離婚して再婚したいとき必要な準備と対策を解説
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広島市によると、2020年中の同市における離婚件数は1894件でした。その一方で、婚姻件数は5581件であり、離婚件数のおおむね3倍となっています。
現在の配偶者と離婚して、その後に再婚して幸せになるためには、離婚の前から検討すべきことがたくさんあります。離婚を決行する前に、収入などについてよく考えておけば、再婚後に幸せな生活を送れる可能性が高まるでしょう。
また、再婚禁止期間や養育費などの法的な事柄に関しては、事前から弁護士に相談することをおすすめします。本コラムでは、離婚後に再婚して幸せな生活を送るために事前に検討すべき事項などについて、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士が解説します。
1、離婚して再婚すれば幸せになれる? 行動する前に確認すべきこと
離婚しようとする場合には、離婚を拒否されたり、離婚条件についてもめたりするなど、配偶者との間でトラブルになる可能性があります。
そのため、離婚を切り出す前から、弁護士と相談しつつ離婚協議などの見通しを立てておくことが望ましいといえます。
また、離婚後のことや再婚に至るまでの過程なども含めて、離婚後の生活のこともある程度考えておいた方がよいでしょう。
以下では、配偶者との離婚を決行する前に確認や検討しておくべきことを解説します。
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(1)すでに再婚予定の相手がいる場合
婚姻中から配偶者以外の異性と交際していて、離婚後にすぐ再婚しようと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
このような場合には、以下の3つのポイントについて注意が必要になります。
① 配偶者から慰謝料請求を受ける可能性がある
婚姻中に別の異性と交際し、性的関係(不貞行為。民法第770条第1項第1号)を持っている場合、不貞行為にあたります。
そして、不貞行為をした場合には、配偶者から不法行為(民法第709条)に基づく慰謝料を請求される可能性があるのです。
不貞行為による離婚慰謝料の金額の目安は、100万円から300万円程度です。
婚姻期間が長い場合や不貞行為の頻度が高く回数も多い場合、未成熟子がいる場合などには、離婚慰謝料が高額となる傾向にあります。
また、不貞行為による慰謝料は、不貞行為の当事者であるご自身と交際相手の両方に支払い義務があります。
ご自身ではなく交際相手の側が請求を受ける可能性もありますので、交際相手との間で事前に対応を話し合っておくべきでしょう。
② 有責配偶者からの離婚請求は原則認められない
配偶者が離婚を拒否している場合、そもそも離婚が認められない可能性が高いと考えられます。
法的には、不貞行為をした者は「有責配偶者」にあたります。
そして、有責配偶者からの離婚請求は、長期間の別居により婚姻関係が破綻しているなど、よほど例外的な場合でない限り認められないのです。
したがって、離婚を実現するためには、配偶者を説得することが必要になります。
離婚と引き換えに高額の財産分与や慰謝料等を請求される可能性があるため、譲歩可能なラインを検討しておくべきでしょう。
③ 交際相手に結婚する気があるとは限らない
ご自身としては交際相手と再婚するつもりである場合にも、交際相手が同じように考えているとは限らない点に注意が必要です。
交際相手との再婚を前提に離婚へ踏み切った後で交際相手に再婚を断られてしまっては、取り返しがつきません。
離婚へ踏み切る前に、交際相手との間で再婚に向けた信頼関係が確実に築けているのかどうか、慎重に確認すべきでしょう。 -
(2)これから再婚相手を探す場合
具体的な交際相手がおらず、これから再婚相手を探そうと思っている方もいらっしゃるでしょう。
この場合には、以下の2つのポイントに留意する必要があります。
① 再婚相手候補者と交際を開始するタイミング
再婚相手の候補者を探して実際に交際を開始するのは、離婚が成立した後にすることをおすすめいたします。
離婚成立前の段階で配偶者以外の異性と交際して性的関係を持つと「不貞行為」に該当し、離婚請求が認められなくなったり、慰謝料の支払い義務が発生したりするのです。
「新しい生活に向けて早く行動したい」と焦る方もおられるでしょうが、まずは、目の前の離婚問題を解決することに注力しましょう。
② 離婚後の収入について
専業主婦・専業主夫などで、婚姻中は収入を配偶者に依存していた場合には、離婚後に収入をどのように獲得するかが重要な問題となります。
仕事を探すことは当然必要ですが、すぐに仕事が見つからないことも想定して、仕事がない期間の生活資金を確保する方法も考えておきましょう。
貯金を切り崩す、実家に身を寄せる、生活保護を受けるなど、状況に合わせた対応が必要となります。
また、配偶者に対して十分な財産分与・婚姻費用等を請求することも重要です。
2、離婚してもすぐに再婚できないケースがある
女性の場合、離婚後にすぐ再婚することはできず、「再婚禁止期間」の経過を待つ必要がある点に留意しておきましょう。
再婚禁止期間とは、女性が離婚をした後、次の結婚(再婚)が認められるようになるまでの期間です。
前婚と後婚の「父性の推定(嫡出推定)」(民法第772条)が重複しないように、再婚禁止期間が設けられています。
再婚禁止期間は、「前婚の解消または取消しの日から起算して100日」です(民法第733条第1項)。
ただし、以下のいずれかに該当する場合には、例外的に再婚禁止期間が適用されず、離婚後すぐに再婚することができます。
これらの場合には、前婚と後婚の「父性の推定(嫡出推定)」の重複が問題になり得ないため、再婚禁止期間を適用する必要がないのです。
- 離婚時に懐胎していなかったことが客観的に証明できる場合(民法第733条第2項第1号)
- 離婚後に出産した場合(同項第2号)
- 生理的に懐胎が不可能な場合(子宮を全摘出済み、非常に高齢など)
- 配偶者が3年以上生死不明であることを理由に離婚した場合(民法第770条第1項第3号)
- 前夫と再婚する場合
再婚禁止期間について不安な点がある場合には、弁護士にご相談ください。
3、子どもがいる、または妊娠中の場合に考えるべきこと
すでに子どもがいる場合や、離婚したい配偶者との子どもを妊娠している場合には、離婚後の生活に向けて検討すべきことが多々あります。
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(1)養育費の支払いについて取り決める
子どもを育てるためには非常にお金がかかるので、離婚する配偶者からきちんと養育費の支払いを受けることが大切です。
離婚協議や離婚調停等を通じて、養育費の支払いについてあらかじめ取り決めておきましょう。
なお、離婚時に養育費の支払いについて合意しなかった場合でも、後に家庭裁判所に対して「養育費請求調停」を申し立てることができます。
適切な金額の養育費を受け取るため、配偶者との協議は弁護士を通じて行うことをおすすめします。 -
(2)離婚後の仕事を確保する
離婚後に子どもを育てる場合、ご自身一人のケースよりもはるかに多くのお金がかかりますので、仕事の確保がいっそう大切になります。
自活できるだけの収入を得られることに加えて、子育てと仕事を両立できるかどうかも、重要なポイントです。
幅広い可能性を模索しながら、ご自身に合った仕事を早めに見つけるようにしましょう。
4、離婚成立! 再婚に向けてできること
さまざまなハードルを乗り越えて、配偶者との離婚が成立したら、いよいよ新しい生活のスタートです。
ご自身の生活状況を整えつつ、再婚のための婚活にも徐々に取り組んでいくことになるでしょう。
家族や友人の紹介、結婚相談所を通じた出会いのほか、最近ではマッチングアプリなどを活用した婚活も盛んです。
ご自身に合った方法で、焦らずにじっくりと、新しい伴侶を探しましょう。
5、まとめ
今の配偶者と離婚をしたうえで、再婚して幸せになろうとする場合には、離婚に踏み切る前に考えておくべきことがたくさんあります。
目の前の離婚問題をきちんと処理したうえで、離婚後の生活を見据えた準備を整えるため、早い段階から弁護士に相談することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所では、離婚や男女問題に関する法律相談を受け付けております。
再婚にあたっての法律上の注意点などについても、お客さまのご状況に合わせて、弁護士が親身になってアドバイスいたします。
広島県にお住まいで、配偶者との離婚をご検討中の方は、ベリーベスト法律事務所にまでご連絡ください。
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