【広島】家族が痴漢の再犯で逮捕された…。量刑は重くなる?
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平成31年4月、痴漢逮捕に貢献した駅員に対して広島中央署が感謝状を贈ったというニュースが流れました。バスや電車などで行われる痴漢行為は、いうまでもなく性犯罪です。発覚すればもちろん、逮捕される可能性があります。
ご主人が性犯罪で逮捕されたとなると、多くのご家族がパニックに陥ることでしょう。平成27年版犯罪白書によると、性犯罪の再犯率は痴漢がもっとも多いことが指摘されていることから、特に、再犯の場合は罪が重くなるのでは? と非常に不安になるのは当然のことです。
そこで、ベリーベスト 法律事務所 広島オフィスの弁護士が、痴漢などの性犯罪の再犯で逮捕された場合の流れや、量刑などについて解説します。
1、広島市の痴漢再犯で逮捕されたらどうなるのか
まずは、再犯の定義や痴漢の再犯で有罪になった場合の量刑などについて解説します。
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(1)再犯にあたるケースとは? 前科・前歴が罰則に与える影響
再犯とは、刑法上できちんと定義されています。具体的には「懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するとき」です。つまり、痴漢で逮捕されて有罪になった過去があったとしても、今回の逮捕で有罪となり懲役とならなければ法律上の「再犯」とは言わないのです。
ただ、法律上の再犯には該当しなくても、似たような罪で逮捕された「前歴」や「前科」があると、量刑の判断に悪影響を与えます。「前歴」とは、逮捕や不起訴になった履歴をいい、「前科」とは有罪になったことを言います。
痴漢で逮捕された場合、同じような事件で有罪になった履歴があるか、また逮捕された履歴があるかなどが考慮された上で、量刑が決定します。 -
(2)痴漢再犯の逮捕後の手続きとは
痴漢行為は、触った箇所などに応じて、迷惑防止条例違反となる場合と、刑法の強制わいせつに該当する場合があります。服の上などから体を触った場合は、迷惑防止条例違反に、下着の中に手を入れるなどの行為は「強制わいせつ」となり、より重い量刑に処されることが多いです。
どちらのケースも、逮捕されると最大48時間は警察署内の留置所に身柄を拘束されて、警察官などの捜査官による取り調べが行われます。その後、検察へ事件や身柄が送致されたら、検察官は最長24時間のあいだに、捜査や取り調べを行うと同時に「勾留(こうりゅう)」が必要かどうかを判断します。
「勾留」とは、通常は10日間、最長20日間身柄が拘束され続けたまま、取り調べを受けることになる措置を指します。主に、証拠の隠滅を図ったり逃亡したりする恐れがあると検察が判断した際などに行われます。
したがって、痴漢容疑で逮捕された際、勾留されずに在宅事件扱いとなるケースもあるでしょう。他方、強制わいせつなどの場合は、勾留される可能性が高いといえます。さらにいえば、以前にも痴漢での前科前歴がある場合は、勾留されやすいと考えられるでしょう。 -
(3)痴漢再犯の量刑の目安
痴漢で逮捕された場合、問われる罪によって量刑が異なります。
まず、着衣の上から触れるなどの行為をして迷惑防止条例違反として逮捕された場合です。広島市で痴漢をした場合は広島県の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不慮行為等の防止に関する条例」に違反したことになります。公共の場で体を触るなどの痴漢行為で有罪となった場合は、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処される可能性があります。
着衣の中に手を入れる、性器に触れたなどの痴漢行為をした容疑で逮捕されたときは、強制わいせつ罪に問われることがあります。有罪になれば、6ヶ月以上10年以下の懲役刑が科されます。迷惑防止条例違反とは異なり罰金刑はありませんので、執行猶予付き判決が下されなければ、刑務所に服役しなければならない可能性があります。
なお、再び痴漢行為を働いた場合、前回の判決が執行猶予付き判決であれば、今回有罪になると、前回の罪で服役しなければならなくなります。前回罰金刑だった場合は、今回も罰金刑で済む可能性もありますが、前回の犯行から時間が経過していない場合は、刑事裁判が開かれることもあるでしょう。
2、家族が痴漢再犯で逮捕された場合の弁護士の選び方
ご家族が痴漢の再犯で逮捕された場合、勾留が決定する前となる、逮捕後72時間の弁護活動が非常に重要になります。早い段階で弁護士に依頼して被害者との示談交渉を進めること、身柄拘束を伴う処分を回避するために働きかけることが大切です。
ここでは、弁護士の選び方を解説します。
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(1)国選弁護士と私選弁護士の違い
国選弁護士も私選弁護士も、弁護活動を行える点では共通です。しかし、国選弁護士は、勾留や裁判が決定しなければ委任できません。つまり、逮捕段階から国選弁護士に対応してもらうことは制度上できないということです。
他方、私選弁護士は、自分で選ぶ弁護士を指します。依頼タイミングに決まりはなく、逮捕前から相談しておくこともできますし、逮捕直後から依頼を受ければ弁護活動に取り組むことができます。過去の実績などから自分に合いそうな弁護士も選択できる点が大きなメリットです。デメリットがあるとすれば、有料であるということだけでしょう。
痴漢の再犯の場合は、逮捕後、勾留などが決定する前からの速やかな弁護活動が重要になるでしょう。したがって、すぐに依頼できる私選弁護士のほうが、今後の生活の影響を最小限に抑えることができると言えます。 -
(2)逮捕された本人の将来を考え取るべき行動とは
痴漢再犯で逮捕された場合、家族や本人が行うべき3つの行動について知っておきましょう。
① 被害者と示談を成立させること
痴漢などの被害者が存在する事件において、起訴するかどうかの判断を行う警察や検察は、被害者の処罰感情や、被害者への被害弁償を行ったかどうかを非常に重視します。
そこでまずは、被害者に謝罪して被害弁償を行ったうえで、許しの言葉を得る、示談の成立を目指すことになるでしょう。示談が成立すれば、勾留や起訴される可能性を回避できる可能性が高まります。示談成立の有無が今後を左右すると言っても過言ではありません。
ただし、加害者が被害者サイドに直接連絡を取ると、被害者感情を悪化させてしまったり、恐怖を感じさせてしまったりすることがあります。結果、話し合いに応じない、示談ができないという事態になりかねません。スムーズな事件解決を望むのであれば、被害者との示談交渉は弁護士に依頼することをおすすめします。
② 再犯しないために治療を受ける
性犯罪の中でも、痴漢は再犯率が高い犯罪です。カウンセリングなどを通じて治療することで、再犯率を抑えられることも判明しつつあります。そこで、再犯の可能性がないことを示すためにも、専門医に継続して通院するなどの対応を行うことをおすすめします。
実際に通院していることを示す資料を提出できれば、検察官や裁判官の心証がよくなるでしょう。身柄の拘束が続くことは治療の妨げになることを検察官や裁判官に理解してもらうことによって早期釈放を目指すことができます。
③ 家族のサポート体制を整える
再犯を防ぐためにも、必ず通院して治療できるような体制を整えていることをアピールすることは、非常に重要なポイントとなります。
これらの対策はご自身でも可能ですが、検察官や裁判官にきちんと理解してもらうためには、弁護士対応を依頼することを強くおすすめします。被害者との示談だけでなく、再犯防止に向けた治療やサポート体制作りについても、アドバイスできる弁護士を選ぶとよいでしょう。 -
(3)痴漢再犯事件の弁護士選びのポイントとは
痴漢再犯事件で、弁護士を選ぶ際は、初犯よりも慎重にならなければなりません。以前にも痴漢等の性犯罪で逮捕された、起訴されたなどの履歴があると、検察官や裁判官も厳しく判断するため、刑事事件の経験と実績が豊富な弁護士を選ぶべきです。
具体的には以下の2点を満たしている弁護士がよいでしょう。
・ すぐに対応できる弁護士
逮捕後72時間の弁護活動が、今後の身柄拘束の有無や長さ、処分などにも影響を与えますので、なるべく早く動ける弁護士がよいでしょう。
なお、刑事事件では居住地と逮捕地が遠く離れているケースも少なくありません。全国にオフィスがあり対応してもらえる法律事務所に依頼すると、費用を抑えつつ素早い対応ができるでしょう。
・ 刑事事件の弁護実績がある弁護士
さまざまな専門分野があるため、刑事事件を扱った経験や知見がない弁護士は多数います。知り合いだからといってあなたの家族を適切に弁護できるとは限りません。
刑事事件に関する知見が豊富な弁護士や法律事務所を選びましょう。再犯の場合は、検察や裁判所、被害者への対応だけでなく、さらに罪を重ねないためのサポート体制作りも重要になります。
3、まとめ
ご主人や子どもなど、あなたの家族が痴漢の再犯で逮捕された場合、弁護士の手配を含めた周囲のサポートが重要になります。身柄拘束の時間を少しでも減らし、不当に重い処罰を受けないためにもいち早く弁護士を依頼することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所 広島オフィスでは、再び痴漢で逮捕された方の弁護活動をはじめとした総合的なサポートが可能です。逮捕されてから早い段階で依頼していただくことで、逮捕の影響を最小限に抑えられる可能性が高まります。まずはご連絡ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています