ワンクリック詐欺の被害に遭った場合の対処法・相談先は?
- 個人のトラブル
- ワンクリック
- 詐欺
- 相談
広島県警察のデータによると、2019年中に広島県内で認知された架空請求は65件、被害総額は1億7380万円でした。
架空請求のもっとも常套的な手口として「ワンクリック詐欺」(ワンクリック請求)があります。インターネットの利用にあまり慣れていない方をターゲットとするワンクリック詐欺は、毎年相当な被害額を発生させているため、大きな社会問題となっています。
ワンクリック詐欺の被害に遭わないようにするためには、まず、インターネットリテラシーを身につけて自衛することが重要です。そして、もし実際にワンクリック詐欺のターゲットになってしまった場合には、速やかに専門家に相談することで対処しましょう。
本コラムでは、ワンクリック詐欺の手口・回避方法・相談先などについて、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスの弁護士が解説いたします。
1、ワンクリック詐欺とは? 主な手口について
「ワンクリック詐欺」とは、ウェブサイトを経由して登録完了ページへのアクセスを誘導して、あたかもサービスの利用契約の締結が完了したかのような間違った認識をサイト利用者に与えることで、金銭を請求しようとする詐欺のことをいいます。
ワンクリック詐欺の手口はきわめて多種多様ですが、主なパターンとしては、以下のようなものが挙げられます。
-
(1)ウェブサイト上に登録完了ページへのリンクを設置
ワンクリック詐欺のもっとも基本的な手口は、ウェブサイト上に登録完了ページ(請求画面)へのリンクを設置して、クリックした人に対して利用料金を支払うように求めるというものです。
登録完了ページへのリンクは、たとえば画像や動画に埋め込まれるなど、閲覧者に気づかれないように巧妙に隠されていることが多くなっております。
特にアダルトサイトや違法ダウンロードサイトには、ワンクリック詐欺を目的としたリンクが設置されているケースが多くなっているのです。 -
(2)マルウェアによって繰り返し登録完了ページを表示する
不正かつ有害な動作を行う意図で作成された悪意のあるソフトウェアや悪質なコードを「マルウェア」と呼びます。
ワンクリック詐欺では、ウェブサイトにアクセスした閲覧者の端末にマルウェアを強制的にインストールさせて、そのマルウェアの作用によって、登録完了ページを繰り返し表示させる手口もしばしば用いられているのです。
端末を使用するたびに何度も登録完了ページが表示されると、閲覧者としても心理的なプレッシャーが重なるために、ついワンクリック詐欺に屈してしまうことが多いのです。
マルウェアのインストールを避けるための対策としては、ウイルス対策ソフトを導入することなどがあります。 -
(3)IPアドレスや位置情報を提示して心理的に追いつめる
ワンクリック詐欺の登録完了ページには、閲覧者の端末のIPアドレスや位置情報を表示する内容のものも存在します。
IPアドレスや位置情報が表示されることで、閲覧者を「サイト運営者に自分の個人情報が筒抜けになっている」という恐怖で心理的に追いつめて、ワンクリック詐欺の架空請求に応じさせる、というねらいがあるのです。
しかし、IPアドレスや位置情報が表示されたとしても、それ以上の個人情報を把握しているというわけではありません。
そのため、たとえIPアドレスや位置情報が突然表示されたとしても、無視をすることが最善の対応となるのです。
2、ワンクリック詐欺の被害に遭わないための注意点は?
ワンクリック詐欺の被害に遭わないようにするためには、きちんとしたインターネットリテラシーを身につけて自衛することが大切です。
具体的には、日ごろから以下の点を認識しておけば、詐欺の被害に遭う可能性を大幅に減らすことができるでしょう。
-
(1)クリックやアクセスだけでは契約は成立しない
基本的な知識として知っておくべきなのは、「ウェブサイトのリンクをクリックしたり、サイトにアクセスしたりしただけでは、契約が成立することは絶対にない」ということです。
契約とは、当事者双方の意思表示の合致によって成立するものです。
ワンクリック詐欺のサイト閲覧者は、単にサイトを閲覧しただけであって、契約締結の申込みや承諾をしたわけではありません。
したがって、サイトを閲覧するという行為だけでは、契約の成立にはつながらないのです。
もしワンクリック詐欺の登録完了ページが表示されて、「契約が成立しました」などと記載されていたとしても、それは詐欺グループの一方的な主張に過ぎず、法的には何の根拠もない、という点を理解しておきましょう。 -
(2)身に覚えのない請求はすべて無視すればOK
上記のとおり、ワンクリック詐欺のサイトを閲覧しただけで契約が成立することはありません。そのため、身に覚えがない請求が来た際には一切無視するようにしましょう。
「請求を無視すると法的手続きをとる」「裁判に移行する」「弁護士とともに、しかるべき対応をとる」などは詐欺グループの常套句ですが、そもそも詐欺グループの主張には法的根拠がないため、これらの言動は単なる脅迫に過ぎないのです。
もし不安である場合には、請求に応じて入金することは控えて、後述する相談先に相談することをおすすめします。 -
(3)怪しいウェブサイトにはアクセスしない
ワンクリック詐欺は、アダルトサイトや違法ダウンロードサイトなどを経由して行われることが多くなっています。
したがって、ワンクリック詐欺に遭わないための根本的な対策は、これらのサイトにアクセスしないことになります。
特に、あまりにも多くの広告が表示されるサイトや、自動リンクが多用されているサイトは、そのサイトそのものがワンクリック詐欺を目的に設置されている可能性があります。そのようなサイトは利用しないほうが賢明でしょう。
3、ワンクリック詐欺の被害に遭った場合の相談先は?
もしワンクリック詐欺の被害に遭ってしまった場合には、公的機関の窓口や専門家にまで速やかに相談しましょう。
ワンクリック詐欺の主な相談先としては、以下の窓口が挙げられます。
-
(1)国民生活センター
国民生活センターとは、消費者庁が所管する、重要な消費者紛争を法的に解決するための手続きを実施することを目的とした独立行政法人です。
国民生活センターでは、消費者からの苦情や問い合わせを「消費者ホットライン」で受け付けています。
また、消費者ホットラインが混雑などでつながらない場合には、平日の日中に限り「平日バックアップ相談」を利用することができます。
(参考:「消費者ホットライン」(国民生活センター))
また、地方公共団体が設置する「消費生活センター」も、各都道府県や市区町村に設けられております。
ワンクリック詐欺に関する消費者被害の相談は、お住まいの近くの消費生活センターでも行うことができます。
なお、詐欺業者が国民生活センターや消費生活センターを騙り、二次被害を及ぼす事例も数多く報告されています。
そのため、国民生活センターや消費生活センターに連絡をとる際には、まず公式の電話番号や窓口であることを確認してからにしましょう。 -
(2)警察
ワンクリック詐欺に遭い、実際にお金を振り込んでしまった場合には、できるだけ早めに警察に対して被害届を提出しましょう。
近年、警察をはじめとする捜査機関は、ワンクリック詐欺の摘発に力を入れているため、被害届の提出が詐欺グループの摘発へとつながる可能性は低くありません。
詐欺グループの摘発が実現すれば、ワンクリック詐欺の被害金を取り戻すことができる可能性もあります。
被害届の提出後は、捜査機関から被害者に対する事情聴取も行われるため、把握している限りの事実経過を正確に伝えましょう。 -
(3)弁護士
ワンクリック詐欺の被害については、弁護士も有力な相談先となります。
後述するように、弁護士は依頼者の味方として、詐欺被害を回復するための具体的な行動を行います。
もしワンクリック詐欺の被害回復を実現したい場合には、速やかに弁護士に相談することをおすすめいたします。
4、ワンクリック詐欺の被害に遭ったなら弁護士に相談を
ワンクリック詐欺に応じて振り込んでしまったお金は、本来であれば法律上支払う義務がないものであるため、詐欺業者に対して返金を請求することが可能です。
詐欺グループに対する請求を行うなら、弁護士に相談することをおすすめいたします。
弁護士は依頼者の味方として、返金請求・損害賠償請求に関するあらゆる手続きを代行し、一日も早い被害回復を実現するために尽力します。
詐欺グループとの間で訴訟に発展した場合についても、弁護士に依頼しておけば安心です。
広島県でワンクリック詐欺の被害に遭ってしまった方は、ベリーベスト法律事務所 広島オフィスにまで、お早めにご相談ください。
5、まとめ
ワンクリック詐欺の被害は、インターネットの普及とともに急増しており、現在では主要な消費者被害の一つとして社会問題化しています。
サイトの閲覧のみでもって利用契約などが成立することはないので、もし身に覚えがない請求を受けた場合には、無視するか、各種の窓口に早めの相談を行うことが大切です。
決して、詐欺グループの要求に応じてお金を振り込んでしまうことがないようにしましょう。
ベリーベスト法律事務所では、ワンクリック詐欺の被害に遭った相談者・依頼者の被害回復を図るため、詐欺グループの特定・交渉・訴訟手続きを全面的にサポートいたします。
ワンクリック詐欺の被害に遭ってしまった方は、できるだけお早めに、ベリーベスト法律事務所にまでご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています