損害賠償請求をお考えの広島の方へ、弁護士に依頼する前に知っておきたいこと
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平成21年に広島県内の中学校で、生徒が校舎4階から転落する事件があり、元生徒と両親は府中町に対して損害賠償請求を行いました。平成30年3月、広島地方裁判所は府中町に対し、約1億1300万円の支払いを命じています。
損害を受けて自分が被害者になるのは、決してひとごとではありません。損害賠償請求したくても、その方法や手続きがよくわからない方も多いでしょう。本コラムでは、被害を受けて損害賠償請求したい広島の方向けに、弁護士に依頼する前に知っておきたいことについて解説します。
1、損害賠償とは
損害賠償とは、損害を与えた被害者に対して加害者がお金を払うことです。加害者が自発的にお金を払ってくれれば問題ないのですが、払ってくれない場合は被害者から加害者へ請求します。これが損害賠償請求です。
損害賠償にはさまざまな種類がありますが、大きく以下の2つに分類されます。
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(1)債務不履行による損害賠償
債務不履行とは、契約などによって生じた義務を相手が履行しないことです。たとえば、約束した日までに商品を届けない、約束の日までにお金を支払わないといったことなどが該当します。
義務を履行しなかったことにより発生した損害を請求するのが、債務不履行による損害賠償請求です。 -
(2)不法行為による損害賠償
不法行為とは、故意や過失によって他人の権利を侵害し、損害を与えることです。故意とはごく簡単に言えば「分かっていた」、過失は「不注意で分からなかった」といった意味になるでしょう。
不法行為をして他人に損害を与えると、加害者は被害者に対して損害を賠償する責任を負うことが民法第709条で定められています。そのため、被害者は加害者に対して損害賠償請求を行えるのです。
2、損害賠償と慰謝料との違い
損害賠償と慰謝料という言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。
「損害賠償」とは、損害を与えた被害者に対して加害者がお金を払うことです。ここには、壊した物を元通りにする費用や、怪我をした場合の治療費、慰謝料などがすべて含まれます。
慰謝料は、被害者が受けた精神的な苦痛に対して加害者が支払うお金です。たとえば加害者から暴行を受けると怪我をしてしまうだけでなく、精神的なショックを受けるケースがほとんどです。被害者は加害者に対して、治療費の他に精神的苦痛に対する慰謝料も請求できます。
3、どのようなケースで損害賠償請求できる?
以下のようなケースがあると、損害賠償請求が認められる可能性があります。
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(1)債務不履行により損害賠償請求できるケース
- 約束の期日までに商品を届ける契約をしていたのに、商品を届けなかった
- 特定の商品を売買する契約をしたのに、引き渡し前に壊してしまった
- 100ケースの商品を指定された日に届ける約束をしたのに、50ケースしか届けなかった
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(2)不法行為による損害賠償請求できるケース
- 酒場で言い争いになり殴られて怪我をした
- 根拠のないうわさを流されて名誉を傷つけられた
- 交通事故で怪我を負った
- 配偶者が他の異性と不倫をしていた
4、損害賠償請求できないケース
以下のようなケースでは、損害賠償の請求が認められない可能性があります。
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(1)債務不履行
たとえ約束が果たされなかったとしても、以下のケースでは損害賠償請求が認められないことがあるでしょう。
・ 故意・過失がないケース
わざと約束を果たさなかったり、不注意で約束を守らなかったりしたわけではないケースが該当します。たとえば、決められた日に商品を届ける約束をしていたが、台風で商品を届けられなくなったようなケースです。
・ 時効が成立しているケース
債務不履行があったときから10年が経過すると、時効が成立し、時効を援用されると、損害賠償請求できなくなります。 -
(2)不法行為
不法行為があったとしても、以下のケースでは損害賠償請求を行っても認められない可能性があります。
・ 加害者に責任能力がないケース
たとえば、精神障害がある方が暴れて被害者に怪我をさせたとしても、自分の行為の結果を認識できる責任能力がなく、損害賠償請求ができない場合もあります。ただし、その場合でも、保護監督者に対して損害賠償できるケースもあるでしょう。
・ 違法行為でないケース
たとえば、人を殴って怪我をさせることは違法行為であり、不法行為による損害賠償請求ができます。ところが、ボクシングの試合で相手を殴って怪我をさせても、違法性がないため損害賠償請求はできません。
・ 因果関係がないケース
たとえば、AさんがBさんを殴って怪我をしたので、救急車で病院へ運ばれていきました。ところが、病院へ向かう途中に、救急車が交通事故にあい、Bさんが亡くなってしまったとします。この場合、Aさんの暴行とBさんの死との間に因果関係がないため、Aさんに対してBさんの死についての損害賠償請求は認められないでしょう。
・ 時効が成立しているケース
加害者および損害が発生したことを知ってから3年経過すると時効が成立し、時効を援用されると、損害賠償請求をすることができなくなります。
5、損害賠償請求の進め方
損害賠償請求の方法に決まりはありませんが、以下のように進めていくことが一般的です。
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(1)内容証明を送付して請求
損害賠償請求は、加害者へ内容証明郵便を送ることからスタートします。内容証明郵便を送ることは、加害者に対して損害賠償を請求するという強い意志表示です。
また、損害賠償を請求することで、時効を中断させる効果があります。損害が発生した事実、賠償請求する金額などを通知します。 -
(2)加害者と交渉
内容証明郵便を送って加害者から回答があれば、直接会って交渉します。交渉がまとまれば、合意文書を作成します。
ただし、通常の文書では相手が支払わなくても強制力はありません。そこで、強制執行条項をつけた公正証書を作成することをおすすめします。 -
(3)調停
加害者との交渉がまとまらなければ、裁判所で調停の申立てをすることもできます。調停委員が当事者の間に入って、争いを解決できるよう話し合いをしていきます。話がまとまれば調停調書を作って終了しますが、双方の言い分が対立すれば調停不成立となります。
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(4)裁判
話し合いで解決をすることができなければ、裁判を起こして解決することになります。裁判では判決によって白黒をはっきりさせることになるため、損害賠償を請求するための証拠をそろえなくてはなりません。裁判の準備には時間と手間がかかり、判決が出るまで長い期間を要することが多くなります。
6、損害賠償請求を弁護士に依頼するメリット
損害賠償請求そのものは自分でもできますが、法的手続きが複雑なため慣れてない方には難しいでしょう。弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。
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(1)手続きをすべて任せることができる
必要な書類の準備や作成には時間と手間がかかります。依頼を受けた弁護士に依頼すると、面倒な手続きを弁護士が行ってくれます。
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(2)加害者と会って交渉する必要がない
加害者と直接会って交渉することは、多くのケースで精神的な負担になります。加害者が請求した金額をすぐに支払ってくれることは少ないでしょう。しかし、弁護士に一任すれば、あなた自身が交渉する必要はありません。弁護士があなたの代理人として窓口となり、すべての交渉を行います。法的知識や、損害賠償請求の経験が豊富な弁護士であれば、加害者との交渉がスムーズに進みます。
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(3)賠償金額をアップできる
弁護士は裁判所と同じ基準で加害者と交渉します。個人同士で交渉するときよりも、適切な賠償金額を受け取れるケースが多くなるでしょう。
7、まとめ
損害賠償請求は自分ですることもできますが、時間と手間がかかります。また、一般の人は法的手続きや交渉をスムーズにできない場合がほとんどで、精神的ストレスを抱えてしまうでしょう。加害者に賠償金を支払ってもらうには、弁護士に依頼するのが得策です。
被害を受けて損害賠償を請求したいとお考えの方は、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスまでご連絡ください。広島オフィスの弁護士が適切な賠償金を払ってもらえるよう、サポートさせていただきます。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています