなどで、イタズラ気分でネット掲示板に爆破予告を書き込んでしまい、翌日、ニュースになっているなどということもあります。

そのようなときは、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。爆破予告してしまったことは取り返しが付きませんが、迅速かつ誠実な対応をすることで刑事手続きを回避する可能性もあります。

まず、爆破予告をしたが、警察沙汰になっていないという場合、爆破予告した相手先に連絡をしてそれが虚偽であることを伝えるということもあります。弁護士が間に入ることで相手も安心するということが期待できます。その上で、警察に自首するにあたり弁護士も同行するという方法もあります。何かと不安でしょうが、弁護士と一緒に行くことで多少不安はやわらぎます。

このとき、弁護士は警察の取り調べに対してどのような対応をすべきなのかアドバイスを行います。黙秘権があることや自分が納得していない内容については絶対に署名しないことなどです。

検察庁に送致された場合には、勾留されずに不起訴になるよう弁護活動を行います。勾留されてしまった場合には、被害者と示談を行うなどして、引き続き、不起訴となるよう検察庁に働きかけます。

万が一、起訴されてしまった場合には、刑が軽くなるよう弁護活動を行い、懲役刑が求刑されそうな場合には、執行猶予が付されるよう情状資料などを提出して弁護活動を行います。

5、まとめ

今回は、爆破予告をした場合にどのような犯罪になるのか、また、逮捕された場合の手続きの流れについて解説してきました。

多くの人は、爆破予告など自分は絶対にしないと思っているでしょうが、酒に酔った勢いで爆破予告の電話をしたり掲示板に書き込んでしまったりということは誰でもあり得ることです。逮捕されてから、ことの重大さに気づくということになるかもしれません。

万が一逮捕されてしまった場合には、迷わず弁護士に依頼するようにしてください。刑事事件ではスピードが重要です。費用が掛かるからとちゅうちょしている間に刑事手続きが進んでしまうと、不起訴を勝ち取ることが難しくなります。

ベリーベスト法律事務所 広島オフィスでは、刑事弁護の経験豊富な弁護士が在籍しておりますので、ご連絡いただければ迅速に対応いたします。逮捕されたという場合、本人はもちろんご家族の方でも構いませんのでご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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